ゴールドスタインの「古典力学」の第11章の後ろの方を訳している。
ロジスティック方程式というところだが、これを訳しながらずっと以前に山口昌哉先生の集中講義を聞いたこととそれから数学セミナーの別冊だったかのカオスについての山口先生の解説がわからなくて苦労したことを思い出した。
分岐が2重、4重...になっているというなんでもないところがわからなくて,技官の人にその反復写像を実際にコンピュータでプロットしてもらってやっと意味が理解できた。
その後戸田、渡辺両先生の「非線形力学」(共立出版)が出版され、その中に同じようなグラフが出たので同じようなことを考えるものだと思った。いまではどのカオスの本にも出ていることだが。
山口先生の集中講義を聞いてしばらくしてからこの写像が乱数の発生法として使えるのではないかと思ったが、そういうことを私の周りで関心をもって考える人もあまりいなかったし、自分でも研究として真剣に考えなかった。
しかし、学生の卒論課題としてH君という人に調べてもらったことがあった。反復を繰り返すと意外に早く、変な値(たとえば0)になるが、この原因がつかめずそのままになってしまった。その辺の理由も後に見た文献で追求がされていた。
その後またこのことに関心が戻って来たことがあったが、インドかパキスタンの人がPhys. Rev. に論文を書いていたり、日本でも同じようなことをする人が現れた。それも単にアイディアだけでなくきちんと調べられた。
周りの環境は研究には大事なことと思う。特に議論できる人がいることが大切だ。そういうものが私には欠けていた。