二一三
御印之寫
一開之田地は、理り極て年季を定可申候、定候理りを熊本
之郡奉行え不申尋候て天気を定候事、仕間敷事
一或土免二定候上、百姓之書物之定之ことく免を下候事、
郡奉行加為見計次第、但横目を可申候時分、かけ互ニ熊
本より横目を申付候は不苦候間、為郡奉行加申付候事
一郡中之儀、可然と見切候儀は、熊本へ不及尋、如此申付
候との儀迄申届候事
一假令、熊本奉行所より申付候儀も、わろき定候ハヽ申付
間敷候、扨其段熊本え可申候、其上ハ熊本次第ニ我等申
付候事も、事ニより郡迷惑仕候儀候ハヽ理可申候、兎角
郡中悪敷儀を、郡奉行ニ定候上ハ無理ニ悪敷事を其儘置
候事、曲事ニ候、横目廻り悪事申來候は、不遂穿鑿を申
付候事有間敷候事ニ候、其段氣遣仕間敷候事
一口々ニ地侍抱可申候、有付候儀は、百姓は不及申、侍・
商人・鍛冶・番匠之類も有付候様可仕候、幷右之知行遣
候者は、役者其身召仕候様、迷惑不仕候様似合儀迄可申
付候、知行之分ハ役申付間敷候、年頭ニ一度又郡え出候
時目見え可申付候、其上役を又申付候、一領一疋と名付
可申事
寛永十一年十月二日御印
郡奉行中
二一四
急度申觸候
一御年貢御請合仕、在所如何程迷惑仕候共、如定取切可申
旨御意候間、可被得其意候
一御蔵納牛馬死候在所、又牛馬無之在所、利無御銀子御借
可被成由御諚候間、可被得其意候事
一免を上ヶ可然在所、下ヶ候て可然所、高下之吟味可被仕
候事
一在々ニ死候石之皮、其主ニ被遣候間、其主取申儀、かわ
たニはかせ可申も、其主勝手次第可仕由御意候間、被得
其意、御百姓か被申渡候、幷ヶ様ニ申付御得共、御用之
皮支申候節ハ託麻之次左衛門・飽田源右衛門ニ直段を買
せ可申候間、其段御百姓中え可被仰渡候、恐々謹言
寛永十一年十二月十三日 牧 丞大夫 御鉄炮頭衆 四百石 (真源院様御代御侍名附)
河喜多五郎右衛門
御郡奉行中
二一五
申渡覺
一地侍・札筒・玉薬員數日相積加被指上候、玉之儀は札銀
を以夫々之筒ニ逢候積ニ誘可被置候事
一船差之儀は、走者有之時は近所之庄屋、或牢人各見はめ
次第ニ心當仕被置、馳付候様可申付置候事
一御郡/\之儀、豊前ニて被仰付置候揃道眼(服ヵ)、前廉牧・宗
像より渡置候外ニ不足有之候は、被調各預可置候事
附、其郡/\之紋書付可給事
一質物幷賣置候男女共、先代ニ走り申者之儀、各被申上通
得御意候得は、先代之儀御構無御座候、御代ニ走り候者
急度可申付旨被仰出候事
右之條々、内々可被得其意候、委口上ニ申渡候、以上
寛永十二年正月十九日 河喜多五郎右衛門
乃 美 主 水
御郡奉行中
二一六
御書出之寫
一留守之時つかへ候儀、横目申付候間、其段諸奉行へ届置
可申候
一國中ニ迷惑ニ詰候者自果シ事、郡奉行え目安を上候得と
可申付候、又理不盡ニ迷惑ニ詰候由申候ハヽ、其一門ニ
懸り可申候事
一國中ニて不濟公事、町奉行可相濟候、公事之日限相定、
横目を呼可濟候、六ヶ敷公事奉行え相談可申候事
一郡奉行も公事之ひはん申付候得共、横目を呼候て可申
付候
寛永十二年二月十三日 西 郡 刑 部 刑部少 御馬廻衆・添頭 八百石 (肥後御入国宿割帳)
乃 美 主 水 三斎様御付中津ニ相詰候衆 千五百石 米田助右衛門是政婿 (於豊前小倉御侍帳)
河喜多五郎右衛門 御馬廻衆 五百石 (肥後御入国宿割帳)
堀江勘兵衛 御小姓組衆 二百石 (肥後御入国宿割帳)
沖津作大夫 御馬廻衆 宇佐郡奉行 百五十石 (肥後御入国宿割帳)
御郡奉行中