長期記憶と短期記憶という話がテレビで出てきた。実は最近ある数学的なエッセイをまとめたのだが、それが何だったか思い出せないのである。もちろん仕事場に行けばそのコピーも残っているだろうし、パソコンのファイルにも残っているだろう。
数日かけて文章も推敲したのに思い出せないというのはどういうことだろう。多分それほど長い間気にしていたテーマではなかったということだろうか。
考えたことのメモをいつも残すようにしている。それでそのメモを取り出してきてはそのときに書けそうなテーマについてエッセイを書いている。そのエッセイが出来上がる前は数日毎日それを書き直している。大きなことも小さなこともいろいろある。そのうちにその原稿をいくら見ても新たに気にかかる所がなくなれば、出来上がりとしている。
普通は一度書いてから数週間または場合によっては数ヶ月原稿を寝かせておくこともある。誰かに頼まれて書く訳ではないから、そういうことができる。「数学散歩」の原稿もそうやってつくった。また、これは本にするときにもかなり構成に手を入れた。それでもところどころ「ああこの書き方はまずいな」というところが見いだされる。悩みはつきない。