宮本武蔵が彫った? 熊本市の「座禅石」にあった地蔵尊、鎌倉市で発見
剣豪・宮本武蔵が座禅を組んでいたと伝わる谷尾崎梅林公園(熊本市西区)の「座禅石」の傍らにあり、武蔵が彫ったとされる石製の地蔵尊が、神奈川県鎌倉市で見つかった。長く所在が分からなかったため、武蔵を研究する福田正秀さん(74)=山鹿市=は「巨石の上に座禅する武蔵や、地蔵尊を刻む姿をほうふつとさせる発見だ」と語る。
座禅石は公園の西側斜面にある自然石で、平たくなった部分は2畳ほどの広さがある。その近くに座禅石の一部を削って武蔵が彫ったと伝わる地蔵尊があり、新熊本市史(1996年発行)には、「明治の頃、この石(座禅石)の前で発見され今は鎌倉にあるという」と記されている。
今回見つかった地蔵尊は高さ約8センチで、所有者は武田流弓馬道司家の金子家敏さん(神奈川県鎌倉市)。金子さんの家には代々、熊本藩の竹原家から弓馬の故実書なども伝わっている。地蔵尊を収めた厨子[ずし]の箱書きによると、金子家が1961年に「秋山太郎繁治」と名乗る旧幕臣から地蔵尊を受け取ったとみられる。
地蔵尊を撮影した写真は、谷尾崎の歴史をまとめた公民館の冊子(1985年発行)にも掲載されており、金子さんが持っている地蔵尊と同一のものと福田さんが確認した。
福田さんは「あくまで言い伝えなので、本当に武蔵がこの地蔵尊を彫ったという確証はないが、座禅石が身近にある地元の人たちにとってもうれしい発見だろう」と話している。(園田琢磨)
宮本武蔵が座禅を組んでいたと伝わる座禅石の 公民館が1985年に発行した冊子に掲載
前に立つ福田正秀さん。この石の前に地蔵尊が されている地蔵尊(福田正秀さん提供)
あったという=熊本市西区の谷尾崎梅林公園
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追記:熊本史談会では本年5月の後援会に福田正秀先生をお招きして「宮本武蔵」についてのお話をお伺いする。
この記事を含め先生の留まるところを知らぬ新たなお話がお聞きできるものと「期待大」である。