すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

生きづらさと向き合う

2008年06月24日 | 読書
 『友だち地獄』(ちくま新書 土井隆義著)
 なるほど、と納得する文章が非常に多かった新書である。
 若い世代の生態と背景を見事にえぐり出している好著だと思う。
 そして、実は一番深く頷いたのは「おわりに」で著者が記した次の言葉だった。

 私自身にしても、本書で述べてきた若者のメンタリティの半分は、自分にも当てはまることを率直に認めておかなければならない。

 筆者は1960年生まれ。「表だっては気恥ずかしくて言えないが」とも書いているが、さらに年長者であるこの私でさえ、思いあたるふしを感じながら読み進めた部分も多い。

 本全体を貫くキーワードである「優しい関係」の近くにいる存在としての教員は、その実態を見抜けているかどうかは別にして、そうした子どもたちのまなざしや関係に知らず知らずに染まり、浸食されていく危険性がないわけではない…
 気弱な自分を豪快に笑い飛ばすことができないのが残念だ。
 例えば

 本来は無限大の世界に開かれたメディアであるはずのインターネットが、実際には異質な人々へと開かれた空間にはなっておらず、むしろ同質性の高い人々が、時間と空間の制約を超えて集いやすい場となっている。

 そういう現状にどっぷりと浸かっている自分をメタ認知し、有効性を自分なりに活用できているつもりでも、その巨大さと強さはお構いなしに陰の部分も増殖させていく。
 そんな不安を抱えていることも事実だ。

 「生きづらさ」と正面から向き合うことの大切さを著者は述べている。その意味では、こうした自覚こそエネルギーになりえる。
 内省と行動のバランスが崩れないようにしたい。