田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

立松和平 知床を語る

2007-11-27 23:40:22 | 講演・講義・フォーラム等
 11月25日、札幌において立松和平氏の新著「魂の置き場所」を記念した講演会が柏艪舎の主催で開催され、受講してきました。
 今回の講演会は、立松氏の子息で札幌在住のライター林心平氏との対談が途中に挟まれるというユニークな講演会でした。

 立松氏はもともと純文学の人ですからそれほど知名度はなかったのですが、ご存知のようにTV番組「ニュースステーション」の中で『立松和平 心と感動の旅』のリポーターとして一気に全国区になった作家です。
 そのリポーターとして知床を訪れ、それ以来知床に関わるようになったということですから、かれこれ30年にわたって知床にこだわっているようです。(もちろん彼の関心は知床だけではなく、日本全国、世界各地に広がっています)

 彼の独特の語り口は、聴く者の心を落ち着かせ、聴いているうちに穏やかな温かい気持ちにさせてくれます。
 それはまるで、彼が心酔する仏教のありがたい説教を聴いているような気分とでも例えられるでしょうか。

 彼の今回の講演は、何かを主張しようとしたのではなく、これまで知床にどのように関わり、知床の人たちとどのような繋がりをもってきたのかを淡々と語ってくれる内容でした。
 無理もありません。彼の知床に関する著書を調べてみると、書名に「知床」と冠した著書だけでも8冊もあるのです。
 彼の知床に対する思いはそこに書き尽くされているということなのかもしれません。

 そして、彼の新刊書「魂の置き場所」の帯に書かれている、
 自然の中に無駄なものは何一つとしてない。これが私が知床から学んだ最大のことだ。
ということが、今彼が一番言いたいことなのかもしれません。

 講演の途中に、息子の林心平氏が登場しました。
 息子の登場に照れくささを隠せない立松氏の表情と、ライターとして独り立ちした息子を案ずる親の心境を率直に語った姿が印象的でした。
 同時に息子が自分と同じ作家の道を歩み出したことに、心のどこかで喜んでいる立松氏の表情も垣間見えたような気がしました。


※写真は著書にサインをする立松氏と、その側にいるのは息子の林心平氏です。