ベクトル解析の学習上の困難についてはいろいろある。
私にとって一番難しかったのはSokes定理の導出であったが、『物理数学の直観的方法』だったかにあらわに書かれてはじめて意識されるようになったのは、rot Aの物理的意味がなかなか意識されなかったことであった。
最近ではさすがにこのことに言及するベクトル解析のテクストが大半を占めるようになった。それに反してdiv Aの物理的意味の方はそれほど難しいとは思われない。
また、ベクトル代数の公式がたくさんあることなどもベクトル解析の固有の問題ではないかもしれないが、やはりその一部に入るであろう。
こちらはベクトル積とスカラー積を重複して使うために複雑な公式が出てくるのだが、それらはベクトル積を何か別の一つのベクトルと置くといった処方でその困難さを回避できると思う。