指導法はもちろんだが、教材の使い方一つにも主張は込められるものである。
そう考えてくると、指導の有効さを生かす条件の一つとして指導者の願いや思想が大きな比重を占めることになるか。しかし、それはまた危険性も含んでいることを頭の隅に置かなければならない。
久保氏、上條氏の本の内容とは別に、そんなことまでいろいろと考えさせられた読書だった。以下の文章は職員向けの問題提起。
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縷述「つながる授業」33
上條氏の「タテ力・ヨコ力」に字面が似た言葉として、久保氏の本に下記の表現があります。
授業はたて糸とよこ糸で織りなす綾錦
双方とも、子どもが積極的に活動し力をつけていく授業を目指すことに違いはないでしょうが、アプローチがずいぶん異なるように思います。
久保氏のそれは、教師の指導というたて糸を凛とさせ、学習規律を高めながら子どもたちの活躍というよこ糸を織りなしていくイメージです。
一方の上條氏はもちろん「タテ力」の重要性を認識してはいますが、学習者の集中を教師の指導や評価だけでなく、学習活動を構成するルールから生み出していくという発想が強いと考えられます。
具体的に相違を際立たせるものの一つに「ワークシート」の使用があります。
久保氏は「ワークシート学習は教師の力を萎えさせる」と言います。教師の臨機応変の力を育むことを阻害するという考えです。
対して上條氏は多くのワーク集も出版していますし、本書でもワークシートを重要なツールに位置づけます。活動の枠組みを確認して自由度を高める有効性があると考えています。
久保氏がイメージしているワークシートは、課題だけでなく実際の問いや作業も含まれる固定化されたものを指しているようですし、上條氏が例示している多くは大きな活動の手順を示していたり、思考のヒントとなったりするシートと考えられます。従って単純な比較はできないと思われますが、それにしてもお二人の指導観・方法論の違いは色濃く浮かび上がってきます。
本の中のキーワードをもとに自分なりに論題化してみると、次のようになります。
「教師を仰ぐ」集中と「目的を仰ぐ」集中の質の違いは、学習にどのような影響を与えるか
学習における「凛とした個別化」と「ゆたかな交流」の保障は、ワークでは不可能か
(2/25)
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そう考えてくると、指導の有効さを生かす条件の一つとして指導者の願いや思想が大きな比重を占めることになるか。しかし、それはまた危険性も含んでいることを頭の隅に置かなければならない。
久保氏、上條氏の本の内容とは別に、そんなことまでいろいろと考えさせられた読書だった。以下の文章は職員向けの問題提起。
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縷述「つながる授業」33
上條氏の「タテ力・ヨコ力」に字面が似た言葉として、久保氏の本に下記の表現があります。
授業はたて糸とよこ糸で織りなす綾錦
双方とも、子どもが積極的に活動し力をつけていく授業を目指すことに違いはないでしょうが、アプローチがずいぶん異なるように思います。
久保氏のそれは、教師の指導というたて糸を凛とさせ、学習規律を高めながら子どもたちの活躍というよこ糸を織りなしていくイメージです。
一方の上條氏はもちろん「タテ力」の重要性を認識してはいますが、学習者の集中を教師の指導や評価だけでなく、学習活動を構成するルールから生み出していくという発想が強いと考えられます。
具体的に相違を際立たせるものの一つに「ワークシート」の使用があります。
久保氏は「ワークシート学習は教師の力を萎えさせる」と言います。教師の臨機応変の力を育むことを阻害するという考えです。
対して上條氏は多くのワーク集も出版していますし、本書でもワークシートを重要なツールに位置づけます。活動の枠組みを確認して自由度を高める有効性があると考えています。
久保氏がイメージしているワークシートは、課題だけでなく実際の問いや作業も含まれる固定化されたものを指しているようですし、上條氏が例示している多くは大きな活動の手順を示していたり、思考のヒントとなったりするシートと考えられます。従って単純な比較はできないと思われますが、それにしてもお二人の指導観・方法論の違いは色濃く浮かび上がってきます。
本の中のキーワードをもとに自分なりに論題化してみると、次のようになります。
「教師を仰ぐ」集中と「目的を仰ぐ」集中の質の違いは、学習にどのような影響を与えるか
学習における「凛とした個別化」と「ゆたかな交流」の保障は、ワークでは不可能か
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