すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

授業上達法が機能する下地

2008年02月20日 | 読書
 『図解 よくわかる授業上達法』(上條晴夫著 学陽書房)を読み終えた。

 上條氏の著書はワーク集等を除いて8割ほどは読んでいると思うが、昨年発刊されたこの本は購入していなかった。明治図書の「国語教育誌」で岩手大の望月先生が絶賛していたので早速注文して読んだ。

 なるほど素晴らしい!まさに上條ワールドともいうべき、明確で鋭い分析が網羅されている内容の本だ。
 授業技術を「タテ力」「ヨコ力」と分け、伝統的な指導法のよさやポイント、そして体験型やワークショップ型の授業を進めていく様々な要素が、端的にわかりやすい言葉で紹介され、提案されている。

 付箋を貼り付けたのは圧倒的にヨコ力の方が多いが、タテ力の中にも「破れを許容する~不定型を助言していく」という興味深い項目もあった。子どもに対する言葉かけの基礎から応用まで広範囲でカバーしているといってよいだろう。

 日常の実践に照らし合わせると、多用している得意な面、逆に不足な面も浮かび上がってくるのではないか。そして追試的に行うことも十分可能だし、効果も見えてくるだろう。

 ただそれらの全てが継続的にうまくいくかどうかは、また別の視点が必要だろう。
 書かれてあることは実践をくぐらせたものばかりではあるが、条件の違いがあることは確かだ。大人対象の講座における例も多いし、小学校教員時代のエピソードであってもやはり上條学級であるということは踏まえたい。

 つまりある程度の下地がなければ、効力感を得られないものもあるのではないか。たとえば、上條氏が常に強調している「ふり返りをする」にしても、単発や短い期間での取り組みでは見えてこない場合が多いだろう。

 と、このようなことを考えていると、こうした力、技術が機能する積み重ねはどうあればよいか、といった問いにシフトしていく。
 たまたま同時期に読んだ『一斉指導の復権』における久保氏との実践と比較してみるのも面白いかもしれない、という思いも浮かんできた。
 共通のことを言っている部分もあり、そしてかなり大きな違いもあり…比べ読みのようにもう一度読み直してみようと思う。