今回は、平成28年就労条件総合調査による労働費用です。
まず、労働費用というのは何かというと、
使用者が労働者を雇用することによって生じる一切の費用(企業負担分)で、
「現金給与額」、「法定福利費」、「法定外福利費」、「現物給与の費用」、
「退職給付等の費用」等をいいます。
このうち、
「法定福利費」とは、法律で義務づけられている社会保障制度の費用(企業
負担分)をいい、「健康保険料」、「介護保険料」、「厚生年金保険料」、
「労働保険料」等をいいます。
「法定外福利費」とは、法律で義務づけられていない福利厚生関係の費用で、
「住居に関する費用」、「医療保健に関する費用」、「食事に関する費用」、
「慶弔見舞い等の費用」等をいいます。
(1)労働費用総額
平成27年(又は平成26会計年度)の「労働費用総額」は、常用労働者1人
1カ月平均416,824円となっています。
「労働費用総額」に占める「現金給与額」の割合は80.9%、「現金給与額以外
の労働費用」の割合は19.1%となっています。
(2)現金給与以外の労働費用
「現金給与以外の労働費用」79,632円の内訳は、
「法定福利費」:47,693円、
「退職給付等の費用」:18,834円
「法定外福利費」:6,528円
などとなっています。
「現金給与以外の労働費用」に占める割合をみると、
「法定福利費」:59.9%
「退職給付等の費用」:23.7%
「法定外福利費」:8.2%
などとなっています。
労働費用総額については、毎年調査が行われているわけではなく、
前回の調査は平成23年でした。
で、その調査結果、平成19年度試験と22年度試験に出題されています。
【 19-3-A 】
平成18年就労条件総合調査によれば、常用労働者1人1か月平均の
労働費用総額は、462,329円となっている。労働費用総額に占める
現金給与額は374,591円(割合81.0%)、現金給与以外の労働費用は
87,738円(同19.0%)となっている。現金給与以外の労働費用の内訳は、
法定福利費が46,456円(割合52.9%)、法定外福利費が9,555円(同
10.9%)、退職給付等の費用が27,517円(同31.4%)等となっている。
労働費用総額に占める現金給与額と現金給与以外の労働費用の割合や
現金給与以外の労働費用の内訳が論点になっていますが、出題当時
正しい内容でした。
【 22-1-B 】
労働費用総額の構成は、現金給与部分と現金給与以外の労働費用から成って
おり、その割合は前者が約8割、後者が約2割である。現金給与以外の労働
費用は、法定福利費と法定外福利費の二つによって構成され、企業規模が
小さくなるほど法定福利費の割合が高くなっている。
こちらは誤りです。
「現金給与以外の労働費用は、法定福利費と法定外福利費の二つによって
構成され」
とありますが、これら以外に、
「現物給与の費用」、「退職給付等の費用」などもあります。
細かい数値を1つ1つ覚えておく必要はありませんが、
労働費用にはどのようなものがあるのかとか、
「法定福利費」と「法定外福利費」とでは、「法定福利費」のほうが割合が高いとか、
なんてことだけでも知っておくと、1点確保なんてことになるかもしれませんよ。
それと、「労働費用総額」に占める「現金給与額」の割合については、
【 28-選択 】
「平成23年就労条件総合調査(厚生労働省)」によると、現金給与額が労働費用
総額に占める割合は約( A )である。
という出題が行われています。
答えは「8割」です。
ですので、どの程度の割合なのか、これも知っておくとよいでしょう。
ちなみに、「法定外福利費」については、【 8-記述 】で、
福利厚生のために企業が支出する費用のうち、健康保険、厚生年金保険、雇用保険
等について企業が法律で負担を義務づけられている支出を除いて、社宅、保健衛生、
生活援助、慶弔見舞金、文化、レクリエーション支出等、企業が任意で支出する
諸費用を一般に( C )と呼んでいる。
という出題があります。
空欄に入るのは、「法定外福利費」です。