インフルエンサーなどと書くとインフルエンザの書き間違いではないのという読者の声が聞こえそうだ。
インフルエンザとインフルエンサーとはよく似た語である。インフルエンザはもう説明がいる人はいないだろう。
だが、インフルエンサーの方は説明が必要だろう。そういう英語が本当にあるのかどうかはいま辞書にあたる暇はない。それで話を続けよう。
自著の『物理数学散歩』(国土社)がほとんど売れなかった一方で、インターネットではそれの無料PDFが配布されていた。完全に無料なのかいくらか結局は支払うシステムになっていたのかは知らない。
これらの複数(5,6くらいのかなり多く)のサイトはある方の努力でようやくなくなったのだが、いまでもそのシステムがどこかに存在しているかもしれない。それはともかくも私の手元には数百部の『物理数学散歩』の残部が残っている。
それでそれをどうPRして売ることができるかどうかという話を東京にいったときに子どもたちと話し合った。そのときに子ども口からインフルエンサーという語が出てきた。
要するにある本の価値等を判断できてそういうことをどこかで述べてくれる人がいれば、その本の価値がようやくわかるのだという。こういう人は人に影響を与えることのできる人という意味で、インフルエンサーという。
もともと英語のinfluenceは影響という意味の英語だが、fluenceはある種の流れでその中に入ってくるとその流れが乱れるということから、influenceは影響という意味なのだと、これは大学時代に英語の先生から聞いた覚えがある。
ちなみに、He speaks fluent English (彼は流ちょうに英語を話す)とかのfluentも流れるようにという感じがある。
ちなみに私の別の著書である、『四元数の発見』(海鳴社)であるが、こちらも1年によく売れて70冊くらいだということであったが、ここ数年に比較的よく売れて昨年の11月に第2刷が出た。
これは結城浩さんの『数学ガールの秘密ノート 複素数の広がり』(SB Creative)と松岡学さんの『数の世界』(講談社ブルーバックス)に引用されて、この2書がインフルエンサーとして働いたのではないかと思っている。
これらの本の著者がそれぞれの本を書く大きな動機を私の本が与えたのだとは考えているが、逆に私の本の売れ行きを押し上げた可能性も大きい。