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映画 №338 香川1区

2022-02-03 14:48:21 | 映画観賞・感想

 不謹慎な言い方かもしれないが政治的なエンターテイメントとして楽しめた映画だった。映画「なぜ君は総理大臣になれないか」ですっかり名をあげた衆議院議員・小川淳也氏の人柄や姿勢に共鳴した市民と共に、地元メディアの盟主である平井卓也氏に挑む選挙戦を描くドキュメンタリーである。

        

 昨日午後、サツゲキにて話題(?)の「香川1区」を観た。

 この映画を観てみようと思ったのは、1月25日付の北海道新聞の「論壇」において東工大教授(元北大教授)の中島岳志氏がこの映画を観て、先の衆議院選挙において「同調圧力」が働いた象徴的な選挙区だったことを指摘した一文を目にしたからだった。

 映画では、中島氏が指摘するように露骨な同調圧力が働いていたかというと、「あゝ、あり得ることだな」的な感想を覚えたくらいだった。というのは、私自身が日本の政治風土に毒されているからなのかもしれない。私たちが住む北海道においても、社員を演説会に動員させるとか、反対に組合員に対して幹部が動員を指令するなどといったことが選挙の時期になるとよく見聞きすることがあり、そのことにあまり疑問を持たなくなっていたからだ。また、国会における「党議拘束」などは典型的な同調圧力ではないだろうか?私たち日本人の中に宿る悪しき風潮である「同調圧力」について、中島氏が指摘しているように日本の中から払拭していかねばならないものであることに異論はない。

 昨年10月の衆議院選挙の香川1区からは、自民党から平井卓也氏、立民党から小川淳也氏、維新から町川順子氏の3人が立候補した。当初、大島新監督は3陣営をできるだけ公平に映し出そうとしたのではなかったろうか?事実、公示前には当時デジタル改革担当大臣だった平井卓也氏は余裕の表情でインタビューに応えていた。ところが選挙戦が進むにつれて情勢が厳しいとみるや露骨に映画撮影班の撮影を拒絶し始め、平井氏の登場画面が少なくなってしまった。結果的に映画は小川淳也氏を中心としたものとなっていった。

      

 その小川氏であるが、魑魅魍魎が渦巻くという政界に打って出る人材としては、あまりにも真っすぐで、あまりにもピュアで、あまりにも……で、と政治家というイメージからは最も遠い存在と思われる人間と映る。しかし、その人間性に魅力を感じた若者や主婦たちから熱狂的に支持され、応援を受け、これまで6回戦って1勝5敗と圧倒されてきた地元新聞社、テレビ局を経営する御曹司の平井卓也氏に見事圧勝する選挙戦を描き切ったのだ。

 リード文でも触れたように、民主主義の根幹である選挙をエンターテイメントとして観ることは不謹慎のそしりを免れないかもしれないが、楽しめた映画だった。

   

※ 選挙戦に勝利し、支持者たちに御礼と決意を述べる小川淳也氏です。

 ただ、私は小川淳也氏のこれからについては若干憂慮の思いがある。果たしてこれから政界において彼の思いがどれだけ通ずるだろうか?という心配である。彼の真っすぐさ、彼の理想主義がどこまで共感を呼び、同志を増やすことができるだろうか?

 私はむしろ少人数でもいい。志を同じくする仲間と集い、今の純粋な思いを直接国民に発信する立場に立つことの方が彼の存在感を高めることになるのではないだろうか、と思うのだが…。さらには 平井帝国の逆襲にも備える必要もあるだろう。

※ 掲載写真は全てウェブ上から拝借しました。



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