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「ちきゅうちゃん。」を読む

2022年09月25日 | 絵本
 いつか読み聞かせに取り上げたいと思っていた一冊。どんなタイミングがいいのか迷っていて、『海のおっちゃんになったぼく』が、「飼う」「世話をする」と結びつくので、その流れでどうかなと思いついた。どちらも動物を飼うわけではなく、いわば「実は人間が世話になっている存在」と向き合うのがテーマだ。


『ちきゅうちゃん。』(糸井重里・キューライス   小学館)




 ある日、お父さんが持ち帰った「ちきゅうちゃん」。どんなふうに飼うのか迷いがあり、よく見ると様々な発見があり、誰からも好かれる存在。宇宙の知識がある子には喩えだと分かるし、まだわからない子は一つの物語として見るのだろう。深く考えれば環境問題につながっていく。解釈は聞き手の年代によって違う。


 絵は漫画的で親しみやすい。地球を擬人化(擬動物化?)しているわけだから、月や他の天体も、同様に描かれる。幼い子には馴染みやすいイメージだ。地球とそこに住む者の関係を等しく考えていることが下地にある。「すきで いれば いいんじゃない?」が見開きで絵のないページで示されている。明らかにポイントだ。


 読み手として留意すべきことを考えてみる。「ぼく」の一人称だから、小学生(たぶん)の気持ちになって素直に読んでいく。そして、初めは珍しいだけだったものが、いつの間にか親しさを増し、また常に受け入れてくれる存在であることに気づく。情愛が深くなっていく…そんな調子を出そう。最後のオチはゆっくりと。