今シーズン一番の降雪だった10日金曜日、山間部にあるこども園へ。峠道は朝に除雪していても10時半頃にはまた結構な量が積もっていた。車体はフラれるし、道幅が狭く、白さが強くて視界が悪い。こうした道路は慣れているはずだが、やはり不安が出てくるお年頃か…だから、この本を読む視点は複雑だった。
『うちの父が運転をやめません』(垣谷美雨 角川文庫)。知り合いが寄稿していた読書記録にあり、興味が惹かれた。地方在住者にとって重要度が高いテーマだ。物語は50代の息子と80代に手が届く父親が対象であるが、免許返納に関わって描かれた事象や個々の思いは、この国の政治、社会課題と直結している。
解説を書いた国際政治学者の言葉が鋭い。「決断せよ、50代。」内容はさておき、焦点が当てられた年代からズレてしまった自分が少し哀しい。とはいえ、何もできないわけではない。得た何かをいくらかは社会還元できるように暮らしたい。読書もその糧になると教えてくれるのは、『自分の時間へ』(長田弘 ちくま文庫)。
昨年秋に文庫されたエッセイ集。様々な今まで考えてみなかった事柄について、いつものように多くの教示を得る。前後は略するが、例えば「天職としての仕事という考え方」例えば「得たものはつねに、失ったものに比例している」…自分の来し方を思い、生き様を思い、何を今どう大切にすればいいかということ。
「人が服を着るように、こころも服を着る。本はこころが着る服だ」という一節は深く染み入った。読むだけならいざ知らず、自分で本を書こうと思い立ち、形を成した者にとっては、どこか恥しいような気持になる。だからといって俯いてばかりでは気も晴れない。「読書という習慣」の力でこころを温かくしていこう。
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