ノンフィクション作家・合田一道氏のお話はどうしてこんなに楽しいのだろう。お聴きしていていつもワクワクする。今回もご多分に漏れず、楽しいひと時を過ごすことができた。合田一道氏のお話の魅力を考えてみた。
※ ご存知、北海道を代表するノンフィクション作家の合田一道氏です。
話は少し古くなるが、9月4日(火)夜、道新ぶんぶんクラブ主催の「松浦武四郎が見た大地」と題するトークショーが北海道新聞本社の社屋において開催された。
トークショーと表現したが、それはぶんぶんクラブの相原秀起事務局長が合田氏に質問する形で進められたからである。相原氏はサハリン支局長を経験するなど、道新きっての北方地域通として知られた方である。
※ 進行役を務めた相原道新ぶんぶんクラブ事務局長です。
話は、松浦武四郎の一生を追う、という形で進められた。
松浦武四郎については、今年が「北海道命名150年記念」ということで、各所で松浦武四郎についての講演・講座・イベントなどが開催されたこともあり、特に目新しい事実が語られたということではなかった。
ただ同じ松浦の一生も、合田氏が語るとこれまで聴いた松浦の一生がいっそう生き生きと蘇ってくるのだ。
何がそうさせるのだろう、と考えてみた。
それは合田氏の徹底した調査が根底にあると私はみている。
合田氏は常に古文書に当たることを自らに課しているようだ。さらには調査する人や事物について現地調査を怠らないということだ。松浦武四郎についても、松浦の生家(現在松坂武四郎記念館となっている)がある三重県松阪市に何度も足を運んでいるようだ。
こうして集めた資料をもとに、通説には頼らない合田氏の確たる人物像を描くところが合田氏の合田氏たる所以だと私は考えるのだ。(そのことは史実を曲げるということではもちろんない)
それは合田史観といっても良いのかもしれない。だから合田氏のお話は生き生きとその人物を語ることになる。それを聴く私たちが楽しくないはずがない。
この日のトークショーは1時間というスケジュールだったが、あっという間に過ぎてしまった。合田氏もまだまだ語りたいようだった。
私は合田氏のお話をこれまで何回聴いたろうか? 20回は下らないのではないだろうか? これからもできるだけ合田氏を追いかけ、歴史を知る醍醐味を味わいたい。