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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

がん治療の最前線の話を聴く 前編

2014-02-04 21:41:56 | 講演・講義・フォーラム等
 医療の世界は日進月歩である。特にがん治療の分野の進歩は著しいようだ。がん治療の今を、4人の先生方から興味深くうかがった。 

               

 2月2日(日)午後、プリンスホテルの国際館パミール(南3西12)において「がんプロフェッショナル要請基盤推進ボード」というところが主催する市民公開講座「がん治療を学ぶ」という講座を受講する機会を得た。
 主催者の本来の目的はその名称にもあるとおり、がん治療の専門家を養成することを主眼とした組織なのだが、その活動の一環として成果を市民にも公開するというのが開催の趣旨らしい。


               
               ※ 講演Ⅰを務めた秋田北大教授です。

 公開講座は最初に、講演Ⅰとして北海道大学の秋田弘俊教授「肺がんの薬物療法」と題されて話された。
 まず、肺がんが他の臓器のがんと比較すると、男女ともに死亡数が最も多いがんであり、治癒する割合も小さいがんであることを強調された。
 そして肺がん治療は手術療法・放射線療法・薬物療法の3本柱であるが、がんの進行状態によって治療法は変わってくるが、その中で「薬物療法」は最もがんが進行したⅣ期の治療法として用いられる場合が多いという。
 その薬物療法であるが、従来は「抗がん薬」を用いることが多かったが、ここにきて「分子標的薬」の開発が進んでいるという。
 分子標的薬とは、がん遺伝子の傷(活性化)によってでき異常たんぱく質(分子)をねらい撃ちにする薬ということだ。
抗がん薬が正常細胞にも作用することで、副作用が強いのに対して、分子標的薬は正常細胞への作用が小さく、副作用も小さいという利点があるという。
 非常に魅力のある分子標的薬であるが、まだ開発途上ということもあり、肺がんのように治りにくいがんの克服のためには、さらなる分子標的薬の開発と個別化治療の推進が求められると締め括った。


               
               ※ 講演Ⅱを務めた唯野北海道医療大教授です。

 講演Ⅱは北海道医療大学の唯野貢司教授「抗がん剤と主な副作用」と題して話された。
 唯野教授は薬物療法として、①殺細胞性の薬剤、②分子標的薬剤、③ホルモン療法剤、④免疫療法剤の4つを挙げられたが、ここでは殺細胞性の薬剤、つまり抗がん剤服用における副作用の話と私は解釈し、話をうかがった。
 抗がん剤は主としてがんの増殖抑制を指標とするため、がん細胞だけでなく増殖の盛んな正常細胞(骨髄、毛髪、消化管など)まで影響を受けてしまうことについては、先の秋田教授が話されていたことと通ずるところである。
 その副作用であるが、一般に脱毛、吐き気、食欲不振などが知られているが、時には生命を脅かす重大な副作用もあるので注意を要するということだ。
 生命をも脅かす可能性のある副作用とは、アレルギー反応、骨髄抑制、下痢、心機能障害、肺障害、2次発がん、などがあるという。


 一般に抗がん剤を投与する場合には、副作用対策を慎重に期しながら投与するということだが、延命措置としての抗がん剤投与のはずが、その抗がん剤が原因で死に至ることになっては本末転倒のようにも思われる。
 長寿社会となり、死亡原因の二人に一人ががんという時代が来るとも言われている。抗がん剤の進化が望まれるところである。(いや、抗がん剤に代わるものが出現するのかもしれない…)