原発反対!
諸外国は日本政府と東電が発表するフクシマの放射線汚染のデータが怪しいと不信を募らせてきました。先週号のNatureのCorrespondenceではプリンストン大の危機管理コンサルタントのSandman氏、Lanard氏がフクシマの関係当局および日本政府が、とりわけ、将来的な展望について情報を十分に提示してこなかったことを批判しています。一般人(とくに日本国外の人)は当局の「直ちに影響はない」を疑っていますし、政府のいう見込みや計画を信用しておらず、結果として、日本製食品をさけたりヨード製剤を飲み出したりという行動に走ることになっている、とあります。政府の言うことが信用できないので、人々は自分の身を守るために過剰に反応せざるを得ないということです。
私もこの二年弱、言うことが全く信用できないウソつきの隣人とつきあわないといけないハメになって、随分、消耗しました。相手の言っていることがかなりの高い確率でウソである場合、それにしたがって自分の行動を決めることはできません。言っていることがウソだと仮定し、最悪の状況を想定しながら、行動を決めないといけなくなるので、どうしても過剰なことをすることになります。このNatureのコメントは危機にあって、臭いものには蓋をし、その場限りの言い逃れを繰り返すし、正直でなく、情報開示に積極的でない政府や当局の行動がいかに国民に消耗を与えているか、ということを批判しているわけです。
因みにこの号では、参謀を辞任した東大の小佐古氏の事件もSeven daysのコーナーで触れてあり、「福島原発周辺の学校での放射線安全基準はいきあたりばったり(ad hoc)で国際基準と乖離しており、高すぎる」と批判して辞任したとあります。
日本政府の危機管理の無能に、危機感を抱いたアメリカは官邸にアメリカ人アドバイザーを常駐させて、マッカーサーさながら、空きカンに指示出しをしていたという話も明らかにされました。無能な政府が原発処理を誤るよりは、官邸がGHQ化しても、原発を収める方が優先だと私は私は思います。
しかし、最近IAEA、アメリカDOEなどが独自または共同で航空モニタリングなどを行い、汚染状況の調査の結果、日本もついにデータを隠すことができなくなって、数日前に発表した汚染状況のデータには、ショックを受けました。その時の会見の様子が下のブログに文字おこしされています。
http://www.monipo.net/blog/x/osenmap-110509/
この強烈な数字を見て、私は目眩と動悸がしました。チェルノブイリでの一平方メートル当たりの最大汚染が148 - 370万ベクレル、フクシマでの最大汚染(原発周辺を除く)は何と、300- 3000万ベクレルです。数字に幅があるのですけど、一番低い数字をとっても、チェルノブイリ並み、高い数字だとチェルノブイリの10倍の濃度の放射線汚染が、帯状に30km圏を越えて飯館村に向けて伸びています。チェルノブイリでは、強制移住などの処置をとったにもかかわらず、現在に至るまで数多の甲状腺癌をはじめとする放射線障害が出続けています。そのチェルノブイリでの処置と比べると、今の日本政府のとっている処置は極めて甘く、近い将来に多くの問題を引き起こしてくる可能性が高いと考えざるを得ません。汚染地図からみると、半径80kmのあたりでも30-60万ベクレル/平米のところがあります。
東京を含む地域にもかなりの放射性物質が撒き散らかされたのは間違いないようで、これから5年、10年後に顕在化するであろう放射線障害のことを考えると暗澹たる気分になります。その被害者の数は、東京住人へも影響が及ぶ可能性が高いので、チェルノブイリの比ではないでしょう。チェルノブイリでは5-10年で子供の甲状腺癌が10倍となりました。放射能汚染はチェルノブイリを遥かに越え、しかも人口密集地帯へと及ぼうとしており、政府の安全対策は全く不十分なわけですから、チェルノブイリでの被害者は死亡者だけでも4000人です。フクシマではこの数はおそらく遥かに越えるレベルになるのではないかと恐れています。
先週末にも爆発があり、さっきのニュースでも一号機は原子炉に穴が開いて水位が保てず、冷却が困難になりつつあり、かつ大量の汚染水の問題を抱えて、立ち往生しているとあったように、フクシマ原発の事故は終焉にはほど遠く、日々、放射性物質が漏れ続けている状況にあります。加えて、作業員の人の疲弊、作業の難航を考えると、これから先、東日本はどうなるのか不安が絶えません。
こうなってくると、日本政府お得意の「目先のことしか考えない」、「直ちに影響がなければOK」、「何かあったら『想定外』」、と思考停止したくなりますが、目をつぶっても耳をふさいでも、飛んでくる放射能は防げませんし、フクシマの現実は変りません。
ついに、数字的には、チェルノブイリを越えて世界一の放射線事故になってしまいました。今後のaftermathはいかほどになるのか見当もつきません。しかし、起こってしまった事はどうしようもありません。とにかくフクシマを落ち着かせて、各地にある原発を廃炉にしていくしかできることはありません。それでも、もう昔の日本には永久に戻すことはできません。日本に住むということは、人が永久に住めない危険な土地を抱え、そこから飛んでくる放射能と共存せざるを得ないということを意味しています。
諸外国は日本政府と東電が発表するフクシマの放射線汚染のデータが怪しいと不信を募らせてきました。先週号のNatureのCorrespondenceではプリンストン大の危機管理コンサルタントのSandman氏、Lanard氏がフクシマの関係当局および日本政府が、とりわけ、将来的な展望について情報を十分に提示してこなかったことを批判しています。一般人(とくに日本国外の人)は当局の「直ちに影響はない」を疑っていますし、政府のいう見込みや計画を信用しておらず、結果として、日本製食品をさけたりヨード製剤を飲み出したりという行動に走ることになっている、とあります。政府の言うことが信用できないので、人々は自分の身を守るために過剰に反応せざるを得ないということです。
私もこの二年弱、言うことが全く信用できないウソつきの隣人とつきあわないといけないハメになって、随分、消耗しました。相手の言っていることがかなりの高い確率でウソである場合、それにしたがって自分の行動を決めることはできません。言っていることがウソだと仮定し、最悪の状況を想定しながら、行動を決めないといけなくなるので、どうしても過剰なことをすることになります。このNatureのコメントは危機にあって、臭いものには蓋をし、その場限りの言い逃れを繰り返すし、正直でなく、情報開示に積極的でない政府や当局の行動がいかに国民に消耗を与えているか、ということを批判しているわけです。
因みにこの号では、参謀を辞任した東大の小佐古氏の事件もSeven daysのコーナーで触れてあり、「福島原発周辺の学校での放射線安全基準はいきあたりばったり(ad hoc)で国際基準と乖離しており、高すぎる」と批判して辞任したとあります。
日本政府の危機管理の無能に、危機感を抱いたアメリカは官邸にアメリカ人アドバイザーを常駐させて、マッカーサーさながら、空きカンに指示出しをしていたという話も明らかにされました。無能な政府が原発処理を誤るよりは、官邸がGHQ化しても、原発を収める方が優先だと私は私は思います。
しかし、最近IAEA、アメリカDOEなどが独自または共同で航空モニタリングなどを行い、汚染状況の調査の結果、日本もついにデータを隠すことができなくなって、数日前に発表した汚染状況のデータには、ショックを受けました。その時の会見の様子が下のブログに文字おこしされています。
http://www.monipo.net/blog/x/osenmap-110509/
この強烈な数字を見て、私は目眩と動悸がしました。チェルノブイリでの一平方メートル当たりの最大汚染が148 - 370万ベクレル、フクシマでの最大汚染(原発周辺を除く)は何と、300- 3000万ベクレルです。数字に幅があるのですけど、一番低い数字をとっても、チェルノブイリ並み、高い数字だとチェルノブイリの10倍の濃度の放射線汚染が、帯状に30km圏を越えて飯館村に向けて伸びています。チェルノブイリでは、強制移住などの処置をとったにもかかわらず、現在に至るまで数多の甲状腺癌をはじめとする放射線障害が出続けています。そのチェルノブイリでの処置と比べると、今の日本政府のとっている処置は極めて甘く、近い将来に多くの問題を引き起こしてくる可能性が高いと考えざるを得ません。汚染地図からみると、半径80kmのあたりでも30-60万ベクレル/平米のところがあります。
東京を含む地域にもかなりの放射性物質が撒き散らかされたのは間違いないようで、これから5年、10年後に顕在化するであろう放射線障害のことを考えると暗澹たる気分になります。その被害者の数は、東京住人へも影響が及ぶ可能性が高いので、チェルノブイリの比ではないでしょう。チェルノブイリでは5-10年で子供の甲状腺癌が10倍となりました。放射能汚染はチェルノブイリを遥かに越え、しかも人口密集地帯へと及ぼうとしており、政府の安全対策は全く不十分なわけですから、チェルノブイリでの被害者は死亡者だけでも4000人です。フクシマではこの数はおそらく遥かに越えるレベルになるのではないかと恐れています。
先週末にも爆発があり、さっきのニュースでも一号機は原子炉に穴が開いて水位が保てず、冷却が困難になりつつあり、かつ大量の汚染水の問題を抱えて、立ち往生しているとあったように、フクシマ原発の事故は終焉にはほど遠く、日々、放射性物質が漏れ続けている状況にあります。加えて、作業員の人の疲弊、作業の難航を考えると、これから先、東日本はどうなるのか不安が絶えません。
こうなってくると、日本政府お得意の「目先のことしか考えない」、「直ちに影響がなければOK」、「何かあったら『想定外』」、と思考停止したくなりますが、目をつぶっても耳をふさいでも、飛んでくる放射能は防げませんし、フクシマの現実は変りません。
ついに、数字的には、チェルノブイリを越えて世界一の放射線事故になってしまいました。今後のaftermathはいかほどになるのか見当もつきません。しかし、起こってしまった事はどうしようもありません。とにかくフクシマを落ち着かせて、各地にある原発を廃炉にしていくしかできることはありません。それでも、もう昔の日本には永久に戻すことはできません。日本に住むということは、人が永久に住めない危険な土地を抱え、そこから飛んでくる放射能と共存せざるを得ないということを意味しています。