『フェルメール全点踏破の旅』
朽木ゆり子、2006、『フェルメール全点踏破の旅』、集英社新書
フェルメールにこれまで関心があった訳ではないのだが、世界に30数点しか現存しないフェルメールの作品を一回の旅行で踏破するという企画に引かれて読みはじめた。
しかし、結構面白く読むことができた。その理由のひとつは16世紀のオランダ絵画ということ。絵画史としてではなく、オランダそのものへの関心ではある。次は、作者が見いだしたように、フェルメールがそれまでの宗教画の隠喩(あるいは、換喩ほか)を脱しつつ風俗画を描き、光線をうまく利用して描画の技法を開発してきたということ。これは、近代絵画への脱皮というのだろうか。
そして、コレクション・マニアへの共感というべきだろうか。何かをすべて見たいとか経験したいとかいう欲望への共感。
著者の旅は、完遂されていないのだが、著者に続いてフェルメールを旅するのもよし、あるいは、他の画家(大量に描き残したピカソなどはむりだろうが)で同様の企画を試みるのもよし。また、絵画ではなく、もっと、別の対象で狙うのもいいだろう。
追記:20070921
気がついていなかったけれど、東京新美術館で『フェルメール「牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展』が9月26日から行われるようである。
http://milkmaid.jp/
フェルメールにこれまで関心があった訳ではないのだが、世界に30数点しか現存しないフェルメールの作品を一回の旅行で踏破するという企画に引かれて読みはじめた。
しかし、結構面白く読むことができた。その理由のひとつは16世紀のオランダ絵画ということ。絵画史としてではなく、オランダそのものへの関心ではある。次は、作者が見いだしたように、フェルメールがそれまでの宗教画の隠喩(あるいは、換喩ほか)を脱しつつ風俗画を描き、光線をうまく利用して描画の技法を開発してきたということ。これは、近代絵画への脱皮というのだろうか。
そして、コレクション・マニアへの共感というべきだろうか。何かをすべて見たいとか経験したいとかいう欲望への共感。
著者の旅は、完遂されていないのだが、著者に続いてフェルメールを旅するのもよし、あるいは、他の画家(大量に描き残したピカソなどはむりだろうが)で同様の企画を試みるのもよし。また、絵画ではなく、もっと、別の対象で狙うのもいいだろう。
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追記:20070921
気がついていなかったけれど、東京新美術館で『フェルメール「牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展』が9月26日から行われるようである。
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