砂糖を作るため初夏に種を蒔いて育てた砂糖もろこしの収穫をしました。普通のもろこしは穂に実った種を収穫して食します。山梨県の山間部では、昔この種子を精白したものを食べていました。今回収穫したもろこしは、砂糖成分を茎に蓄える種類のもろこしです。種を収穫するのではなく、茎に蓄えられた砂糖分を取り出します。
霜が降りて半ば枯れた状態の砂糖もろこし
砂糖もろこしの茎をカマでばっさりと切り倒します。茎はかなり硬いため、カマを思い切り降らないとスパッと切れません。切り倒した茎を何本か重ねて置きます。沖縄などで収穫するサトウキビのようです。
カマを大きく振って切り倒す 集めた砂糖もろこしの茎
砂糖をとるための第一段階として、硬い節を取り除きます。サトウキビのような搾る機械がないため、時間がかかりますが砂糖が蓄えられた茎だけを切り分けます。押し切りを使って、硬い節を取り除いた茎に断片化します。
押し切りで、節を取り除いた茎だけに断片化
節を取り除いた茎の断片は各20cmほどの長さです。根元近くの茎は太く短く、穂先に行くほど細く長くなります。次に、茎に巻きついている葉皮を取り除きます。この時点で茎をかじってみると、穂先の茎の方がやわらかく、砂糖分がじわりと楽しめます。
茎に巻きついた葉皮を剥く 皮剥きを待つ一本の茎の断片
茎の表面はとても硬いため、そのままではとても砂糖を収穫できません。少なくともその硬い皮をはがないと甘い砂糖成分を取り出すことができません。子供の頃、この砂糖モロコシを皮を歯ではいでから、中の髄の部分を噛みながら甘い汁を吸いました。昔の瀬戸内海ではこれが子供のお菓子だったようです。古老の話では、お祭りなどでこの甘い茎を売っていたそうです。
砂糖もろこしの茎の断面、内側の髄に甘い砂糖成分
続いて茎の硬い皮を剥ぎます。歯で剥いでもよいのですが、唇を切るなど皮膚を傷つけてしまいます。このため、皮むき器を使って一本ずつ丁寧に硬い皮を剥いでいきます。とても時間がかかります。
皮むき器で硬い皮を剥ぐ 皮を剥いで、髄だけになった茎
すべての茎の皮を剥ぐのに一時間ばかりかかりました。今日は天気が良かったため、日向ぼっこしながらのんびりと作業できました。しかし、曇ってしかも風が強い日ならば、寒さが染みるとても辛い作業になったと思います。
左は剥いだ皮、右は皮を取り除いた茎の髄
この段階以降は、屋内で砂糖成分の抽出作業です。茎の髄を包丁かはさみで細かく切断してミキサーにかけます。ミキサーがなければ、ジューサーにかけて茎の髄の水分を取り出します。ミキサーの場合、水を入れると粉砕しやすくなります。
茎をはさみで細かくカット ミキサーにかけて粉砕
粉砕した茎を布でこします。すると薄緑色の甘みを含んだ水分を取り出すことができます。この時点で、その水分を飲むこともできます。この水分を冷蔵庫に保存してジュースとして飲むこともできます。疲れた体には最高です。
粉砕されたシャーベット状の茎 布でこして薄緑の水分を抽出
抽出した水分中の砂糖成分は薄いものです。砂糖成分を濃くするため、火にかけ煮詰める必要があります。細い火でトロトロと煮込んでいきます。煮始めた頃はぐつぐつと沸騰して、白い蒸気が逃げているのがよく分かります。そのうち、アクのような物が水面に浮かんで広がります。このアクはひしゃくですくい取り捨てます。
次第に水分が減って煮立つ泡がなかなか消えなくなり、泡と泡が重なるようになります。このように液に粘りがでてくると出来上がりです。
煮込んで蒸気が上がる 粘りが出て泡が消えにくくなる
このようにして苦労の末、ようやく砂糖成分を取出すことができました。砂糖もろこしの砂糖成分はサトウキビの砂糖成分と異なるため、いくら煮込んでも黒砂糖のように固化することはありません。煮込みすぎると炭化してしまいます。水あめ状の砂糖です。舐めてみると、抹茶が入った和菓子のような甘みです。ビンに詰めて保存して利用します。自家製の貴重な砂糖です。
砂糖の完成、スプーンですくうと水飴のよう