田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

東側諸国のジェンダー問題を学ぶ 3

2016-05-30 22:44:21 | 大学公開講座
 ソ連時代から社会主義においては「平等」が追求されたと公式には言われているが、実態はかなり違っていたようだ。そして体制が変わりロシアになった今もジェンダーの問題は消えていない、というより若者が伝統的な価値観に疑問を抱いていないとも言う…。 

 第4回のスラブ研公開講座は5月20日(金)夜開講された。講師は大阪大学の藤原克美教授で、テーマは「現代ロシアの労働とジェンダー」 と題しての話だった。

            

 そもそも社会主義(共産主義)においては、男女間格差など存在せず、男女ともに平等に労働することが求められる社会であり、外に対しては全てが平等であると喧伝していた。
だからソ連においては、女性の高い社会進出、女性の高い就学率を誇っているところがあった。

 しかし、現実には「ジェンダー・セグリゲーション」という問題が横たわっていたという。ジェンダー・セグリゲーションとは、性別職域分離と訳されるようだが、簡単にいうと性によって職種が異なる状況を言うらしい。
 そのことによって、男性の仕事は高賃金、女性の仕事は低賃金、という実態があり、さらには職階の分断があり、職場において女性が指導的立場に立つことは難しい状況があったということだ。
 その上に、家庭内における家事は伝統的に女性が担わねばならず、男性の主たる家事労働は「ゴミ出し」くらいだったそうだ。

 ソ連が崩壊し、民主国家ロシアが誕生しても事情はあまり変わらなかったようだ。
 ジェンダー・セグリゲーションの考え方は根強く今のロシアに残っているという。
 2013年に調査した「ジェンダー指数」によると、ロシアは187ヶ国中、52位だそうだ。(ちなみに日本は25位だという。日本もけっして自慢できるような状況ではない)

            

 ところが、こうした問題についてロシアの学生にアンケート調査した結果、面白い傾向が見て取れたという。それはロシアの現状に対してネガディブに捉えるよりは、むしろ肯定的にとらえている若者が男女ともに多数を占める結果となったそうだ。
 講師は、若者の中に伝統的価値観が色濃く残っているとした。
 
 しかし、そうした価値観を肯定しながらも、高い教育水準を獲得したロシアの女性は積極的でキャリア志向が強いという。
 つまり旧来の価値は認めながらも、そのような現状から脱出しようとしているキャリア志向の女性がたくさんいるということのようだ。
 翻って日本はどうだろうか?
 社会の現況はロシアの現状と大同小異なような気もする。その中でも健闘している女性が目立ってきた昨今である。社会的にも有能な女性の進出を歓迎する雰囲気が出てきたようなので、これからは日本においてもこれまで以上に女性の活躍が見られるのかもしれない。それはロシアにおいても事情は同じなのでは、と思われる。