「私の子ども時代と現在の子どもの時代についての比較をせよ」というのが昨夜ドイツ語のクラスで来週のクラスのために出された宿題である。
最初に思ったのは私の子ども時代は貧しかったことである。これは私の家もそうであったが、そればかりではなく日本全国中が貧しかった。
確かに、今どの家庭でも見られる家庭電気製品はまったくなかった。洗濯機、冷蔵庫、テレビ、掃除機、エアコンとかその他の電気製品はまったくなかった。それにつけ加えるならば、車も。
しかし、よく考えて見るとそれ以上にちがうことがある。それは衛生面でのちがいである。昔は網戸というものがなかったので、食卓の上にハエが飛び交っていてすきあらば、用意されたこれから食べようとする食物の上にたくさんのハエが群がってとまった。
それに夏の夜は特に蚊に悩まされた。蚊が私たちの皮膚を刺すのである。関西では
蚊が刺すとは言わないで「かむ」という。
いまでは家の中に数匹の蚊が入ってきて、人を刺すこともままあるではあろうが、網戸のない家などほとんどない。これは大きな違いである。
だからかどうか、私の子ども時代には子どもが病気で死ぬこともそれほど今と比べて珍しいことではなかった。
それに大きな違いはもう一つ水洗のトイレがなかったことである。都市の下水道の完備とともに水洗トイレが普及して、衛生面でとてもよくなった。いまでも田舎に行くと実状がどのようであるは知らないが、水洗トイレの普及は日本人の長寿に貢献しているであろう。
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