すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

日々新面目という精神

2024年01月14日 | 読書
 一月前半の読書記。読み返しが多くなっているが、それもまたよし。




 Re03『星月夜』(伊集院静 文藝春秋)著者のファンなのでエッセイ以外にも結構な数の小説を読んではいるが、またなぞってみたい筋だったので再読した。結末を知っているのでミステリとは呼べない。しかしサスペンスとして映像美に近い感覚に浸ることできた。人物の描き方が独特で、文体に惹かれるのだと思う。


 もう何度目なのか…と思うほどめくっているre04『大人のいない国』(鷲田清一・内田樹 文春文庫)。今回も数日、風呂場で読み続けた。自分が取り組みたいと思っていることの「芯」になる考えがそこに書かれてある。「蔑ろにしているものに注意を促し、その隠された価値を再認識させる」という文脈に連なりたい。


 早朝の覚醒読書はre05『ヒカルの卵』(森沢明夫 徳間書店)。予想通り実に読みやすいストーリーと文体。限界集落の活性化として「たまごかけご飯専門店」を開き…という筋は、発刊が10年前なので少し古さを感じた。ハッピーな展開と結末は楽観的すぎると見えるが、肝心なのはいつも「心の向き」なのは確かだ。


 re06『よみがえる力は、どこに』(城山三郎 新潮文庫)。第一章の講演録の終盤にこんなことが記されている。「古い地図で人跡未踏の地にはドラゴン、龍のマークが描いてあった」。探検とはそこに飛び込んでいくことだ。辰年初めには印象強いエピソードだ。範囲は限られていても「日々新面目」の精神が足を進ませる。