蕉門十哲の一人の向井去来に次のような貞享3年(1686)元旦の作句がある。
元旦や 家に譲りの太刀はかん 去来
「元旦には(嘉例として)家に代々伝わる太刀を佩いてみよう。」の意。
去来は長崎の出身、父は儒医であり、去来は堂上家に仕える武士で武芸に優れた人物であったというが、この句は若い頃に浪人の身となってから後の作だとされる。
有名な落柿舎に住んだ人だ。
実は、俳句を英訳した最初の人物の一人であるとされるバジル・ホール・チェンバレンの「芭蕉と俳句」にも数十首紹介されているうちの一つで、私はここでこの句の存在知った。
T'is New Year's day:-I'll gird me on My sword, the heirloom of my house. と英語解説がある。
向井去来の元武士としての矜持と気格にあふれる作品だと評価されている。元旦の淑気に満ちた空気感も伺える。
私が持っている角川の「歳時記」には、この句は紹介されていないから、鉛筆で書きこんでいる。好きな句だから・・・
もう一つ好きな句は大谷句仏の次の句だが、これも乗せられていない。残念。
元旦の犬も尾を振る御慶かな 大谷句仏
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我が家からの初日の出は、叢雲の切れ間からわずかに光が漏れるほどの事で残念でした。皆様のお宅では如何でしたか?
叢雲やどこにおいでか初日の出 津々