去年末ある所へ出かけた折この袋を持って出かけたら、同じものをもったご婦人に出合った。
何となく照れくさいもので、顔を伏せていたら近づいてこられてそして声を掛けられた。
「同じ袋ですね」「私は図書館で細川家の大きな図録を買ったときに入れてもらいました」と言われる。
私は、「幽齋公500年忌が催された時にお手伝いをし、前日に旧泰勝寺の細川家にご挨拶にお伺いした時に記念と共に頂戴しました」と申しあげたら、「えっ、うらやましい事・・」と仰る。
そして、「この模様は何なのでしょう」と仰るから、「能衣装の図柄をそのまま使われているようですよ」と申しあげた。
その後、ご婦人は待ち合せだったらしい方が来られて去って行かれたが、周りの人も気づいた人がおられて注目を浴びたような気がした。
実はこれは永青文庫所蔵の能衣装の名前で「縫箔・黒字紋尽し模様」からデザインされている。
黒地の絹の緞子に「縫箔の紋=宝相華」が散りばめられている。能の衣裳にしてはいささか華やかさには欠ける様に思えるが江戸末期ころのものと思われる。
厚手のビニール地で製縫されていて、頑丈だし雨が降っても大丈夫だし、A4のファイルや資料も収納されて重宝している。
史談会のM氏もお持ちである。