田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

白神山地の旅 回想編④ トレッキングあれこれ

2020-10-28 16:09:59 | 道外の旅

 白神山地を楽しむにはトレッキングが不可欠であった、というのが旅を終えた私の率直な感想である。白神岳登山は別格としても、たくさん用意されたトレッキングコースを歩いて回ってこそ白神山地の魅力にふれることができる。私は今回できるかぎり多くのトレッキングコースを巡り歩いた。

 今回の旅を計画するとき、「白神山地ビジターセンター」のホームページを開いた時に、「あゝ、これはトレッキング主体の旅になるな」と悟った。そこには「散策 登山コース案内」というページがあった。私は自分の持ち時間を勘案しながら、登山は「白神岳登山」、そして散策の方はできれば全てのコースを踏破したいと思った。コースとしては①「世界遺産の径 ブナ林散策道」、②「暗門渓谷ルート」、③「ブナ遺伝資源保存林」、④「マザーツリー」、⑤「白神山地眺望コース」、⑥「十二湖散策コース」、⑦「くろしまの滝コース」の7ヵ所が紹介されていた。

 全てを踏破したいと思って現地に赴いたが、③の「ブナ遺伝資源保存林」はビジターセンターで「現在立ち入れ禁止措置が取られている」と聞いて断念した。また、⑤の「白神山地眺望コース」はトレッキングではなくジャリ道の白神ラインを車で走りところどころの展望台から眺望するということで、純粋のトレッキングとは言いかねた。そこでその他のトレッキングルートについて、それぞれの体験ルポを記すことにしたい。(「十二湖散策コース」はルポ済みである)

世界遺産の径 ブナ林散策道

この散策道は「白神山地ビジターセンター」から山に向かって約17キロ、車で約30分走ったところにある「アクアグリーンビレッジANNMON」という、いわばトレッキング基地のようなところを発着点とした散策道である。一周約2キロ、1~2時間ほどかけて周るコースが設定されていた。比較的容易なコースであることから多くの人たちがガイド付きで回っていた。私はガイドには頼らずおよそ1時間程度で一周した。確かにブナの木は目立ったが、それほど大木には出会わず、印象的にはイマイチのコースだった。

    

    ※ 散策道の入口に立てられていた案内柱。

    

    ※ 巨木と比べるとまだまだ若いブナの木が目立ちました。

    

    ※ 中にはこうしてやや太くなったブナもありました。

暗門渓谷ルート

   

  ※ 「暗門渓谷」と「ブナ林散策道」のマップです。

この「暗門渓谷ルート」も発着点は「アクアグリーンビレッジANNMON」である。暗門渓谷とは、岩木川の支流「暗門川」を遡っていくことでその渓谷部に第一、第二、第三と次々と大きな滝に遭遇するコースである。現在一番奥の第一の滝は立ち入り禁止措置が取られていて、私たちは第三、第二の滝までしか行かれなかった。その第二の滝まで往復5キロ、約2時間を要した。こちらは先のブナ林散策道とは違い、ヘルメットの装着を要請されるなど本格的なトレッキングの心構えが必要なコースだった。旅日記で「深山幽谷に立ち入る気分」などと記したが、両側を高い崖壁に囲まれ、流れる川の脇に設けられた細い山道を歩いているとそんな気分にさせられたのは事実である。その先で見た、見上げるような二つの滝は気分をスカッとさせるに十分だった。

   

   ※ 暗門渓谷の案内標識です。

   

   ※ 入り口から間もないところの散策道はまだまだ広かったですが…。

   

   ※ 奥へ進むと徐々に道が細くなっていきました。(川の向こうの崖沿いに道があります)

   

   ※ そしてとうとう道自体が分かりません。(川の左側の崖の中腹に道があります)

   

   ※ そして目にした「暗門第三の滝」です。

   

   ※ 続いて「暗門第二の滝」です。

   

   ※ ウェブ上から拝借した「暗門第一の滝」です。

マザーツリー

 「マザーツリー」とは、母なる木ということだが、つまり白神山地に生えるブナたちにとって母なる存在のような木という意味なのだろう。このマザーツリーを鑑賞するためには「アクアグリーンビレッジANNMON」からジャリ道の曲がりくねった道を緊張しながら走ること約30分(私には1時間にも2時間にも思えた)「津軽峠」に到着する。そこの駐車場に車を置き、そこから歩くことわずか10分で到達した。ところが!旅日記でもレポしたが、マザーツリーと呼ばれるブナの大木は、平成30年の台風でその上部が折れてしまい、下の幹の部分しか残っていなかった。樹齢が400年ともいわれるマザーツリーは老木となってしまい強い風に耐えられなかったのだろう。残念!

 津軽峠からは先に登った白神岳など白神山群を遠望できた。

   

   

   ※ 津軽峠から見た白神山地の山群です。正面に小さくポツンと出た山が「白神岳」です。

        

   ※ 台風のために無残にも途中から折れてしまったマザーツリーです。

   

   ※ 残ったブナの横には折れて落ちた枝がそのままの状態で横たわっていました。

         

   ※ ウェブ上から拝借した元気だったころのマザーツリーです。

くろくまの滝 

「くろくまの滝」は、暗門の「第三の滝」、「第二の滝」より規模が大きく落差85mほどあるという「日本の滝100選」に選定されている滝である。ここへ至るまでが大変だった。「津軽峠」よりさらにジャリ道を行くこと20キロ、私は緊張にため何度もため息をつきながらの運転となった。(ガイドブックなどではこの道は危険なため、反対側の鯵ヶ沢町側から入るのが良いと記されている)時折り行き交う乗用車やトラックとの交差に神経をすり減らしながら、なんとか「くろくまの滝駐車場」に着いた。駐車場からは約15分ほど山道を上がると滝が見えるところに着いた。特に展望台のような設備もないところだったが、沢の水が落差85mを滑り落ちる様は豪快だった。

   

   ※ 白神ラインの道幅を表す一枚です。    

   

   ※ 白神ラインの道端にくろくまの滝に向かう小さな看板がありました。

   

   ※ 落差85mの「くろくまの滝」です。

                                                                                              

ブナ巨木ふれあいの径

   

   ※ ブナ巨木ふれあいの径マップです。

 先の散策コース7つの中には入っていなかったが、ビジターセンターで紹介され、白神山地最後の日(10月22日)に訪れた。ここも発着点は津軽峠である。つまり私は津軽ラインのジャリ道を二日も運転したのだった。

 コースは津軽峠から片道2キロ、高低差100mのトレッキングだった。ふれあいの径に入るとなるほど先の「ブナ林散策道」とは違い、大きなブナの木があちこちに目に付いた。ちなみに「巨木とは胸高直径が1m以上の樹木を指す」ということだ。樹齢が300年にも達する巨木を何本も目前にすることができ、この旅の最後を飾るに相応しい満足感を得ることができたトレッキングだった。

 それよりお笑い種は、ふれあいの径の途中でたくさんの栗の実が落ちているのを目にした時だった。北海道人にとって栗の実は珍しい。私は巨木の観察も忘れて栗拾いに夢中になった。おそらく100個以上拾ったのではないだろうか?私は大切に家に持ち帰った。ところが、調べたところ野生の栗の実は虫に食われているものが多いという。なるほど子細に見てみると虫に食われているものもかなり見つかった。それ以外の栗の実を軽く湯がいて現在冷蔵庫に保存している。約4週間ほど冷蔵保存することで糖度が4倍くらいに増すらしい。4週間後に栗ご飯を楽しみたいと思っている。

                                                        

    ※ こうした巨木が何本も見られました。(資料によると約30本とか)

   

        

   

    ※ 一方で生まれたばかり(10年程度?)の若木が巨木の傍から育っていました。

         

    

    ※ こちらもに命尽き横たわっていたブナの老木が目に入りました。

 以上、短い時間の中でより多く白神山地の魅力に触れようと巡り回ってきた。しかし、私が触れたのは白神山地の魅力のほんの一端なのだと思う。じっくりと落ち着いてみればまだまだたくさんの魅力が隠されているはずである。特に自然遺産の場合はそうした傾向が強いのではないだろうか?しかし、私のように遠くに住んでいる者にとってはかなわぬ夢であることも事実だ。今回の旅は限られた条件の中でベストを尽くすことができた、ということで私は私自身に及第点を与えたいと思っている。