離散モデルが役立つというので、物体の自由落下の問題に差分法を使ってみようとしたら、ちょっと妙だ。
というのは差分近似では区間の間隔を小さくしたら、近似の精度が上がることが期待されるのだが,間隔の値が大きくてもある特定の数値をとると厳密な答えが出てしまう。それでどうもこういう例題は離散モデルのいい例とはならないように思える。
微分とか積分を知らなくても、差分近似で手間がかかってもこの物体の自由落下の問題を解いて、微分と積分を知らない人に「それを知らなくてもいいよ」というつもりで差分近似で置き換えようと思ったのだが,少なくとも物体の自由落下の問題ではうまくいかない。その試みについてはもう一度考え直す必要がありそうだ。
先日の基礎物理の講義で微分積分を習得することが必要といったので、一部の人から反発を受けたらしい。物理が分からない上に微分積分まで勉強しなくてはならないのかと思ったようだ。
でもそれは違う。むしろ微分積分を学ぶことによって物理の理解が容易になり、覚えることが少なくなる。そういったことを言いたかっただけである。その辺が理解はされていないのだろう。
いま私の要求しているのは微分積分の全体的な理解と習得を要求しているわけではない。理解と習得をしてほしいのはベキ関数の微分と積分だけなのだ。それが難しいはずがない。ではどうやって教えるか。一つのアイディアをもっている。
(2012.4.18付記) 「数学・物理通信」1巻8号に私のM大学の薬学部での物理講義に付随して配布した講義ノートを発表している。もちろん、「数学・物理通信」に載せるに当たって改訂をした。
この号にはさらに対数関数と指数関数の微積分についても載せている。数学・物理通信で検索すれば、名古屋大学の谷村さんのサイトにリンクされた「数学・物理通信」にたどり着く。
関心のある方は「数学・物理通信」を見てください。