あきらかに映画の大ヒットを受けて、それに便乗するかのような安易な創りをした映画に見えた。1975(昭和50)年制作というから、映画界に陰りが見え始め、製作費も抑えられた中でつくられたようだ。
5月9日(月)午後、「めだかの学校」の「映画の中の北海道」上映会が行われ、昨日レポしたように、私が初めてナビゲーターを務めた上映会だった。
映画は主演が山口いずみ、助演が神有介、夏雄介という、いずれも当時それほど有名でもない若い俳優を押し立て、路線としては純愛ロマン(時代がかった言葉ですね)という映画だった。
ストーリーの詳細については他に譲るとして、故郷襟裳から東京に出てきて、都会の片隅で働く若者同士が出合い、故郷の襟裳岬に思いを馳せるという筋立てだった。しかし、その故郷は別に襟裳岬でなくとも、東京から離れたところであれば、どこでも置き換えることができるのでは、と私には思われた。
北海道のロケも、山口いずみと神雄介の二人が日高の牧場と、襟裳岬で数日で撮ったのではと思われるくらい、簡単なロケのように思えた。
私は、映画のテーマを「靖子(山口いずみ)の五郎(神佑介)に対する純粋、そして一途な愛ではないか」と参加者に紹介したが、むしろ俊一(夏雄介)と五郎との男の友情の結びつきを強く感ずるところがあったので、そのことを上映後に参加者には語った。
※ 襟裳岬に立つ二つの歌碑です。写真ははっきりしませんが、右が島倉千代子、左が森進一がそれそれ歌った歌碑です。
それより私がこの映画で注目したのは、脇役陣であった。今は亡き牟田梯三、ハナ肇、坊屋三郎などが僅かな出演時間ではあったが、確かな演技力を見せてくれ、懐かしく感ずることができた。
また、昭和50年代のテレビ、赤電話、足踏みミシンなどの小物と共に、当時の都会のファッションも懐かしかった。
「めだかの学校」の「映画の中の北海道」シリーズは、いずれも旧作が取り上げられる。その意味では、過ぎ去った当時のことと自分とを重ね合わせながら観賞する楽しみも内在しているのである。
これからも続く「映画の中の北海道」を楽しみたい。