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「的」の意味を身体化する③

2016年04月25日 | 読書
 『インターネット的』(糸井重里 PHP新書)


 「インターネット的思考」の本質とは何か。

 第2章から第4章を読み進めて、ピックアップしてみる。

★トライアル&エラーの多産系


 実に象徴的なことばである。
 つまりは、完成度を意識することなく、提示し、その繰り返しによって仕上げていくことである。

 正直にいえば、苦手なことだ。
 いわゆる正答主義、結果重視で育ってきた年代には、この考え方が一番のハードルかもしれない。

 その思考を実行に移すための心がけを、糸井は「個人の方法論」と前置きしながら、次のように記している。

★「やりたければやる」「選びたいものがあったら、もっといいものを待つよりも、すぐにやる」


 慎重さは一つの価値に違いないし、ある場面では必須なことだが、「的」の思考はそこに重きをおかない。
 そういえば、この思考が、かの酒井式描画指導法における一つの原則であったことを思い出す。

★見切り発車の原則


 有限な時間の中で人が動くには、自分の願いをよく見つめつつ、すっぱりと行動化していくことが好ましい。

 肝心なのは、自分の願いという部分だが、そこに関してこの新書では実に奇抜な思考法を提示している。

★一番極端なところをいったん考えてみる。そうしたら、「そこまではいらない」とか、「それはひどい」「それじゃ意味がないじゃん」とか、自分の心の底のほうにあったほんとののぞみが、輪郭を持ち出すと思うんです。


 これは実に面白い。
 例えば、お金でもいい、感情でもいい、対象に向かって「極端なところ」を設定してみれば、そのレベルと自分の気持ちとの落差に気づく。
 結果、気持ちが明確に見えてくる。


 第4章には「商品環境」という言葉で、ブランドのこと、評判のことが語られる。これは何のコピーだったか失念したが、「モノより物語」に、そっくり通ずると思う。

 モノに込められた物語を見出す目は、きっとネットがどうのこうのではなく、大昔から人間が大事にしてきたことだし、モノがあふれている今こそ、焦点化してあぶりだしたいことだ。
 「手作り」は物語を感じやすいけれど、そこには願いがほしい。