またもや秋田県大仙市にて悲しい出来事がありました。子供の身になってみれば哀れとしか言いようがありません。秋田県では、その前にも全国を騒がせた事件、児童虐殺事件が藤里町であったばかりでした。東北地方では、福島県でも泉崎村にて児童虐待事件がありました。
くしくも11月は「児童虐待帽子推進月間」です。「家庭や学校、地域など社会全般にわたり、児童虐待問題に対する深い関心と理解が得られるよう、多くの民間団体や国・地方公共団体など関係者の積極的な参加を求め、協働して児童虐待防止対策への取り組みを推進し、その充実と定着を図る」と、趣旨は述べています。
しかしながら、依然として全国的に児童虐待はなくならない。平成12年に確か議員立法だったと思うのですが(それはDV防止法かも?)、「児童虐待の防止に関する法律」ができています。しかし、まだまだ法律の趣旨が生かされてはいない、国民に知られてはいないのが現状です。
少子化、少子化と叫ばれながら、子どもたちが大事にされていないのはどういうことでしょうか?大いなる皮肉なのでしょうか。大きな問題は育児ということになるのでしょうか。育児を支援する体制ができていない、まだまだ不十分で、親子、母子だけの密室での育児になりかねず、行き詰ってしまう、煮詰まってしまうというのが大きな問題でしょう。
何しろ今のお母さんたちは子どもをどうあやしたらいいのかわからないのですから、生まれた子どもとどう接したらいいのかわからないお母さんが少なからずいます。
核家族化で若い夫婦の両親の協力が得られにくいというのもありますし、加えて主に父親の、夫の労働環境の劣悪さ、景気がいいとはいえ、本の一部の大企業だけの好景気で、膨大な利潤をあげても、社員には還元されない、広く社会全体に還元されず、ために個人消費も伸びず、結果として大半の中小企業の売り上げも伸びないという悪循環、これにどっぷりと浸っている現状、しかし、国は更なる企業減税を実施して、グローバル化に対応できるような企業にしようとしているし、今大きな社会問題となっている格差社会、これを企業間でも、社会でも国民の間でもどんどん拡大していこうとしているのが、小泉内閣から安倍内閣のやろうとしていることです。
やけに大きく、大上段に構えてしまいましたが、ここで改めていわゆる「児童虐待防止法」を国民全体の義務として、一読して見る必要があるのではないでしょうか?
事件が起きてから、いろいろ虐待の兆候があったといったって始まりません。児童虐待は『予防』しなければならないのです。その義務が国民一人一人にはあるのです。
同法第6条(児童虐待に係る通告)児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
②前項の規定による通告は、児童福祉法第二十五条の規定による通告とみなして、同法の規定を適用する。
③刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。
あくまでも目的は児童虐待の『防止』です。起きてからでは遅いのです、取り返しのつかないことになってしまうのです。あそこの家の子どもがおかしい、いつもいじめられているようだと感じたなら、即福祉事務所や児童相談所に連絡しなければなりません。結果的に児童虐待ではなかったというのならそれでいいのです。通告した人の責任は問われません。また、守秘義務違反にもなりません。
具体的にどこに電話すればいいのか分からないときは、とりあえず市町村の代表電話でもいいのです。そこから担当部署に回っていきますから。
平成17年度からは、すべての市町村が児童家庭相談業務を行うこことされたので、夜中であれ、休日であっても市町村に連絡を取ること、これがせめてもの我々国民のやるべきことではないでしょうか。必ず、守衛さんがいるはずで、そこから担当の課長等に連絡が行くはずです。そうなっていないところは、市町村として失格です。
もっとも、今までの悲惨な事例を見ていくと、相談・連絡した後の児童相談所等の対応の仕方にも大きな問題があるのも事実です。でも、これは少しずつでも改善していくしかない。何しろ物的・人的な予算措置がまだまだ貧弱ですから。ここは国民の声を大きくしてもっと児童福祉に予算を使うように働きかけるしかありません。
公的な機関よりも民間のNPO等の方が一生懸命やっているという事例も多くなっています。そういうNPOの存在も知っておくに越したことはないのですが、これは公的な団体も責任を持って周知に協力すべきであるし、団体同士協働して子どものために対応していく必要があります。
17年度の相談受付件数は、38,183件(厚生労働省)だそうです。今週の「アエラ」の記事によると、(3ページに渡る「虐待の街で続く再発防止の情報戦」という記事)全国に191ある児童相談所が今年3月までに一年間に対応した虐待相談は、過去最高の34,472件。統計から算出すると、『毎週』、662件の相談、539件の面接指導、173件の一時保護、69件の施設入所、4件の立ち入り調査が行われたことになるそうです。
【それでもなお、今年前半、毎週一人のペースで、虐待によって子どもの命が失われ続けている。】という言葉で、この記事は終わっています。
児童憲章をご存知ですか?昭和26年5月5日、こどもの日に制定されたものです。
前文があります。
「われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。
・児童は、人として尊ばれる。
・児童は、社会の一員として重んじられる。
・児童は、よい環境のなかで育てられる。」
その後子どもの幸福を図るための具体的な12項目があげられています。
これを見てどう思いますか?子どもは人間として扱われているといっていいでしょうか、いえるでしょうか。
(以下次回以降につづく)