【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主党政調会長代理が党と内閣をつなぐ 城島光力さんが衆院予算委で質問

2010年10月12日 09時38分18秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
【衆院予算委員会 2010年10月12日】

 連休明けの臨時国会は衆参で予算委員会が開かれます。

 民主党はトップバッターとして、城島光力さんが質問。城島さんは政調会長代理です。ご存じのように、民主党は党と内閣の一元化のために、党政調会長の玄葉光一郎さんが国家戦略大臣として入閣しています。内閣の決定には、玄葉政調会長のサインが必要となります。きょうの質疑で面白いなと感じたのは、玄葉さんは答弁席にいますので、質問者席には城島さんが立って、党と内閣をつないでいることです。

 城島さんはまずは、週末のG7について野田佳彦財務大臣に質問。その後、先週8日(金)に閣議決定した、追加経済対策について、「(民主党政調におかれた)直嶋正行前経産大臣が座長を務めたプロジェクトチームの案を政府(の追加経済対策の中身)には十分に受け止めていただいた(と評価している)」として、政調と内閣が心を一つにした経済対策がつくれたと、予算委を使って確認しました。

 民主党代表で総理大臣の菅直人さんは、「代表選を経た内閣と党の改造で、(過去1年間で)政務三役を経験した人に党の役職に、党の役職を経験した人に政務三役に就いてもらった」ことで、「党と内閣が一体化して政策を進める体制をつくることができた」と自賛しました。その上で、先週の代表質問の感想として、「野党には真正面から政策論争に入って欲しい」と注文を付けました。

 政策も大事ですが、民主党は統治のしくみをしっかりとつくることが先決です。この1年間の民主党政権は、細かい政策で前のめりしていました。大所高所から俯瞰する民主党政調の役割は重要です。

 ただ、追加経済対策を肉付けした補正予算案はまだ国会に提出されていません。ですから、きょうの予算委員会も「平成22年度予算の執行・実施に関する調査」です。ときどき、予算委員会で外交や安保の質疑をしていることを「おかしい」という人がいますが、予算の執行ですから、国政全般について質問することができます。ただ、第175臨時国会、第176臨時国会とも衆参予算委員会はこの「予算の実施に関する調査」で、補正予算案など具体的な議案がかかっていません。野党は露出が増えてうれしいでしょうが、政権の具体的な実績にはなりませんから、時間を空費している印象は否めません。

 質疑は現在も続いています。

渡部恒三さん「男が自分のことで泣くようになったら終わりだな」「小沢君はかわいそう」

2010年10月10日 06時46分33秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
 民主党最高顧問に復帰した渡部恒三さんは、10日放送のTBS「時事放談」で、小沢一郎氏が強制起訴が決まりながら、離党も議員辞職もしない意向を示していることについて、「男は他人様(ひとさま)のことで泣くならいいけど、自分のことで泣くようになったら終わりだな」と述べました。恒三さんは、小沢一郎氏は以前は涙なんかは一切出さない男だったと指摘し、小沢氏の変貌ぶりに「かわいそう」と同情しました。そのうえで、恒三さんは「自分のことよりも、党のこと。党のことよりも国のこと(が大事だ)。国のことがダメだったら、渡部恒三なんてあした死んでもいいんだ(という心構えでいる)」とし、そういう心構えが小沢氏にないと批判しました。

 恒三さんは「今は景気対策が大事だ」として、小沢問題は国会での野党の出方を見ながら対応すればよくいいとして、「今はまだその時期ではない」と、離党勧告や除籍にはタイミングが早いとの長老の見立てを示しました。コロンビア大学教授で、古川元久さん、小泉進次郎さんらの師匠で知られるジェラルド・カーチス教授は「離党するのなら分かるが、離党しないと言っても、裁判には1~2年(以上)もかかるでしょう。たぶん日本人の多くはスッキリしていない」と世論を読みました。

 司会の御厨貴さんから「アメリカの例はどうですか?」と聞かれたカーチスさんは、「アメリカでもいろいろなケースがあるんですよ」としながら、議員辞職する人は次の選挙で落選する可能性が高くなった人だと指摘し、「岩手の有権者が彼を(第46回衆院選でも小沢一郎氏を)選ぶんだったら、辞めないのも一理ありますよ」と理解を示しました。ただ、「離党するのは常識だが、離党しなければ除名(除籍)するかという問題なんですよとして、「小沢さんはもう権力がないでしょう。裏で操ったりということはもうないでしょう」と指摘し、日本政治は小沢問題よりも景気対策、日中関係などに注力して、前に進むべきだとの認識を強調しました。

 カーチス教授は番組の最後に菅直人さんに対して、「原稿を読まないで、テレビに向かってハッキリと国民に語りかけて欲しい」として、向こう2年間の安定した政権基盤をいかすために、野党に協力を呼び掛けるばかりでなく、国民に直接語りかけるリーダーシップを求めました。

 10月6日(水)、7日(木)、8日(金)の衆参本会議での国務大臣の所信表明に対する代表質問で、菅直人さんは、小沢一郎氏の処遇については、民主党幹事長の岡田克也さんに預けることを内外に表明しています。

小沢さん、もう潮時だよ

2010年10月07日 13時52分02秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[写真]小沢一郎(氏)と筆者(1993年夏、静岡・箱根の函南町、2007年12月、中国・北京の人民大会堂)

 小沢一郎(氏)に雨天の友なし。

 晴れた日には傘(お金)を借りろと言い、雨の日に傘(お金)を返せ、と言うのは銀行屋だとよく言われますが、小沢側近も同じようです。
 東京新聞の手間をかけた取材によると、平均30歳の未来を担う若人たちに「起訴すべきだ」との議決を受けた小沢一郎(氏)。ひと晩あけた5日は、国会近くの個人事務所に終日こもったものの、一人の訪問者もいなかったようです。これから有罪になるにしろ、無罪になるにしろ、微罪(ただし公民権は停止される)になるにしろ、裁判終了までは5年ほどかかると思われますので、政治生命は絶たれたと言っていいでしょう。

 6日の衆院本会議で、自民党総裁でシャドウキャビネット首相の谷垣禎一さんは小沢問題を冒頭に扱いましたが、あまり時間をかけませんでした。やはり、民主党が小沢問題を引きずってくれた方が、統一地方選で自民党有利、民主党不利になるという狙いがあるのでしょう。第22回参院選はこの戦術が見事的中しました。民主党が自浄作用を発揮するしかありません。

 晩節を汚す落ちた剛腕。友達は不動産と犬だけ。奥さんや3人の息子ともほとんど会話しない昨今のようです。

 そもそも、1997年12月末の新進党解党は万死に値します。新進党解党がなければ政権交代可能な二大政党制はもっと早く確立し、小泉政権の労働法制改悪は避けられたし、少子高齢化は進んだとはいえ、私たちの平均年収はおよそ100万円は高かったと思いますよ。その罪は万死に値します。

 小沢さん、もう潮時だよ。

 小沢一郎さんの離党と議員辞職を望みます。

東京新聞:小沢氏、事務所にこもる:政治(TOKYO Web)


 民主党の小沢元幹事長は五日、国会近くの個人事務所に終日こもり、車による自宅との行き帰り以外は報道陣の前に姿を現さなかった。

 検察審査会の議決を受けた四日は側近議員らと会談し、起訴議決に「分からないよな」と漏らしていた小沢氏。しかし、この日は一人の訪問者もなく、事務所周辺は静まりかえった。

 小沢氏は四日に発表した談話で「裁判の場で無実であることが必ず明らかになる」と決意を示したが、公判は長期化も予想される。

 側近議員からは「このままでは兵糧攻めだ。(裁判に)三年ぐらいかかったら、小沢氏の気力がなえてしまう」と心配する声も出ている。


tag 新進党を解党した小沢一郎を歴史法廷の断頭台に送ろう。


【小沢一郎氏強制起訴】衆議院や民主党は「起訴休職制度」を検討したらどうか

2010年10月05日 15時16分08秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
[写真]強制起訴される小沢一郎氏(同氏公式ホームページ)

 近く強制起訴される小沢一郎氏ですが、初公判は来年夏になりそうです。そして、地裁判決で仮に無罪でも、おそらく検察官役の弁護士は、まず控訴するでしょう。そして有罪ならば、小沢被告は当然控訴、上告するでしょうから、いずれにしろ、最高裁までいくことになり、確定まで数年かかりそうです。

 小沢一郎氏は、現時点で、民主党離党も、衆議院議員辞職もしない意向と思われます。現時点で記者会見に応じていませんが、離党・辞職の意向を示していません。

 起訴休職という言葉を初めて知ったのは、佐藤優さんが2002年5月~2009年6月まで「起訴休職外務事務官」という肩書きで、本を書いたり、メディアに出ていたからです。その後、2009年6月に有罪が確定したので、「作家」と名乗っていると思います。

 一方、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長だった村木厚子さんは、2009年7月=2010年9月まで起訴休職でしたが、無罪が確定したので、復職し、内閣府に出向し政策統括官(局長級)になっています。

 このような起訴休職制度を、衆議院規則や、民主党規約などに設けることはできないでしょうか。

 例えば、起訴休職中は、本会議に出席したり、委員会に所属しなくていい。そして、気になる歳費ですが、これは支払うということでいいのではないでしょうか。というのは、衆院議員の場合は、どんなに長くても起訴休職から4年以内に解散総選挙を迎えます。起訴休職とはいえ、その間は国会議員として積み上げることができないので、落選の可能性が高くなります。そのため、文書交通滞在通信費(年間1200万円)はストップするものの、歳費は支払う。ただ、有罪が確定(ないしは公民権停止が確定)した場合には返還という格好にしないと国民が納得しないかも知れません。

 いずれにしろ、小沢さんが民主党にいる限り、民主党政権が個人向けに増税したり、法人向けに減税したりすることは「納得がいかない」ということで、有権者はそっぽを向けるでしょう。

 衆議院や民主党は新しいルールを作る必要があるのではないでしょうか。

小沢一郎さんが強制起訴へ 自ら出処進退を決めるべきだ

2010年10月04日 15時53分20秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[写真]小沢一郎さん(NHK)

 東京第5検察審査会は、小沢一郎さんを起訴すべきだと議決しました。裁判所が指定した弁護士が検察官役を務めて、東京地裁で裁判がスタートします。

 民主党としては小沢さんが自ら離党しない場合は、常任幹事会がお願いして、最高顧問兼倫理委員長(元裁判官、参議院議長)の江田五月さんによく調べてもらうことになります。

 
[画像]ギャベル(木槌)を叩く参議院議長時代の江田五月さん(参議院ネット中継)

 ことし1月、民主党衆院議員・石川知裕さんが、初当選前に働いていた職業にかかわる事案で、起訴され、離党しています。小沢氏の場合は、衆院議員としての事件です。

 新進党を解党した小沢一郎さんですが、同時に改革フォーラム21と新生党の代表幹事であり、細川内閣、羽田内閣生みの親であり、新進党結党大会準備委員長であり、第21回参院選・第45回衆院選の民主党勝利の立て役者です。

 先日、小沢さんは自らの政治資金パーティーで「天命が下るのを待つ」という発言をしたと、出席者を語っています。小沢さん本人が歴史における自分の存在を客観視し、出処進退を自ら決めることを望みます。

 歴史を前に進めましょう。


海上保安庁の増額補正で全党一致 補正予算をめぐり国対委員長

2010年10月03日 10時59分36秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

 熟議の第176臨時国会で、菅直人首相が最重要議案だと位置づけた第1次補正予算案に関して、3日生放送の「NHK日曜討論」の中で、全党の国対委員長の意見が完全に一致する極めて珍しいケースがありました。

 さる9月7日に尖閣諸島の魚釣島付近で、中国漁船と我が国の海上保安庁巡視船が衝突する事案が発生し、海保は当該船長らを公務執行妨害で逮捕しました。その後、乗組員は釈放、証拠品となる漁船を先方に返還し、そして、中国からの圧力が集まった9月24日、那覇地検が処分保留のまま容疑者の船長の身柄を釈放して、帰国するという事案が起きました。私は9月1日告示9月14日投開票の民主党代表選に向けて「日本の歴史を前に進める平成の西南戦争だ」とがんばっており、その後の人事と含めて、あまりこの問題をフォローしておらず、このブログでも扱っておらず、反省しております。

 さて、平成22年度(2010年度)の当初予算一般会計では、海上保安庁の当初予算総額は「1820億円」で前の年度比「294億円」減っています。沖縄1区選出で国民新党の下地幹郎国対委員長は日曜討論で、海保の第11管区海上保安本部の石垣島の基地には敷島級の巡視船は2隻しかなく、「2隻で尖閣諸島を含めた海域をカバーするのはムリだ」としたうえで、「海保全体でも橋本内閣(1996年~1998年)以来、新規に巡視船を建造していないんですよ」とのこと。今年度当初の海保の船舶建造費(予算コード95014-1204-15)はわずか「243億円」で「前年度比98億円減」っています。おそらくこれは建設国債が使えるから、財源の問題もないでしょう。

 ここで船舶建造費をつける、増額補正してあげる。景気対策としては、造船会社は自民党、そのはたらく仲間は民主党、そして部品会社などは公明党の支持者が比較的多いでしょう。もちろん景気対策に限りません。予算を増額補正してあげることで、それ自体が対中国、対ロシアへの外交カードになります。

 熟議の第一歩になりそうです。そして、そのスピード感にも期待したいです。


菅首相が所信表明で「熟議の国会」を呼び掛け 補正予算案が試金石に マニフェスト・鳩山演説の内容が戻る

2010年10月01日 23時59分37秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[写真]第176臨時国会開会にあたって所信表明する菅直人首相(首相官邸ホームページ)

 第176臨時国会が2010年10月1日、スタートし、衆参で院の構成(常任委員長の選出)が決まった後、菅直人首相が所信表明演説をしました。

 この中で、菅首相は、「今国会の最大の課題は(略)経済対策のための補正予算の成立です」として、デフレ脱却・景気回復を軌道に乗せる補正予算案が最重要課題だとして、「与野党間での建設的な協議に心から期待いたします」としました。

 所信表明では、野党時代からの舌鋒鋭い「攻撃型菅直人」はすっかりと息をひそめ、低姿勢のまるで土下座しだすのではないかと思わせる「ねじれ国会与党型菅直人」に変貌しました。

 そして、演説を「私は今回の国会が、具体的な政策をつくり上げる“政策の国会”となるよう願っています。そのために、議論を深める“熟議の国会”にしていくよう努めます。結論を出す国会になるよう期待します」としました。

 そして扇形の議場を眺めながら、「この場にいる我々を隔てるものは、どこに座っているかではありません。野党の皆さんにも真摯に説明を尽くし、この国の将来を真剣に考える方々と、誠実に議論していきます。そして、何とか合意できないか知恵を絞ります。国民に選ばれた国会議員が全力を尽くし、この国の政治を築いていく。真の国民主権の政治に向け、共に頑張りましょう」という異例の働きかけをしました。

 国会というのは、日本社会の縮図ですから、ご多分に漏れず、このところピリピリしていて雰囲気が重いです。しかし、菅さんの言うとおり、この臨時国会の最重要議案が景気対策の補正予算案、それと地球温暖化対策基本法案、郵政改革法案、労働者派遣法改正案の合計4本ということになれば、これはすべて与野党合意で、衆参で可決することは可能だと思います。あるいは、むしろ公明党などの意見を取り入れて、「修正可決」となる方が「熟議の政治」として望ましいかも知れません。

 昨年の政権交代により、二大政党が政権交代を繰り返す政治システムが導入されつつあります。その8年~12年程度と思われる長期的な変化の間に、第三極との話し合いを踏まえた中短期の変化で国会を動かしていく、その仕組み作りをする国会になります。

 補正予算案はよい題材です。

 これに先立つ、民主党代議士会で岡田克也幹事長は、「国会の役割は従来以上に重要になっている。しかし、それはホントウに日本に真の民主主義(デモクラシー)を構築する、新しいモデルを構築する。そのスタートラインに立っている」「国会とくに委員会が大事で、(法案の)修正など委員長や筆頭理事にご苦労をかけます」としました。鉢呂吉雄国会対策委員長は「全員が国対委員長だという思いであたって欲しい」と述べて、各委員会の“現場”が自主的に法案にかかわる自覚を促しました。

 また、菅さんは所信表明で、国の出先機関の見直しについて8月までに各府省がまとめた8月の“自主仕分け”について年内に出し直させることを明言。ひも付き補助金の廃止→地方一括交付金の創設についても、踏み込んで、国民や自治体に対して約束しました。

 このほか、6月の首相就任時の所信表明よりも、09マニフェストや、昨年9月・ことし1月の鳩山演説の言葉が復活した部分が多く見られました。また、「女性を乳がん・子宮頸がんから守る、子どもを貧困や虐待から守る、あらゆる人を自殺や災害から守る。強者の論理ではなく、弱者に寄り添い、こうした課題にも応えなければなりません」と語りました。おととい(29日)の深夜に、長期間の薬石効なく子宮頸がんで63歳という若さのお母さんを亡くしたばかりの民主党の森山浩行議員も上京して気丈にこの演説に耳を傾けました。

 1月の鳩山施政方針の「命を守りたいと思うのです」は、私は違和感を覚えました。なぜなら国が国民の生命と財産を守るのは当たり前のことであり、一々言及する必要がないからです。菅演説は、とくだん心にずどんと響くキーワードは出てきませんでした。6月の就任時のように「第三の道」という独自のフレーズも出てきませんでしたが、民主党政権は、らせん階段を周りながらも、少しずつ、ホントウに少しずつですが階段を昇っているように思えました。

 まあ、とにかく補正予算を仕上げることです。が、これはハードルは低いように、私は感じます。一つ一つ、ハードルをこなしていきましょう。

第176回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説

 一 はじめに
 国民の皆さん、国会議員の皆さん、菅直人です。六月に政権を担って四か月、九月に民主党の代表に再選され、党と内閣の改造を行い、政権を本格稼働させる段階に入りました。「有言実行内閣」の出発です。何を実行するのか。一言で申せば、これまで先送りしてきた重要政策課題の実行です。経済低迷が二十年続き、失業率が増加し、自殺や孤独死が増え、少子高齢化対策が遅れるなど、社会の閉塞感が深まっています。この閉塞感に包まれた日本社会の現状に対して、どの政権に責任があったか問うている段階ではありません。先送りしてきた重要政策課題に今こそ着手し、これを、次の世代に遺さないで解決していかなければなりません。それが、「有言実行」に込めた私の覚悟です。解決すべき重要政策課題は、「経済成長」、「財政健全化」、「社会保障改革」の一体的実現、その前提としての「地域主権改革の推進」、そして、国民全体で取り組む「主体的な外交の展開」の五つです。本日は、この五つの課題について、私の考えを申し上げます。

二 経済成長の実現―経済対策と新成長戦略の推進
(成長と雇用による国づくり)
 まず最初の課題は、経済成長です。国内消費を取り巻く状況には、厳しいものがあります。需要が不足する中、供給側がいくらコスト削減に努めても、値下げ競争になるばかりで、ますますデフレが進んでしまいます。これでは景気は回復しません。供給者本位から消費者目線に転換することが必要です。消費も投資も力強さを欠く今、経済の歯車を回すのは雇用です。政府が先頭に立って雇用を増やします。医療・介護・子育てサービス、そして環境分野。需要のある仕事はまだまだあります。これらの分野をターゲットに雇用を増やす。そうすれば、国民全体の雇用不安も、デフレ圧力も軽減されます。消費が刺激され、所得も増えます。その結果、需要が回復し、経済が活性化すれば、さらに雇用が創造されます。失業や不安定な雇用が減り、「新しい公共」の取組なども通じて社会の安定が増せば、誰もが「居場所」と「出番」を実感することができます。こうした成長と雇用に重点を置いた国づくりを、新設した「新成長戦略実現会議」で強力に推進します。

(円高、デフレ状況に対する緊急的な対応―第一段階)
 そのため、まず、今から来年度に向けて「三段構え」で成長と雇用に重点を置いた経済対策を切れ目なく推進します。既に、その「第一段階」、急激な円高・デフレ状況に対する緊急的な対応を実行に移しています。政府・日銀は、為替介入を実施しました。今後も、必要に応じ、断固たる措置をとります。また、即効性のある雇用対策に重点を置いて予備費約九千二百億円を執行します。特に、新卒者の就職に力を入れます。仕事を探す側、雇用する事業者、双方の負担を軽減し、ワンストップで雇用を「つなぐ」仕組みを全国展開します。さらに、低炭素産業の新規立地を補助して雇用を「守る」取組や、地域の雇用を「創る」取組も盛り込みました。日銀に対しては、政府と緊密な連携を図りつつ、デフレ脱却の実現に向け、さらなる必要な政策対応をとることを期待します。

(今後の動向を踏まえた機動的な対応―第二段階)
 そして、デフレ脱却、景気回復を軌道に乗せるため、今国会での補正予算の編成を含む「第二段階」に入ります。中身が重要です。野党からの提言も踏まえ、五つの柱からなる大枠を提示しました。第一の柱が雇用・人材育成、第二が新成長戦略の推進、第三が子育てや医療・介護・福祉、第四が地域活性化、社会資本整備と中小企業対策です。第五の柱として、規制・制度改革に取り組みます。例えば、再生可能エネルギーの利用拡大に向け、全量買取制度の円滑な導入を目指すとともに、大規模太陽光発電や新エネ・省エネ設備に係る規制を緩和します。日本を国際医療交流の拠点とするため、ビザや在留資格の取扱いを改善します。さらに、雇用創出効果の大きい国内立地促進策を、新設した円卓会議で早急にまとめます。いずれも国民生活に直結する課題です。与野党間で意見交換を進め、補正予算を含め、合意を目指したいと思います。

(新成長戦略の本格実施―第三段階)
 「第三段階」は、既に作業を始めている来年度予算編成と税制改正です。予算編成では、「元気な日本復活特別枠」も活用し、需要創造や雇用創出を強化します。法人課税については、税制の簡素化、海外と比較した負担といった観点から、年内に見直し案を取りまとめます。ものづくりでも、サービス産業でも、業種を問わず、新しい需要を引き出し、豊かで安心な暮らしを実現するイノベーションを起こすことが重要です。この観点から研究開発や人材育成も強化します。

 改めて申し上げます。今国会の最大の課題は、「第二段階」である経済対策のための補正予算の成立です。与野党間での建設的な協議に心から期待いたします。そして、切れ目なく「第三段階」に進み、新成長戦略の前倒し実施により、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていきたいと考えます。是非とも、ご理解、ご協力をお願いいたします。

三 財政健全化と行政の無駄削減
(財政運営戦略の実施)
 二番目の重要政策課題は、財政健全化です。現在の財政状況を放置すれば、どこかで持続できなくなります。政府は、六月に財政健全化の道筋を示した「財政運営戦略」をまとめました。二〇一五年度までに、基礎的財政収支の赤字を対GDP比で今年度の半分にし、二〇二〇年度までに黒字化を達成するものです。大変高い目標ですが、成長と雇用拡大を実現しながら、一歩ずつ達成を目指します。

(来年度予算編成に向けて)
 最初の一歩が、無駄の徹底した削減を含む来年度予算の編成です。昨年は、四百四十九の事業を仕分けし、約二兆円の財源確保を実現しました。引き続き、強力に無駄の削減を徹底します。そもそも、財政が如何なる状況にあろうと、無駄は許されません。事業仕分けを特別会計に広げるなど、幅広く事業を見直します。マニフェスト実現には、引き続き誠実に取り組みます。財源の制約などで実現が困難な場合は、国民に率直に説明し、支給の方法や対象を含め、国民が納得できる施策に仕上げていきます。

(行政改革、公務員制度改革の推進)
 歳出見直しは、単に切り詰めることが目的ではありません。行政が利用者の視点に立ってサービスを提供し、より効率的に奉仕する体制にすることが重要です。公務員制度改革も、この目標を共有しています。国家公務員の総人件費の二割削減と併せ、一体的に取り組んでいきます。また、国の出先機関の統廃合を含め、各府省の機構や定員をスリムにします。公務員諸君に改めてお願いします。行政のプロとしての皆さんの心構えが問われています。

四 社会保障改革
(改革の必要性)
 三番目の重要政策課題は、社会保障改革です。社会保障制度がしっかりしなければ、国民の将来に対する不安はぬぐえません。この不安が、消費の低迷、経済の停滞の背景になっています。改革を急がなければなりません。一般論として、多少の負担をしても安心できる社会を作っていくことを重視するのか、それとも、負担はできる限り少なくして、個人の自己責任に多くを任せるのか、大きく二つの道があります。私は、多少の負担をお願いしても安心できる社会を実現することが望ましいと考えています。
 まず、求める社会保障の姿について議論を進めます。安定した年金制度や、十分な医療・介護・福祉サービスを確保していかなければなりません。高齢化などに伴い、今のままでも、社会保障費は毎年一兆円以上増加していきます。さらに、新たなニーズも生じています。孤立したお年寄りを守る、女性を乳がん・子宮頸がんから守る、子どもを貧困や虐待から守る、あらゆる人を自殺や災害から守る。強者の論理ではなく、弱者に寄り添い、こうした課題にも応えなければなりません。社会保障の基盤となる番号制度をどう整備するか決める必要もあります。個々の課題にばらばらに答えを出しても根本的な解決策にはなりません。政府は、社会保障改革の全体像について、必要とされるサービスの水準・内容を含め、国民に、わかりやすい選択肢を提示していきたいと思います。

(与野党間の議論)
 その上で、国民の選択に当たり、社会保障に必要な財源をどう確保するか一体的に議論する必要があります。消費税を含め、税制全体の議論を進めたいと思います。結論を得て実施する際は、国民に信を問う。この方針に変更ありません。当然、与野党を超えた議論が不可欠です。それに向け、政府・与党で社会保障改革の全体像を検討する場を設け、野党の皆さんとも意見交換をしていきたいと思います。

(子ども・子育て支援の充実)
 子ども・子育て支援にも、引き続き重点的に取り組みます。どの子どもも、この国の将来を担う宝です。家族だけでなく、地域、さらには国で、大切に育てなければなりません。高校の授業料実質無償化を着実に実施し、子ども手当は、現金給付と保育所の整備などの現物支給のバランスをとって拡充する方針です。幼保一体化を含む法案を来年の通常国会に提出する準備を進めます。少子高齢化の下で、労働力人口が減少し始めています。待機児童の解消を急ぎ、働く女性を応援し、男女共同参画を推進します。

五 地域主権改革の推進
 以上の三つの重要政策課題の解決に当たっては、地域主権改革の推進が鍵となります。地域が主役となって、特色ある産業振興や、住民の要望に応じた社会サービスの提供ができるよう、我々の世代で確たる道筋をつけます。残念ながら、これまで実感のある変化は生じていません。壁を打ち破るため、まず、「ひもつき補助金」の一括交付金化に着手します。来年度予算では、各府省の枠を超えて投資的資金を集め、自由度の高い交付金に再編します。地域で、霞が関の発想に縛られない、独自のモデルを構想してください。国の出先機関が扱う事務・権限移譲については、各府省が検討結果を八月末に提出しましたが、不十分であり、やり直しを指示しました。横断的な移譲の指針を示し、年内を目標に検討を進めます。

六 国を開き未来を拓く主体的な外交の展開
(「歴史の分水嶺」における外交)
 五番目の重要政策課題は、主体的な外交の展開です。今日の国際社会は、安全保障面でも経済面等でも「歴史の分水嶺」とも呼ぶべき大きな変化に直面しています。新興国の台頭で、世界の力関係も変貌を遂げています。我が国周辺地域に存在する不確実性・不安定性は、予断を許しません。こうした国際情勢の下、天然資源・エネルギーや市場を海外に依存する我が国は、如何にして平和と繁栄を確保するのか。受動的に対応するだけでは不十分です。国民一人ひとりが自分の問題として捉え、国民全体で考える主体的で能動的な外交を展開していかなければなりません。その際、国を思い切って開き、世界の活力を積極的に取り込むとともに、国際社会が直面するグローバルな課題の解決に向け、先頭に立って貢献することが不可欠です。また、防衛計画の大綱の見直しに当たっては、真に役に立つ実効的な防衛力を整備するため、これからの時代にふさわしいものを、本年中に策定します。

(日米同盟)
 日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸です。先日のオバマ大統領との会談でも、日米同盟がアジア太平洋地域のみならず、世界の安定と繁栄のための共有財産であること、そして、日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で、安全保障、経済、文化・人材交流の三本柱でさらに深化・発展させていくことを確認しました。また、アフガニスタン・パキスタン支援、イランの核問題、気候変動、核軍縮・核不拡散など、国際社会が直面する課題へも日米が協力して対処することで一致しました。十一月のAPECの際に予定されている日米首脳会談では、さらに日米同盟深化のための具体策を詰めていきます。普天間飛行場の移設問題については、本年五月の日米合意を踏まえて取り組むと同時に、沖縄に集中した負担の軽減にも取り組みます。沖縄の方々のご理解を求め、誠心誠意説明してまいります。

(日中関係)
 日中両国は、一衣帯水のお互いに重要な隣国であり、両国の関係はアジア太平洋地域、ひいては世界にとっても重要な関係だと認識しています。近年、中国の台頭については著しいものがありますが、透明性を欠いた国防力の強化や、インド洋から東シナ海に至る海洋活動の活発化には懸念を有しています。尖閣諸島は、歴史的にも国際法的にも我が国固有の領土であり、領土問題は存在しません。先般の事件は、我が国の国内法に則り粛々と処理したものです。中国には、国際社会の責任ある一員として、適切な役割と言動を期待します。日中両国間に様々な問題が生じたとしても、隣国同士として冷静に対処することが重要と考えます。日中関係全般については、アジア太平洋地域の平和と繁栄、経済分野での協力関係の進展を含め、大局的観点から戦略的互恵関係を深める日中双方の努力が不可欠です。

(東アジア地域の安定と繁栄に向けて)
 この秋は、我が国において、重要な国際会議が開催されます。生物多様性条約に関するCOP10では、議長国としての重要な役割を果たします。また、私が議長を務めるAPEC首脳会議では、米国、韓国、中国、ASEAN、豪州、ロシア等のアジア太平洋諸国と成長と繁栄を共有する環境を整備します。架け橋として、EPA・FTAが重要です。その一環として、環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します。東アジア共同体構想の実現を見据え、国を開き、具体的な交渉を一歩でも進めたいと思います。
 北朝鮮については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決を図り、日朝平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算し、国交正常化を追求します。拉致問題については、国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くします。なお、北朝鮮の政治情勢については、引き続き注視していきます。

七 政治改革と議員定数削減
 以上の課題に臨む我々国会議員のあり方について、一言述べます。カネのかからないクリーンな政治の実現。国民の強い要望です。私自身の政治活動の原点です。民主党は、企業・団体献金の禁止、国会議員の定数削減について党内で徹底的に議論し、年内に方針を取りまとめたいと思います。その後、与野党間で協議し、まとめたいと思います。

八 結び
 本日、国会が召集されました。日本が現在抱える課題を解決し、次の世代に先送りしない責任を、国会議員が協力して果たせるか。国民の期待に応えることができるか。この国会が試金石となります。郵政改革法案、地球温暖化対策基本法案、労働者派遣法改正法案などの審議もお願いすることとなります。私は、今回の国会が、具体的な政策をつくり上げる「政策の国会」となるよう願っています。そのために、議論を深める「熟議の国会」にしていくよう努めます。結論を出す国会になるよう期待します。この場にいる我々を隔てるものは、どこに座っているかではありません。野党の皆さんにも真摯に説明を尽くし、この国の将来を真剣に考える方々と、誠実に議論していきます。そして、何とか合意できないか知恵を絞ります。国民に選ばれた国会議員が全力を尽くし、この国の政治を築いていく。真の国民主権の政治に向け、共に頑張りましょう。


熟議のねばり国会が1日召集 会期は64日間(12月3日まで)

2010年09月30日 20時23分43秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
 さあいよいよ、あす(2010年10月1日)、第176回国会(臨時国会)が召集されます。10月1日スタートっていうのも、何かいいね。衆議院規則・参議院規則それぞれの1条により、天皇陛下により午前10時に召集されます。が、実際の衆議院本会議は12時スタート。その後、天皇陛下を迎えた参議院での開会式が午後1時から。そして、午後2時から、衆院本会議で菅直人首相の所信表明演説、その後、参院本会議でも同じ演説があります。

 会期は64日間。12月3日(金)まで。臨時国会は2回延長が可能ですから、秋から冬までずっと熟議の国会をやりながら、年末を迎えそうな気配です。

 64日間には、祝日が3日間入りますから、「営業日」は43日間となります。来週から合計9週間の当初会期となります。

 そして、最重要法案は、補正予算案になりそうです。岡田克也幹事長は30日の定例記者会見で「現在の経済情勢の中で、補正が遅れるということはあってはいけない」として、民主党は「国会運営は誠心誠意行う」ので、他党には「大局的見地に立って賛成して欲しい」と呼び掛けました。

 また、補正予算案の提出は会期冒頭ではなく、10月中旬になりそうです。ということは、総理の所信表明への衆参本会議での代表質問→衆参予算委での予算の実施に関する調査があり、ここら辺で、補正予算案が提出されると→衆参本会議での野田佳彦財務大臣の財政演説→衆参本会議での代表質問→衆参予算委での補正予算の審議ということで、初めの1ヶ月が終わってしまうのではないか?との私の危惧を岡田幹事長に質問したところ、「国民生活に直結する補正予算案なので、国会議員ですから補正予算と一般法案は並行して審議して欲しい」と述べました。各常任・特別委員会の理事らに、全閣僚出席でない審議日程の寸暇を惜しんで、大臣の所信表明・一般質疑などをやるように働きかけた発言だと私は思います。

 昨年の秋の臨時国会は当初、「会期36日間」ということで、この短さに私以外にも複数の記者が嫌な予感がしたそうです。案の定、「与党慣れしていない与党(民主党)と野党慣れしていない野党(自民党)」が強行採決したり、審議拒否したりして、国民新党代表で閣僚だった亀井静香さんが一人大暴れした印象だけが残った国会でした。第45回衆院選政権交代チルドレン143人のデビューはほろ苦い物となりましたが、その多くが「国会とはこんなものなんだ」と思い込みだして、私も記者の友達に「相手は国会議員でも、ちょっと前の民主党と今の姿が様変わりしてしまったのを知っているのは僕らなんだから、ハッキリ言おう」と呼び掛けて、12月から洗脳を解くために、記者というよりも国民として何人かが立ち上がってくれました。

 きょう、国会議員会館に行って、私は記者章がないので、セキュリティチェックを受けて入館するのですが、参議院議員会館では17分も待ちました。昨年来の臨時国会、通常国会で法案や請願の処理が遅れており、さらに6月中旬から3ヶ月半の国会休戦があったということで、「ぜひ秋の臨時国会で遅れているこの法案を成立させてください」と各議員事務所を戸別訪問するみなさんでごった返していました。Law-maker 法律工場である国会が待ったなしの状況になっている気がしました。

 とにかく補正予算です。それと、野党・自民党は仙谷由人官房長官をねらってくるんじゃないかな~と感じますので、仙谷ガードが大事です。 

 「ねじれ国会」ではなく「ねばり国会」にしましょう。熟議の政治で日本を前に進めるためにしっかりていねいに確認しながら進んで欲しいです。ここ数日の官房長官会見では仙谷さんが自分の至らなさを一部認めており、クリーンでオープンな熟議の政治が根付きだしたんだと、前向きにとらえています。先輩議員でも、何か勘違いしていたら、しっかり指さし確認して、前に進んで欲しいと思います。

菅首相、補正を指示 「財政法の特例法案」がカギに 玄葉キャプテンが政権の命運握る

2010年09月30日 06時28分49秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[写真]民主党政調会長で国家戦略相の玄葉光一郎さん

 総理大臣で民主党代表の菅直人さんは27日、党本部での政府・民主党首脳会議で、ことしの国予算を補正するよう命じました。民主党が組んだ本予算(4月1日スタート)を民主党が補正するのは結党以来これが初めてのケースになります。

 しかし、7月11日の第22回参院選により国会がねじれましたので、与党以外の賛同が不可欠となりました。平成22年度(2010年度)の(第1次)補正予算案は、第176臨時国会に提出されます。衆参の本会議・予算委員会でおそらく2週間前後の審議時間をとられますので、なかなかタイヘンです。

 そして、16日発足した菅改造内閣で、新しく国家戦略相も兼ねることになった民主党政調会長の玄葉光一郎さん(福島3区)が、景気対策だけでなく、来年度当初予算案とその関連法案(日切れ法案)の成立の最大のキーパーソンになりそうです。後述しますが、玄葉さん見事です。

 菅内閣は、一般会計だけで歳入歳出(収支)総額92兆2992億円、そのうち私たちのくらしに役立つ一般歳出は53兆円を計上した、今の国の予算の歳入(収入)や歳出(支出)を増額させたり、ちょっと減額したりして補正予算案を編成します。おそらくですが、総額で、96兆~97兆円の一般会計予算に増額するというような議案を国会に提出するものと思われます。

 29日発表の日銀短観でもリーマン・ショック以来回復してきた日本経済が、円高や給料減による消費減で、年末に少し失速しそうな気配が出ていますが、これを未然に防ぐ景気対策が最大の狙いです。

 ところが、当選6回46歳の玄葉国家戦略相の最近の発言からは、来年の通常国会で迎える“3月危機”(予算関連法案が参議院で通らない、ないしは否決されること)を未然に防ぎ、政権を守ろうとする布石をいくつも感じます。

 例えば補正予算の財源ですが、今年度の税収の国庫への歳入は105%ほどで推移してきています。法人税、相続税が見積もりよりは多く、ジェット燃料税なんかは日航の件もあって歳入歩合は100%を切っていますが、その辺はそんなにウェートが大きくありませんから、おそらく4~6月期だけで2兆円近く、上半期では間違いなく2兆円を大きく上回る上ブレ分が出ています。

 そして、これが玄葉さんのすごいところは、前年度決算で余った不用額などの剰余金を使おうとしていることです。これも1・6兆円ほどあるようで、これを使えば、2兆円(ただし、一部は地方交付税に自動繰り入れ)+1・6兆円+αで4兆円ほどのお金が出てきます。ところが、このうちの1・6兆円のお金は「財政法の特例法案」を成立させないと使えません。

 財政法6条では、「各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、2分の1を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない」としています。

 ですから、昨年度の剰余金をすべて今年度の補正予算にぶち込もうとするアイディアは、財政法違反なのですが、「他の法律によるものの外」となっていますので、「財政法の特例法案」を臨時国会で成立させれば可能となります。

 で、広い意味で、「財政法の特例法案」というのは、実は大平内閣以来、毎年通常国会で成立してきているのです。すなわち、赤字国債を発行するための臨時公債特例法案です。財政法4条「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」とする条項の但し書きに基づく立法です。財務大臣として3回本予算を組んで成立させた経験を持つ自民党総裁(シャドウ総理)の谷垣禎一さんは、この「臨時公債特例法案」を人質に取りたいとする趣旨の発言を繰り返しています。だから、財政法の特例法案」を「民公賛成で衆参可決」させるという実績を年内に早めに作っておこう、と玄葉さんが考えているのだ、と私は思います。ここに中期的な視野に立った玄葉さんの政策および政局両面での見通しの良さを感じざるにはいられません。

 第174通常国会の2010年3月2日の衆院本会議でも、臨時公債特例法案、ことしの名称は「平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案」でしたが、この法案が審議され、可決し、参議院に送られ、年度内成立しました。

 これについて、当時の衆議院財務金融委員長だった玄葉さんが本会議に登壇しています。そのときの議事録です。

(衆議院議事録より引用はじめ)

○議長(横路孝弘君) 平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長玄葉光一郎君。

    〔玄葉光一郎君登壇〕

○玄葉光一郎君 ただいま議題となりました各法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案は、平成二十二年度の適切な財政運営に資するため、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めるとともに、財政投融資特別会計からの一般会計への繰り入れの特例に関する措置並びに外国為替資金特別会計及び食料安定供給特別会計からの一般会計への繰り入れの特別措置を定めるものであります。

(中略)

 各案は、去る二月十六日当委員会に付託され、十九日菅財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、二十四日から質疑に入りました。二十六日には参考人から意見を聴取し、本日鳩山内閣総理大臣に対する質疑を行うなど、慎重に審査を行い、質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、順次採決いたしましたところ、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案はいずれも賛成多数をもって、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

(衆議院議事録より引用おわり)

 これに対して、自民党からは小泉進次郎さんが反対討論に立ちました。そして、公明党の石井啓一さんも反対討論に立ち、その理由を「平成二十二年度予算案は、鳩山内閣における中長期的な財政の見通しが全く示されない中で、将来への不安を増幅する場当たり的な予算案となっています」と述べました。

 しかし、その後民主党政権は「中期財政フレーム」を作り、中期的な財政の見通しは閣議決定しました。また、納税者に不信をいだかせた鳩山由紀夫さん、小沢一郎さんの代表・幹事長コンビは表舞台から去っています。

 ですから、玄葉さんとしては、この臨時国会で、剰余金の今年度補正予算への繰り入れの特例法案を民主党と公明党の賛成多数で衆参ですんなり通して、来年の通常国会では、「臨時公債特例法案」も民公の賛成多数で衆参ですんなり通したいという思惑があるということはほぼ間違いない、と私は推測します。

 玄葉さんは昨年5月16日の野党・民主党の代表選で、「総理大臣になる準備がイチバン出来ている」として、岡田克也副代表を引っぱり出し、敗北しました。このため小鳩ににらまれたようで、政権交代後も衆院財金委員長という、玄葉さんにしては不足に感じられる役回りとなりましたが、そのなかでもしっかりと勉強していたようです。

 ところで、民主党内で、来年3月末に菅内閣は窮地に立たされ、解散に追い込まれるという噂が流れていて、困ったものです。これはまったくおかしな話で、予算関連法案を3月中に成立させられなければ菅政権は確かに窮地です。しかし、参議院では過半数割れ、衆議院では単独過半数はあるが3分の2はないという状況で、衆議院を解散しても全く意味がありません。ですから、追い込まれた場合にあり得るのは総辞職であって、解散ではありません。

 で、予算関連法案が3月末に成立しなかった例としては、2008年の通常国会で福田康夫内閣が租税特別措置法案の成立に失敗し、4週間、揮発油税(ガソリン税)と軽油取引税の暫定税率分が失効し、2000億円以上の税源を失いました。このときに、福田首相は「困っている」とは言いましたが、「解散したい」と言ったことがあったでしょうか。このとき、ガソリン値下げ隊長としてがんばった川内博史さんには、これからもお国のために、国民のために、志を失わずにこれからもがんばってほしい。が、やっかいなのは、そのときの国対委員長だった山岡賢次さんです。与野党問わず、国対委員長を経験したベテランが「3月に解散に追い込まれる」と言えば、信じちゃう若手議員・秘書も一部にいるでしょう。たしかにあのガソリン値下げは素晴らしい実績でしたよ、山岡賢次さん。でも今のようなことをしていると、その実績も胡散霧消してしまいますよ。

民主党:菅総理が内閣総理大臣指示を発令 政府・民主党首脳会議

 政府・民主党首脳会議が27日午後、党本部で開かれ、政府側から菅直人総理(代表)、仙谷由人官房長官、玄葉光一郎内閣府特命担当大臣兼政策調査会長が、民主党側からは岡田克也幹事長、鉢呂吉雄国会対策委員長、輿石東参院議員会長が出席。古川元久、福山哲郎両官房副長官、枝野幸男幹事長代理が陪席した。

 会議後に福山官房長副長官は記者団に、会議では菅総理からニューヨークで開催された国連総会およびオバマ米国大統領との会談についての報告があったほか、鉢呂国対委員長から国会開会に際しての野党との協議についての報告、これに関連して提出法案や会期等について意見交換がなされたと語った。

 また、菅総理から内閣総理大臣指示が出されたとも報告。これは、「現下の円高と厳しい経済情勢に対応しデフレ脱却と景気回復に向けた動きを確かなものとするため、新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策を踏まえ緊急的な対応、ステップ1に続き22年度補正予算編成を含む経済対策ステップ2の実施を検討する」というもの。与野党の提言を踏まえ、(1)雇用・人材育成、(2)新成長戦略の推進、(3)子育て・医療・介護・福祉等(4)地域活性化・社会資本整備・中小企業対策、(5)制度規制改革――が5つの柱。22年度補正予算においては、経済の活性化や国民生活の安定・安心に真に役立つ施策を盛り込みつつ、その他緊要な経費の追加も行うこととするとして、上記の考え方を基本に、政調会長が中心となって官房長官、財務大臣および経済対策のとりまとめ担当である経済財政政策担当大臣と連携しつつ、与党および野党との意見交換を進められたいとしている。

 福山官房副長官は、これを踏まえどのようなかたちで進めていくか等について党側も含め活発に意見交換を行ったと述べた。


菅さんが東京富士美術館訪問で公明党「逆にやりにくい」と照れる

2010年09月28日 07時12分40秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
 菅直人さんが9月26日(日)、池田大作さんが1983年につくった「東京富士美術館」(東京・八王子市)を訪問し、この日が会期末だった「ポーランドの至宝 レンブラントと珠玉の王室コレクション」を堪能しました。

 詳しい方も、そうでない方もいらっしゃると思いますが、レンブラントはポーランドではなくフランドル、オランダの生まれですから、これはポーランドの美術館のコレクションの一部を運んできた展覧会と言うことになります。平成不況後の我が国の西洋美術の展覧会はこの形式が増えています。

 私も菅さんに触発されて、東京富士美術館に行ってみようかと思いましたが、この展覧会は残念ながらすでに会期末で、このあと、西の文化の巨人・佐治敬三さんがつくったサントリーミュージアム(大阪・天保山)で10月6日~31日、北九州市立美術館・分館で11月10日~12月5日、広島県立美術館で12月15日から年をまたいで1月12日まで開かれるそうですので、お近くの方はのぞいてみたらいかがでしょうか。スケジュール→http://www.fujibi.or.jp/exhibition/old/pohland/index.html

 ちなみに、日本人、とくにその99%以上であるクリスチャンでない日本人には、レンブラントは難しい、肖像画はいいけど宗教画は難しいと言われます。私もそう思いますが、数年前に気付いたのですが、レンブラントは近くの具象的な部分はより具象的に、そして、遠くの抽象的な部分はより抽象的に描いているんですよね。美術学的な説明は私にはできませんが、そういう風に、具象性と抽象性のメリハリが利いていて、だから画面からドカーンと飛び出てくるように見えるんだ、と思うとレンブラントが見やすくなるかも知れませんので、ためしてみてください。

 
[画像]「ポーランドの至宝 レンブラントと珠玉の王室コレクション」のチラシ(同館HP)

 私は八王子の東京富士美術館には行ったことがありませんが、私は中央線沿線の高校に通っていましたから、うちの学校法人は創価学会とは全く関係がなく、むしろ立正佼成会の開祖の親族が同窓生だったりしますが、東京富士美術館の入場券(おそらく割引券ではなく、無料券だと思います)をいただいたことがあります。

 このように、ヨーロッパ貴族の専有物であるレンブラントに、太平洋の島国の日本国民、それも庶民が触れる機会をつくってくれる池田大作さんは、創価学会員ではない私から見ても、すばらしい方だと思います。池田さんは三井不動産の江戸英雄会長にかけあって中国人留学生200人を留学終わりに東京ディズニーランドに招いたりしています。三井不動産、とくに江戸会長のころはしこたま貯め込んだんだから、そのくらいして当然ですが、これも池田さんがかけあってスタートしたということです。

 芸術の秋とはいえ、あまり美術展が好きなようには思えない団塊の世代の菅さんが、東京富士美術館を訪れたことについて、公明党に秋波を送ったとの観測があり、27日付日経新聞2面は、公明党幹部は「魂胆が分かりやすすぎる、逆にやりにくい」と述べたと伝え、公明党幹部が照れるほどの秋波だったようです。

 
 
[写真]上・池田大作さん(創価学会ホームページ)下・特別展の入場10万人突破を喜ぶ東京富士美術館のみなさん、9月17日(同館HP)。

 人生の成功者が1ヶ月(30回)にわたりその歩みを振り返る日経新聞の「私の履歴書」ですが、池田大作さんは35年も前に登場しています。それをまとめた聖教文庫のはしがきで池田さんは「47歳と、ようやく半世紀に達しようとしている若い私にとって、人生はいよいよこれからが正念場である」として、執筆を依頼された1971年頃から数回執筆を求められていて、「お断りばかりもできなくなって、お受けしたしだいである」と書いています。

 ところで、これとは別に1968年12月に、池田さんは『マイライフ』という印刷物に、次のような随筆を書いてます。タイトルは『一枚の絵』で、「私の自室に一枚の絵がある」と書き出し、初めてのヨーロッパ旅行でみつけた複製画のエッチングを購入した思い出をつづっています。ところが『一枚の絵』という随筆なのに、どういうわけかもう1枚の絵の話になります。「私の事務をとる会館に、一枚の絵が懸かっている」として、東山魁夷(ひがしやま・かいい)の『青い沼』という絵を紹介しています。

 池田さんは東山魁夷の『青い沼』について、「いかなる一本の木も、氏の手にかかると、一つの性格さえ帯びて、そのすがすがしい瑞々しさを発散する」と評しています。これを読んで、私はサラリーマン時代に見飽きた一つの絵を思い出しました。

 
[画像]日本経済新聞社の社章「太陽樹」東山魁夷の作品

 日経新聞社の社章、「太陽樹(たいようじゅ)」で、東山魁夷の筆によるものです。これはまさに「いかなる一本の木も」「一つの性格さえ帯び」「すがすがしい瑞々しさを発散」しています。この随筆を発表した3年後に、日経は池田さんに「私の履歴書」の執筆を依頼し始めたことになります。池田さんが送った秋波と見ることもできます。

 池田さんは随筆を「一枚の絵について語ろうとして、つい二枚の絵を語ってしまった。その罪は私にあるのではない。東山魁夷の一枚の絵が強引に発言を求めて、きかなかったからである」と締めくくっており、どうやら池田さんが照れ屋さんであることがうかがえます。そして、記念すべき1975年(昭和50年)2月1日付日経『私の履歴書』の第1回を池田さんは次のように書き出しています。

 「私の履歴書はいたって平凡である。」

 
池田さんはやはり照れ屋のようです。

 ◇

 民主党幹事長の岡田克也さんは『岡田語り。』で次のように述べています。
 
[画像]岡田克也著『岡田語り。』

 「今回のイギリスの一件(2010年5月6日の総選挙)を見て、完全小選挙区制は、やはり問題があるということを改めて感じた次第です」「基本的にはきちんと政権交代ができる大きな2つの政党が競い合うということであり」「時には連立政権もあるという柔軟性が必要だと思っています」(の299~300ページ)。

 二大政党を動かすうえで欠かせないのは第三極の存在です。私もこの1年間でようやく分かってきました。そしてそれが我が国においては公明党であることは言うまでもありません。積極にデートに誘う菅さんの民主党と照れ屋さんの公明党ですが、ここはお互いの組織のためではなく、ニッポンのたまに大人の連携に踏みきらなければなりません。

 さあいよいよ、第176臨時国会がこの金曜日(10月1日)にスタートします。2010年10月1日を、日本の歴史を前に進める記念日にしましょう。これから3年間続くのは「ねじれ国会」ではありません。民主党と公明党の熟議が作り上げる「ねばり国会」です。もう、ああだこうだいっている場合ではありません。

 ◇

 きょう(9月28日)、午前10時から参院外交防衛委員会で尖閣諸島問題で閉会中審査が開かれます。内閣最年長の防衛大臣、北澤俊美さんが答弁に立ち、安定感を示すものと思われます。質問には佐藤正久シャドウ防衛副大臣らが立ちます。1年前の小沢一郎独裁体制に比べれば、日本は少しだけ前に進んでいる、と僕は思います。

再選の公明党の山口代表が八丈島で小沢一郎氏に引退勧告か?

2010年09月24日 21時53分26秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[画像]公明党代表の山口那津男さん(公明党YouTubeからキャプチャ)

 公明党ウェブテレビ公明党YouTubeなどによると、公明党代表の山口那津男さんが9月22日の定例記者会見で、きょう(9月24日)届出が始まり、10月2日(土)の公明党第8回定期大会で選出される次期代表に名乗りをあげました。



 

 定例会見冒頭の山口さん。記者から質問される前の冒頭発言の中で、自ら、9月21日、八丈島で、小沢一郎氏と鉢合わせになったとの一部報道について「驚いた」「接触もない」「誤解のないように」と弁明し、まったくの偶然であったことを強調しました。

 前々から、この日の記者会見で、晴れやかに代表選出馬表明をしようとしていたのに、その直前に、よりによって「小沢一郎氏と八丈島で密談か?」との冷や水がかかって、公明党内外から疑念がかかりました。

 太田昭宏前代表の第45回衆院選落選および党敗北の責任をとってリリーフした今回の任期と違い、定期党大会からスタートする新しい任期に向けて、同党中央幹事会で決意表明をした晴れの舞台が台無しになりかねない事態に、自ら「身の潔白」を証明したようです。政党党首が定例会見の冒頭発言で、特定の政治家との接触を否定するのは極めて異例のことです。

 山口さんは「一部報道されましたが、私は昨日(9月21日)に八丈島(東京都八丈町)に来月(10月17日)の町会議員選挙を前にして、新人候補を擁立する(予定である)ことから、党の関係者と打ち合わせなどをするためにおもむきました。帰りの(飛行機の)便で驚いたことに、小沢一郎元代表と同じ便で帰ることになりました。びっくりしましたけれども、帰り際にごあいさつを申し上げたということでありまして、それ以外の接触も小沢さんがどういう理由で八丈に来られていたかおも全く承知するところではありません。誤解のないように申し上げます」

  として、同じ時間帯に八丈島に居たのは事実だが、まったく偶然だったので、誤解しないでくださいと強調しました。

 また記者からの質問に答えました。

 山口さんは小沢一郎氏に対して

 「お疲れになりましたでしょう、しばらくでございました」と声をかけたそうです。

 山口さんは釣りに疲れたと言っているのではなく、「(代表選挙で)お疲れになりましたでしょう。(新進党解党・自自公連立政権離脱以来)しばらくでございました」という政治用語と解釈できるでしょう。つまり、「お疲れになりましたでしょう」とは、「もうそろそろ政界から引退したらどうですか」という意味だととらえるのが筋でしょう。

 山口那津男さんと小沢一郎さんには大変な因縁があります。

 2人はともに、かつて新進党衆院議員として同じ釜の飯を食った仲でした。しかし、山口さんは1996年の第41回衆院選で東京17区に出馬しましたが、落選しました。

 第41回衆院選は私も大学生として、山口さんと同じ新進党東京都連、私は東京11区でしたが、選挙を手伝っていました。その前年の第17回参院選では、東京・西新宿の魚住裕一郎選対本部に東京11区総支部から派遣され、情勢を報告しろ、と言われて分からないなりに答えました。同じ新生党出身で東京9区の吉田公一先生の秘書さんが助けてくれました。

 新進党東京ブロックは、小選挙区を得られなかった創価学会5議員と連合系新人1人が比例単独となりました。そして、小選挙区立候補者は小沢氏の「国会議員が小選挙区で勝ち上がれなくてどうする」との持論で、いっさい比例重複しないことになりました。ところが、小沢氏が東京5区に野村沙千代さんを擁立すると、なぜか彼女だけ比例名簿6位に重複登載されるという「小沢のダブルスタンダード」に東京都連に白けムードが走り、東京の25小選挙区中、新進党はわずか5議席という大惨敗となりました。野村さんは候補者でありながら、なぜか東京11区の応援弁士にやってきました。この応援演説は、当時ヤクルトスワローズ監督の野村克也さんとツーショットという豪華なものでした。ですがなぜかウグイス嬢は「野村克也さんが応援演説に・・・野村克也さんが・・・」と繰り返し、球団名と肩書きをまったく言わないことに違和感が残ったと、聴衆の間で話題になりました。その野村さんですが、東京5区で「惜敗率51・15%」と大敗北を喫しました。当然惜敗率51・15%の候補者の応援を受けた当陣営も落選。当選した自民党新人とは7、100票差の次点でしたが、3位の共産党ベテランに6、663票差まで迫られていました。今振り返ってそのことに気付きました。何もかもグチャグチャな選挙でした。私は就職活動に時間を取られ日本経済新聞社に入社が内々定した直後から小選挙区に張り付きましたが、都連や党本部はシッチャカメッチャカの大混乱だっただろうと想像されます。自分で小選挙区比例代表並立制の改正公選法をつくっておきながら、運用段階では自分の党では重複させないと宣言し、そのあげく公示直前に特定の候補者だけ重複させるという小沢一郎党首にありがちな戦略ミスでしたが、それでも全国では衆院の3分の1近くの議席を得ましたので、結党直後にもかかわらず50議席をとった鳩菅民主党と協力して、もう少し辛抱すれば未曾有の平成不況の第42回衆院選で政権交代できたでしょう。

 山口さんは浪人中に新進党を解党されてしまったので、苦労したでしょう。5年間の浪人生活を経て、公明党の最重要選挙区である参院東京選挙区から国政に帰りました。このことから、山口さんは公明党立党者で創価学会第三代会長の池田大作さんに信頼されていると、推測されています。

 このように山口さんの人生だけを見ても、小沢さんにずいぶん翻弄されてきたことが分かります。小沢さんに「お疲れになりましたでしょう」と言うのは当然でしょう。

 きょうも元気で、あしたも元気で。そして、100年後の私たちの子どもたちが『きょうも元気で』と歌えるように。そのためには、ねじれだろうが、何だろうが、民主党主流派と公明党・創価学会のみなさんは、小沢一郎氏にレッドカードを突き付け、歴史を前に進めなければなりません。

 
[画像]レッドカードを突き付ける山口那津男さん(NHKから)

 ◇

 公明党代表選は山口那津男さん以外に立候補者がなく、24日山口さんの続投が決まりました。10月2日の定期党大会で了承されます。公明党の党首選は一度も選挙になったことがないことから、立党者の了承がないと立候補できない、と言われています。このことから、公明党・創価学会は池田大作さんら、その組織をあげて、小沢氏と距離を置いていることが明確になりました。

 その一方で、衆院4期生でバイオベンチャー企業の技術者の経験がある江田康幸さんが8日に菅直人首相を官邸に訪ね、13日の「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)特命チーム」に参加するなど、超党派というよりも、菅内閣に公明党専門家議員が飛び込むという新しい動きが起きています。

 自民党さんにはバックアップ政党として第46回衆院選に向けてじっくり準備をしていただきましょう。

 やはり大衆のこと、庶民のこと、福祉のことを知っている「チーム3000」の力が必要ですし、統一地方選で政策をつくるチャンスです。民主党主流派も「クリーンでオープンな民主党」をしっかりと構築し、元祖クリーンの公明党さんに信頼してもらえる土壌作りが必須です。

公明党代表選:山口・公明、試行錯誤 きょう再選、手腕問われ(毎日新聞)
 ◇「政権にレッドカード」一転「是々非々」
  公明党は24日、党代表選挙の立候補を受け付け、山口那津男代表(58)が無投票で再選される見通しだ。昨年8月の衆院選で惨敗し、野党に転じた同党はこの1年、民主党政権との距離感を巡って試行錯誤を続けてきた。「ねじれ国会」でいかに存在感を高め、来年の統一地方選や次期衆院選につなげるか。山口氏にとっては党再建の手腕が問われる2期目となる。【岡崎大輔】

 21日、東京・八丈島から羽田空港に向かう飛行機に山口氏と民主党の小沢一郎元幹事長が同乗した。到着後、小沢氏に気づいた山口氏が「お疲れさまです」と声をかけると、小沢氏は「大丈夫。元気だよ」と応じた。

 これが一部で報じられると、山口氏は22日の記者会見で「帰り際にあいさつしただけ。それ以外の接触はなく、小沢氏の目的も知らない。誤解ないように」と自ら切り出した。実際に偶然だったが、山口氏の釈明は、公明党が民主党との関係に神経質になっていることを印象付けた。

 公明党は今年1月、細川連立政権で小沢氏と「一・一ライン」を築いた市川雄一元書記長を常任顧問として復帰させた。2月には支持母体・創価学会の秋谷栄之助・最高指導会議議長らが小沢氏と東京都内でひそかに会談。通常国会では政府の子ども手当法案と高校授業料無償化法案に賛成した。一連の動きは「民・公連立の布石」との憶測を呼び、支持者の反発を招いた。

 公明支持層は「政治とカネ」問題に敏感だ。小沢氏に対しては今秋にも検察審査会の議決が出る見通しで、同党が民主党と距離を置く一因になっている。

 だが、7月の参院選で「レッドカード」を突きつけた菅政権に対する姿勢には変化のきざしもみえる。13日に発足した政府の「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)特命チーム」に、公明党から江田康幸衆院議員がオブザーバー参加したのはその一例。党幹部は「菅さんは正面からくるだろうから、こちらは是々非々だ」と語る。統一選を前に政策で実績を上げなければ党勢回復はおぼつかないという危機感がにじむ。

 一方、選挙戦略では自民党との違いが目立ち始めた。菅政権を早期解散に追い込みたい自民党に対し、山口氏は16日の会見で「(衆院)解散一辺倒で求めていくわけではない」と明言。統一選と近い時期の衆院選は好ましくないとの見解も示した。公明党の動向は、11年度予算関連法案の審議が大詰めを迎える年度末に向け、国会での野党共闘の成否を左右することになる。

tag 新進党を解党した小沢一郎を歴史法廷の断頭台に送ろう。


来週10月1日(金)召集 第176臨時国会

2010年09月22日 20時02分51秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[写真]民主党国対委員長の鉢呂吉雄さんと国対委員長代理になった牧野聖修さん

 民主党の鉢呂吉雄・新国対委員長、牧野聖修・新国対委員長代理らは、第176臨時国会(秋の臨時国会)について、野党の要求を受け入れて、召集日を来週に繰り上げることを決めました。鉢呂国対委員長は「10月1日に召集する」という案を、と国民新党の下地幹郎・国対委員長、自民党の逢沢一郎・新国対委員長、公明党の漆原良夫・国対委員長らに提案し、了承を得ました。

 これにより、天皇陛下は憲法第7条により、菅直人内閣の助言と承認により、10月1日(金曜日)に第176臨時国会を東京に召集する運びとなりました。

 菅さんは早期召集にこだわる野党に配慮し、ASEM(アジア欧州会議)の出席をあきれめて、ねじれ国会での話し合いを優先することにしました。

 日程は1日(金)に菅さんの所信表明。土日を挟んで、4(月)~6(水)に衆参で各党からの代表質問。7(木)8(金)に衆院予算委。3連休を挟んで、12日(火)13日(水)に参院予算委に臨む予定。言うまでもなく、参院での審議は重要です。

 この後、その他の衆参常任委員会で大臣所信表明と一般質疑が行われますが、ごく一部の委員会では閉会中審査で大臣のあいさつが終わっているところもあります。

 第1次補正予算案の提出は会期途中になりますが、その際は、本会議での野田佳彦財務大臣の財政演説と質疑、衆参予算委員会で、他の委員会が最低1週間ストップします。

 このことを考えると、当初の会期設定は別として、臨時国会は、2回延長できますが、おそらく年末まで、あるいは越年も含めたロングラン国会になりそうです。

 この間、行政刷新会議の事業仕分けが合計10日間ほど行われます。この辺でもうまく国会との両立が可能となるよう、仕分け人とそれ以外の議員との意識の共有を期待したいです。また政務三役は、財務省などによる来年度当初予算政府原案の査定作業(12月20日ごろ閣議決定か?)や、政府税制調査会での税制改正の話し合いなど与党内での調整と国会での答弁を両立させることになります。

 ねじれ国会は公明党、社民党、みんなの党などと連携すれば法案は成立します。対決法案に関しては、全方位外交ではなく、「自民党はあくまでも敵だ」というキッパリとしたメリハリのある対応を、衆参各委の理事に持って欲しいと私は思います。

臨時国会は10月1日召集、野党要求で前倒し(読売新聞) - goo ニュース

臨時国会は10月1日召集、野党要求で前倒し
2010年9月22日(水)11:09
 政府・与党は22日午前、臨時国会を10月1日に召集することを決めた。

 政府・与党は菅首相や閣僚の外遊日程を考慮し、6日召集で調整していたが、野党が円高対策の審議などを理由に早期召集を求めたため、日程を前倒しした。1日に首相の所信表明演説を、4~6日に衆参両院本会議での代表質問を行う予定だ。

 これに伴い、首相は10月4、5日にブリュッセルで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議への出席を取りやめた。

 民主党と国民新党の国会対策委員長は22日午前、国会内で会談し、通常国会で廃案になった郵政改革法案を臨時国会に再提出する方針を確認した。

 民主党の鉢呂吉雄国対委員長は今年度補正予算案を臨時国会で扱うかどうかについて、「内閣が最終的な決定をしていない。内閣の方向を見定めながら対応する」と述べた。


松本龍・環境大臣兼防災担当大臣に関心高まる

2010年09月22日 17時48分33秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[画像]環境相・防災担当相就任記者会見にのぞむ松本龍さん、2010年9月17日深夜、首相官邸(政府インターネットテレビからキャプチャ)

 菅改造内閣で、環境大臣・防災担当大臣に福岡1区の7回生の松本龍さんが入閣したのは若干驚きました。しかし、それ以上に驚いたこと。内閣改造当日の9月17日だけで、グーグル・ヤフー検索で、「松本龍」で206PV(ページ・ビュー)、親族が経営する会社である「松本組 松本龍」と組み合わせた検索を含めると、300PV以上、「松本龍」関連のキーワードでこのブログに来てもらいました。昨年6月に書いたエントリー(松本龍さんがトップに 所得ランキングは2年連続で民主党)は1日で合計365PV(ページ・ビュー)読んでもらいました。

 なぜ、松本さんにこれだけネット検索が集まったかということですが、これは、松本さんが「解放の父である松本治一郎の孫」であり、本人も「解放同盟副委員長」を務めている、ということでしょう。つまり「」と「大臣」という組み合わせが、これが日本におけるネット社会と親和性が高いということだと思います。しかし、「それがどうした?それより、大臣としての仕事ぶりはどうなの?」というのが圧倒的な2010年の世論でしょう。こういったネット検索の結果からも、時代が静かに、でも急速に動いていることが分かります。

 官邸での就任会見や報道各社のインタビューで、松本さんは「未来の子どもたちから地球環境を預かっている」との心構えを示し、第174通常国会で、参院委員会で採決直前まで行きながら、閉会で廃案となった「地球温暖化対策基本法案(岡田・福山法案)」について、「速やかに(第176)臨時国会に提出して成立させる」と明言。その中で、「国会審議の中で、よい案が出てくれば取り入れたい」として野党からの修正可決に柔軟な姿勢を示しました。これは第174通常国会で、元環境大臣で公明党政調会長の斉藤鉄夫さんが、当時の環境大臣の小沢鋭仁さんの答弁に納得しない場面が多々見られ、審議が滞ったことが念頭にある、と私は推測しています。また、野党時代の民主党地球温暖化対策本部(本部長・岡田克也副代表、事務局長・福山哲郎参院政審会長)がつくった「2020年に1990年比で25%削減する中期目標」について、「(09マニフェストを掲げた衆院)選挙のころは非常に高いと思ったが、志(こころざし)高くやる!」(日経20日11面)と述べました。

 「民間人です」さんが応援している来月の名古屋での「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)での遺伝資源の利用ルールを定めた名古屋議定書については「先進国と途上国の意見をとりまとめ、後押しする」として、国連総会で各国の環境大臣との下ごしらえに意欲を示しました。松本さんは衆院環境委員長を2回やっています。

 一部情報では、国際会議が多い環境大臣と防災担当大臣は両立しにくいのではないかとの意見を仙谷由人官房長官に申し入れているという話もあり、地位や評価に執着しない「お坊ちゃん大臣」の良い面が表れており、期待したいと思います。

 ◇

 戸籍法第107条1項は「やむを得ない事由によって氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない」とあります。この戸籍法は1947年12月22日に、戦前の戸籍法を廃止する格好で、公布されました。家父長制廃止に伴う立法措置で、これは戦後ニッポンわが国民が自ら洋々たる前途を切りひらくために判断した、ということでは残念ながらなく、進駐軍(GHQ)命令である、というのが定説です。

 手前味噌な話で恐縮なのですが、私の祖父は、農業を兼ねながら、長野県篠ノ井市、1966年に長野市に合併していますが、篠ノ井市の市会議員をしていたことがあります。島崎藤村の『破戒』とは同じ長野県でもかなり場所が離れていますが、それでも、集落にはまったく不合理に言われなき差別を受けている方がいらして、その方々がある2つの苗字に集中している傾向があることに気付いたそうです。で、その方々に、この戸籍法第107条を使って、「苗字を変えたらいい」と説得して、書類を代書して、列車に乗って長野家庭裁判所まで一緒に行って手続きをしていたそうです。、ご近所さんからは「幸隆さん、そんなことしても一銭の得にもならないからやめなよ」と言われ、祖母は「畑仕事を全部押しつけられた」と怒っていましたが、選挙は強かったようです。私は入れ替わりで、祖父の顔を知りませんが、合理的な人だったんだろうと思います。

 私は東京で生まれ育ったので、同和問題という言葉を知ったのは中学3年の教科書です。中学生のころ、神宮球場に野球見物に出かけたら、試合中のグラウンド整備の合間に、オーロラビジョンから「法務省からのお知らせです!」というコマーシャルが突然流れ、面食らいました。そのコマーシャルを見て、いっしょに行った友人と「これ、あれじゃね、マンデラさんの南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)のことじゃねえの?」などと話しましたが、まさか我が国の現在形の話とは思いもよりませんでした。後で知ったのですが、その友人のお父さんは公明党の区議会議員だったんですが、東京っ子というのは知らないんです。全国から学生が集まる早稲田大学に入学して以降に、この問題を口頭で詳しく教えてくれた学生がいて、彼は現在衆議院議員をしています。

 「解放の父」の孫が入閣して、それが別段違和感がないというところに、前に進んでいるという手応えを感じます。

 ◇

 私も毎日ログ解析をみています。もしも、私がアクセス数を増やすことを目的にこのブログを書くなら、ログ解析から導かれる戦術はひとつ。「小沢と検察」をテーマをどんどん書くばアクセス数はうなぎ登りになるでしょう。そしてそれを見て、「小沢とマスコミ」を書いて、「検察とマスコミ」を書いて、と繰り返すと、情報がある方向にスパイラル、拡大再生産していってしまい、ネット世論とリアル世論が大きく齟齬をきたすことになります。さきの代表選では、ネット世論と、テレビ・新聞世論に著しい乖離現象が生じました。

 私がブログを書いている目的は、「日本における二大政党デモクラシーの定着」であり、「小沢と検察」、「小沢とマスコミ」は別です。例えアクセス数が少なくても自分が書きたいことを書く。政権交代から1年経って、主な政治ブログと私のブログの内容が随分変わってきたようですが、私は自分の書きたいことを書き続けます。


鉢呂吉雄・国対委員長が就任会見「前大臣も筆頭理事に」「同期の桜も誠実に道拓く」

2010年09月17日 23時53分56秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
[写真]国対委員長就任会見にのぞむ鉢呂吉雄さん(2010年9月17日夕、民主党本部、宮崎信行撮影)

 総理で民主党代表の菅直人さんから、ねじれ国会の国対委員長に指名され、9月17日の両院議員総会で承認された鉢呂吉雄さんが国対委員長就任会見にのぞみました。

 鉢呂さんは早めに到着し、岡田克也・新幹事長の記者会見を40分にわたって聞き入った後に、登壇。

 「きょう5年ぶりの国対委員長、そして野党から与党に代わって初めて国対委員長を拝命しました」として、「ねじれ国会では、政策や法案について、各党に誠心誠意、政権与党としての考え(を示し)、協議をさせていただく。『熟議』ということが言われているが、それだけで終わらせてはいけない。必ず合意を得る」と抱負を述べました。

 野党国対委員長としては「ガチンコ相撲の突破力」をモットーとしていたものの、ねじれ国会の与党国対委員長としては「ねばり強く成案を得る」との心境を強調しました。

 そのうえで、これは私が質問したんですが、衆参の常任委員・特別委員の配置は、秋の臨時国会前に転換して、慣らして、年明けの通常国会に臨むタイムスケジュールが慣例となっていますが、「ちょうどその時期だ」として、各議員の希望をとりまとめて第176臨時国会で配置換えをすることを明らかにしました。

 また内閣改造で、大臣も含めた政務三役経験者が党務に帰ってきます。

 鉢呂国対委員長は「政務三役(経験者)にも、党務のところで、国対で、筆頭理事ですとか、委員長ですとか、理事ですとか(やってもらう)。とりわけ臨時国会で実績をあげる(=法律を成立させる)ということになりますと、政治家一人一人がその(専門)分野で、衆院、参院あげて、野党のみなさんに法案の中身を訴え、結果としてのその成案化が求められています。(衆院での)3分の2条項も使えません。もちろんマニフェストの原則に基づいて私たちは制度、法案をつくっていきますけど、野党のみなさんにも説得して、結果としての実績(=法案成立)につながるよう、国会対策委員長としてリーダーシップをとっていきたい」として、「(前の)大臣、副大臣、政務官にも汗を掻いていただきたい」と述べました。

 また私は、鉢呂さんが1990年衆院初当選ということで同期当選組に、自民党の石原伸晃幹事長公明党の山口那津男代表(現在は参院議員)と井上義久幹事長のコンビ、さらには参院自民党の小坂憲次幹事長、そして党内でも岡田克也幹事長、仙谷由人官房長官ら同期当選組がいます。このネットワークをねじれ国会を前に進める車輪にするつもりはありますか?と問いました。

 鉢呂さんは「まあ建前からいけば答えにくいですが・・・そういう気心の知れた人も多くいます。単になれ合いとか水面下とか、そういうことに陥らないように注意しながら、私もそんなに付き合いのいい方ではありませんが、誠実に、誠意をもって、そういう風に道を拓いていきたいと思います」と述べました。

 55年体制では、自民党内閣は初めから社会党が法案修正するための「のりしろ」を付けて内閣提出法案を書いていた、しかも官僚が書いていた、というのが歴史の真実のようです。さらに料亭での接待の後には、ズッシリ重い紙袋がお土産に。官房報償費→自民党国対→社会党国対にオカネが流れていた、と証言している人もいます。

 それに比べれば鉢呂さんは「まあ建前からいけば答えにくいですが・・・」とのことでしたが、90年初当選つながりもドンドン活用して欲しいです。それはクリーンでオープンな政治でしょう。国会議員と官僚の接触が禁止されている英国では、国会開会中は夜ごとにロンドンで様々な「同窓会」が開かれ、それは半ば公然に認められていると聞きます。

 各委員会の理事も、「故郷が近い」「名前が似ている」「趣味が同じ」など、徹底的に活用して、それをクリーンでオープンにしながら、ねじれ国会を動かしていってもらいたいです。

[資料映像]菅民主党、カツカレーで総決起大会 ここから始まる熟議のデモクラシー

2010年09月15日 07時05分49秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
 臨時党大会に先がけて、東京タワー足元、芝公園の「東京プリンスホテル」で、菅直人陣営総決起大会が開かれました。江田五月選対本部長、鉢呂吉雄選対事務総長らがカツカレーを食べて、2時間後に迫った党大会に向けて、最後の団結を図りましたが、民主党らしいオープンで熟議の政治を感じさせました。ニュース動画にまとめてみました。



 さて、民主党国会議員は412人います。そのうち何人が優秀で、何人がそうでないか。それは206人が有能で、206人が無能です。つまり政治家には、絶対的に素晴らしい政治家などいなくて、その評価は相対的なものです。衆院小選挙区は300選挙区どこでも、必ず1人だけ当選します。得票数が相対1位の人が必ず当選する、それがデモクラシーです。

 ですから、「与党もダメ、野党もダメ」、「誰がやっても同じ」という言いぐさは、その人が有権者としての能力がないことを示しています。民主党は野党一筋11年だったため、当選回数7~4回生あたりの一部に政権の重荷を理解していない人がいます。2009年にいたるまで、国民がなかなか政権交代を選択しなかった責めもあります。が、とにもかくにもそれが現実として、前に進むしかありません。

 しかし、これは私の直感、このカツカレー総決起大会に参加した人が、これから向こう20年~30年の政治の主役になる気がするんです。

 民主党結党後、15回目の代表選です。そして、初めて、内閣総理大臣が候補者となった代表選です。与党らしくなってきました。ですから、演説なんかどうだっていいんです。円高とか、中国の船舶だとか、総理にしゃべらすのはアンフェアです。政策本位の代表選ではありません。どういう政治のしくみをつくるか問われた代表選でした。そして、「信頼」。カツカレーで団結した仲間は、観光バスに乗って、党大会会場に向かいました。そして、勝ちました。

 この東京プリンスホテルに集まった精鋭かつ勇者が向こう20年間の国政の主役になりそうな気配を僕は感じる。もちろん、政権交代すれば、野党にまわって国会での攻撃にまわります。もちろん、まだ見ぬ立候補者が、あっという間にトップリーダーに駆け上っていくかもしれません。

 見て見ぬふりする日本人から、物を言う日本人へ。一人一人が主権者です。そのためのお手伝いをするのがこの総決起大会に集まった国会議員です。これは党大会とは別のホテルで開かれています。ひやかし半分で参加した人はいません。この映像に映っている政治家は、みんなホンモノです。

 さあ、一緒に政治に参加しましょう。もちろん、「いやいや俺は第46回総選挙で自民党に政権交代させるから民主党政権に知恵なんかやらないよ」、それもまた大いにけっこう。

 2009年8月30日政権交代の夏の思いを、もう一度だけ民主党にかけてみましょう。