「(\sigma _{x}\sigma _[y}+\sigma _[y}\sigma _{x})^{2}=0なら\sigma _{x}\sigma _[y}+\sigma _[y}\sigma _{x})=0か」
これが私の以前からもっていた疑問である。
もし普通の実数ならば、A^{2}=0ならば、A=0であるのは何の疑問もおこらない自明のことであろう。
ところが、これがAが演算子とかマトリックスならば、A^{2}=0でもA=0とはいえないかもしれない。
そのことをPauli行列の積の和の2乗について示す必要があることが起こった。それが1行目に示した式である。
これは朝永振一郎『角運動量とスピン』(みすず書房)に出てくる。ここに原康夫さんが注をつけてくれている。ところがこれがなかなかわからなかった。
愚鈍な私にはこの注を読んでもよくわからないので、いつも質問があったら、メールをして聞く K さんにメールをしようと思って今朝は来た。
だが、それもちょっとあまりに能がなさすぎるかなと思って自分で考えてみることにした。それでちょっと数冊の本を読んで考えたら、あまりいい考えではなかろうが、このことは解決した。
もっとも、もっとエレガントな解決法があるかとも思うので、 K さんにメールをしてみるつもりである。
(2020.1.14付記) 「数学・物理通信」9巻9号の発行を昨日したので、ちょっと時間ができてきたので、「Pauli行列の導出」のエッセイを見直し始めた。9巻10号にこの原稿を載せることはできないかもしれないが、10巻のわりと始めの号には掲載できるであろう。タイトルになった式の検討もこのエッセイに付録として載せるつもりである。