百醜千拙草

何とかやっています

敵を間違えるな

2010-05-28 | Weblog
普天間基地問題、まだくすぶっています。ネットの識者の間では、今回の「辺野古」という結論はやむを得なかった、交渉はこれからだ、とする意見がまだ多く見られます。つまり、ここで前から決まっていた計画をひっくり返そうとしては、14年のグアム移転へのロードマップの妨げとなる、グアム移転を確実にするためには、今、日米の合意をしておく必要があり、辺野古以外の選択肢を議論している時間はないのだ、という手続き上の優先順位でやむを得ないということです。また、米軍は有事に際して嘉手納基地が攻撃された場合のバックアップとして沖縄本土にもう一つ飛行場が必要だという理由から、普天間を閉鎖するなら別の飛行場が沖縄に造るように主張しています。これがすなわち、鳩山氏の言う「抑止力」ということのようです。抑止力となりうるのは嘉手納基地の空軍であって、普天間ではなく、その嘉手納の空軍の退路を絶たれるような攻撃に対処できるようにするために普天間(あるいは別の沖縄県内の空港)が必要だ、という理屈らしいです。
 しかし、いくらやむを得ない事情があったにせよ、今回、鳩山氏の「腹案」に大きな期待を寄せていた人は、肩すかしを喰わされたような気持ちになったのは間違いないでしょう。この一連の出来事を振り返れば、鳩山氏のやったことは、「愚か」であったかも知れません。マスコミにはさんざん叩かれた挙げ句に、「それみたことか」というような記事を書かれるし、民主党支持票も随分、失ったことでしょう。それでも、沖縄の当事者の人々にとってみれば、鳩山氏は旧自民党よりは「まし」だと思っているわけで、沖縄の声をずっと無視し続けた前政権に戻るぐらいなら、鳩山民主党になんとか踏ん張ってほしいと思っているようです。沖縄民主党県連代表、チャンプルーズのハイサイおじさん、喜納昌吉さんも26日の鳩山氏との会見の後、「総理はまだ、国外、県外を模索している」とTwitterで伝えています(http://www.miraisha.co.jp/okinawa-kina-shoukichi/)。
 とにかく、一番悪いのはマスコミです。連中は、沖縄の人の苦しみも何も理解しようとせず、それを単なる政権与党の攻撃のネタに使って、沖縄の基地問題を何とかしようと(少なくとも試みた)鳩山政権の脚を引っぱっています。鳩山氏を希望どおり退陣させたら、どう沖縄の基地問題、日米安保の問題を解決していけばよいのか、これまで自民党政権で、誰一人、基地問題に真面目に取り組んでこなかったのに、一体、誰が沖縄基地問題の解決に適任と考えているのか、教えてもらいたいものです。何一つ建設的なことはしないくせに、出る釘を打つことだけは得意で、日本を良くしようとしている人の足を引っぱることしかできないマスコミは本当に社会の害です。マスコミが本当に報道しなければならないことは、戦後65年を経た今日に、今なお、巨額の税金を使って外国の軍事基地を日本の国内に置いているという、極めて異常な事態についてです。長年の自民党政権で、日米安保が正当化されてきて、この異常な事態が異常に思えないという異常心理の日本人に、日米安保のウソと本音を知らしめることです。
 先の全国知事会で、鳩山氏は米軍基地受け入れの要請をしました。前向きな発現は大阪府知事のみとのこと。つまり、殆どの県が米軍には来てほしくないと思っているわけです。クサいものには蓋というか、見たくないものは見ないという態度です。多くの本土の国民が、日米安保の問題など考えたくもないと思っているのでしょう。知事にしても同じことで、この異常な事態を正すことよりも自らの県にとばっちりがこないことばかりを気にしているわけです。沖縄や一部の地域に米軍基地があるだけならば、自分たちにとっては、日米安保はないのと同じ、どうでもよいことだと思っているのかも知れません。しかし、巨額の税金が不必要に費やされ、戦後ずっと植民地状態に置かれているわけですから、本当の所は人ごとではありません。とりわけ経済成長が止まって30年、高齢化してく日本で、これまでのようにアメリカに気前よくショバ代か思いやりか知りませんけど、払っていく余裕はありません。私、この問題を解決していくためには、国民全員が日米安保、沖縄基地問題を自分の問題として捉えることしかないと思います。米軍基地を嫌でも目にするような場所で生活すれば、考えざるをえないと思うのです。「戦後65年経っても、日本はアメリカの植民地なのだ、ということを思い知らされること」から始める、そのために米軍基地を本土がもっと受け入れることは、マイナスよりもプラスの方がはるかに多いと思います。

ところで、田中良昭さんの「普天間問題は終わらない」(http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/05/post_220.html)という記事の中で次のような一節がありました。

誰から見ても「バカ」と思える行動を取るのは「本物のバカ」か、或いは「何か裏がある」かのどちらかである。「忠臣蔵」の大石内蔵助は周囲を呆れさせる「バカ」になって「討ち入り」を果たしたが、見抜かれないためには「本物のバカ」になりきらなければならない。政治家が信じられない行動をとる時は、「裏」を疑ってみる必要がある。

果たして、鳩山氏は、アメリカあるいは霞ヶ関に屈服させられたのか、14年のロードマップでのグアム移転を確実にするために、この場は、とりあえず負けたふりをしているのか、あるいは、最後に、ちゃぶ台をもう一度ひっくり返そうとするのか、その辺の「真意」がどこにあるのか、私にはまだちょっとわかりません。ただ鳩山氏が「本物のバカ」でないことは明らかだと思います。しかし、いつまでもバカになりきっていては、民主主義で国民に選ばれた総理としての役割は果たせません。とにかく、鳩山氏、誠実に、もっとよく説明しないといけません。なぜ辺野古なのか、抑止力とは何を意味しているのか、よくわかりません。民主主義国家を目指しているなら、国民に隠し立てしてはいけません。それは、国民を衆愚と見下しているのと同じことで、民主主義の精神に反すると私は思います。

最後に、私の心情と大変近いことを、「美味しんぼ」の作者の雁屋哲さんが、檄文(?)にしてブログで発表されています。日本の将来を憂う方に、是非ともご一読を乞いたいと思います。
「敵を間違えるな」
http://kariyatetsu.com/nikki/1240.php
コメント
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