『影響力の武器』という社会心理学の本があった。もちろんこれは訳本であり、原題は「Influence(影響)」であった。
この本のことを思い出したのは実は昨日のある議員さんの正月の便りというか、活動報告の封筒入れを手伝いに行ったときに、お昼のときのある方の話を聞いたからである。
この人はある夜に家の前の路上で女性の助けを求める声を聞いたが、近所の人は誰も助けには出なかったようだという話をされた。
この方は運悪く風邪をひいて2階で寝ていたとかであり、その話を奥様から次の日に聞かれたという話だった。
それを聞いて私は『影響力の武器』で読んだ話を思い出して、ちょっと注意をしてしまった。
それは多数の人が行きかう路上であっても、痴漢に遭った女性がだれか不特定多数の人にぼんやりと助けを求めてもなかなか助けを得られないものだという社会心理学の知見である。
そういう時にはある特定の人に向かって具体的に助けを求めなくてはならないというのが『影響力の武器』に出ていた助言である。
これは多くの人がいるのだから、誰かが助けるだろうという風にみんなが考えるので、助けを得られないのだという。
困ったときにはあなた私を助けてと言われれば、その人は助けてくれるのだという。
こういう話はあまり日本では聞いたことがないが、さすがにアメリカの社会心理学者の研究は徹底している。
また、こういうことを書くと「知識をひらけかす」と妻からおしかりを受けそうだ。