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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

音楽と美術の融合?「ピアノで奏でる穏やかなハーモニー」

2022-09-25 16:51:46 | ステージ & エンターテイメント

 片岡球子や蠣崎波響、神田日勝など道内ゆかりの画家の作品を鑑賞し、続いてそのギャラリーで道内の新進気鋭のピアニストの演奏を聴く、という珍しい試みに参加し心豊かなひと時を過ごした。

 昨夜(9月24日)、道立近代美術館において、道立近代美術館と道銀文化財団が主催する「ピアノで奏でる穏やかなハーモニー」という催しに参加した。

 このイベントの特徴は前述したように、美術作品を鑑賞した後に、それらの作品を展示してある会場において二人の新進ピアニストの音楽を鑑賞するという催しだった。

        

 道立近代美術館では現在、特別展で「国宝 法隆寺展」が開催されているが、それとは別に近代美術館所蔵の絵画とガラス作品の展示会「『北の美のこころ』を携えて/現代ガラスの美」が開催されている。私たち参加者はこちらの方の展示を鑑賞した後に、コンサートを楽しんだのだ。

 「『北の美のこころ』を携えて」の展示は、北海道ゆかりの作家たちの作品を集めて展示したものだった。中には彫刻や陶の作品もあったが、私の印象に残ったのはやはり見慣れてもいた片岡球子や蠣崎波響、神田日勝などの絵画だった。その中で特に私の目を惹いたのは岩橋英遠の「道産子追憶之巻」という長大な作品だった。その作品のサイズは縦60cm、横は実に30mという長さの作品だった。岩橋の幼い記憶に残る北海道の四季を具象画で描いたその作品は圧倒的な存在感を放っていた。

 「現代のガラスの美」は外国の作家の作品が多かったが、学芸員の解説によると道立近代美術館では創立以来、意図的に外国のガラス作品を蒐集しているとのことだった。私などから見ると「これがガラスで創られたものもの?」と思われるような素晴らしい作品がたくさん展示されていた。

        

 続いてコンサートである。この日の演奏は、前述したように二人の新進気鋭のピアニストの演奏会だった。藤村美里さん、越智美月さんの二人は、共に札幌大谷大学芸術学部音楽家ピアノコース卒業、そして研修生を修了したまだまだ若い演奏家だった。二人は時には連弾で、時にはソロで演奏した。その演奏曲目は、

 ◆ドビュッシー/『小組曲』より 小舟にて、行列、バレエ ☞ 連弾

 ◆ドビュッシー/『前奏曲第1集』より 音と香りは夕暮れの大気に漂う ⇒ 藤村ソロ

 ◆ドビュッシー/『12の練習曲より』 8本の指のために ☞ 藤村ソロ

 ◆バッハ/『パルティータ第2番』より シンフォニア、アルマンド、カプリッチョ ☞ 越智ソロ

 ◆チャイコフスキー/『くるみ割り人形』より 行進曲、金平糖の踊り、花のワルツ ☞ 連弾

 ピアノ演奏の巧拙について私はまったく論ずることはできない。ただクラシック界においてピアノ演奏で残っていくということは、他の楽器よりもハードルが高いのではないかと私は勝手に想像する。というのも、クラシック演奏家の多くはまずピアノから入っている場合が多いのではないだろうか。その点を考えると二人は相当の演奏技術を備えていると考えるのが妥当のように思える。今回の演奏で、私が特に「ほーっ」と思ったのが、ドビュッシーの「12の練習曲より」の演奏だった。練習曲らしく、相当に高度の演奏を要求する曲だったが、藤村さんはこともなげに鮮やかに演じきった。ことほど左様に二人は相当のレベルの演奏家ではないのかと思えた。

 そして私が注目したのは、越智さんが盲目の演奏家だったことである。相当の努力を重ねて今日の技量を身に付けたと思われるのだが、藤村さんとの連弾でも何の遜色もない演奏は見事の一言に尽きる演奏だった。

 若き演奏家の今後の活躍を期待したいと思う。



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