森鴎外の「阿部一族」の見本となったのが、この物語にも登場する阿部家の隣人・栖本又七郎が書いた「阿部茶事談」である。
自らも阿部家の討ち入りに飛び入り、その働きについて「阿部一族討取りなぞは茶の子の茶の子の朝茶の子」などと言って、「茶事談」と命名されているが、この言葉はかっては交誼のあった隣人に対し些か心配りにかけていただけない。
今回は私の手元にある原文(写本)をご紹介する。約80頁に及ぶものだが、古文書を読む楽しみを皆様に味わっていただきたいと思い、一日2頁、約40回にわたり原文のみをUPしたいと考えている。釈文は後程ご披露することにして、あとで読み合わせをしていただければと思う。