百醜千拙草

何とかやっています

シリアとか原発とか尖閣とか

2012-09-07 | Weblog
研究はなかなか進みませんが、雑用だけは毎日のようにやってきます。昨日は動物実験プロトコールの書き直しで、一日、潰れてしまいました。プロトコールのレビューが間もなくあるので、早急に問題点を直すようにとの向こうからの指示で、結局、他の仕事は後回しです。大体、3年も先の実験に使う動物の数などわかる訳がありません。半分は見てきたようなウソを書くしかありません。向こうもそれがわかっているのかわかっていないのか、それでも体裁は整えなければならないので、重箱の隅のような問題点を指摘してきます。一日、かかってようやく8割方おわりました。疲れました。

さて、世の中の話。
この話やめるつもりだったのですけど、その後にも二三の情報があったので。イスラム世界を専門的にレポートしているジャーナリスト、田原牧さんの記事を遅ればせながら読みました。インナーの論理(上、下)です。その前のエントリー、昨年末にシリアのダマスクスからの記事も興味深いです。つまり、シリアの内戦は数々のパーティーの思惑が入り交じっていてよそ者は言うまでもなく、内部の人間でさえ何が本当に起こっているのかさえわからないということのようです。亡くなった日本人ジャーナリストの人と行動を共にしていた佐藤さんがシリア政府に真相解明を要求したが、シリア側はビザ無しで入国した人間のことは知らない、と無視されたという話も聞きました。シリア政府にしたら「それどころではない」のでしょう。トルコから入国したときに入国が許可されたから正式な滞在だ主張しているようですけど、多くの国で「入国」と「滞在」は別物でしょうから、シリアでも入国は許可されても滞在は不法だったのかも知れません。そもそも戦争状態にあって、反政府軍側について入国したのですから、政府にとっては敵の一味という認識でしょう。ならば、その真相解明にわざわざ政府は動かないでしょう。

インナーの論理から断片的に抜き書き。

記者は中立で第三者である、という教科書のような主観は戦場では通じない。殺し合いをしている戦場では、客観的に第三者は成り立たない。
フェイスブックまで含めて、シリアで流通する双方の情報には信頼性がない。それは仕方がない。しかし、問題は日本のメディアまでもがトルコ人クルーの証言には「強要された疑いがある」と正しい注釈を加えながらも、自由シリア軍のそれは事実として扱っていた点だ。
現地の友人たち(シリア人、パレスチナ人)の大半は昔からのアサド嫌いだ。その友人たちの多くが、最近は政府軍を非難しない。最大の理由はいまの段階で現体制が倒れれば、サダム・フセイン体制が倒された後の凄惨なイラクの二の舞になると考えているからだ。
アサド政権は擁護しない。しかし、反政府派諸派の大半も信用しないし、支持しない。そもそも、情勢は地域での代理戦争(シーア派と湾岸のスンナ派)の様相を濃くしている。


また、前回触れた藤永茂さんの「シリアとリビア」の続編も読みました。最初にストレートにこうあります。

シリアで起っている事は、リビアで起った事と本質的に同じです。リビアという独立国を破壊した暴力と同じ暴力が、同じ事を繰り返すためにシリアという独立国に襲いかかっています。「凶暴な独裁者に苦しめられている国民を救い、民主主義政府を樹立する」という物のいい方も全く同じです。米欧が目指すのは、この言いがかりの下で、気に入らない事をする政権を打倒して、言いなりになる傀儡政権を“民主的選挙”という常套手段で樹立する事です。


そういう視点でいえば、イラクも日本も同じです。日本では戦後直後から傀儡政権による支配がずっと続き、対米独立を考える政治家たちはフセインやガダフィのように露骨に殺されはしなくても、様々な汚い手で嵌められてきました。どう見ても能力があるように見えないドジョウが、政権交代前の演説での主張を180度ひっくり返して、官僚とアメリカの言うがままに、連中の靴のウラでも舐めそうなほど卑屈になっているのはそのせいでしょう。


あと、もっとレベルが低い話ですが、それでも危ないには違いない話。「情けない」としかいいようのない東電の隠蔽体質です。福島第一の現場写真に細工をして、建物の損傷を隠したという話。詳しくは日々雑感のこのエントリーをご覧下さい。この不細工な写真の加工具合、東電、国民をナメきっていませんか。あるいはこのブログのコメント通り、東電は本当にバカなのでしょうか。これが研究不正でのデータ改ざんなら一発アウトの稚拙さです。しかも、この稚拙な隠蔽工作がバレたとなるとその部分を切り取って写真を差し替え、その言い訳として「核物質保護上の観点から、写真の一部を加工しておりました」と書いてあります。「核物質保護上の観点から写真を加工する」というのはどういう理屈でしょうか。もしかして風が吹くとオケ屋が儲かる類いですかね。写真を加工しないと核物質が保護できず、日本中に放射性物質がバラまかれるのですかね?東電、どこまで国民をバカにしているのでしょうか。あるいは、やはり東電の方が本当のバカなのでしょうか。だったら、「バカに核」の危険さはキチガイに刃物の比ではありません。

原発がらみで東京新聞の下のニュース。

核燃料プール 数年で満杯 6割が運転不可に
全国の原発五十基のうち約六割の三十三基が、数年間稼働させれば使用済み核燃料プールが満杯になり、動かせなくなることが、各電力会社への取材で分かった。新たに中間貯蔵施設を造るには十年はかかり、使用済み核燃料を再処理しても、核のごみは減らず、再生される混合酸化物燃料(MOX燃料)は使う計画がない。原発の抱える深刻な問題がはっきりした。


ついにトイレの無いマンションに溜まりに溜まったウンチ(核廃棄物)が限界のようです。この大量のウンチどうするつもりですかね。ちょっとでも漏れたら大変なことになります。結局、このまま行っても、数年で原発は止めざるを得ないということでしょう。
それにしても、東京新聞、中日新聞、マスコミの中でほとんど唯一といってよいジャーナリズムの良心を持ち続けている新聞社のように思いますが、最近のその姿勢はますます気合いが入っています。国税庁にガサ入れされるのもわかります。

最後にもっとレベルの低い話。
東京都や政府が尖閣諸島を20億出して買うとかいう話。この埼玉県在住の地権者の人が東京都知事とどういうつながりなのか勘ぐってしまいますね。折角、20億円ものカネを積んで買うのだから、この際、普天間の米軍基地を尖閣諸島に移しましょう。魚釣島なら普天間なみの滑走路ぐらいはつくれそうです。日本が実効支配しているのだからいいでしょう。どうせ尖閣諸島問題はアメリカが背後にいてヤラセ半分なのでしょうから、この際、日米安保を盾にとり、沖縄県民の苦痛を訴えて、日本の世論を煽り、その上で鳩山氏ぐらいが、アメリカと交渉すると見得を切ってみたらどうでしょう。この海域にはオイルがかなり埋蔵されているようですから、将来、掘削技術が向上したら、日中はまたもっと揉めます。その時が、尖閣諸島の日本の実効支配が終わり、正式に尖閣諸島が中国に分捕られる時です。二十億だれかに払おうがどうしようが中国がその気になれば取られてしまうのです。何だかんだいっても、アメリカは領土問題に口を出すつもりはありませんからね。そして日本は自分の領土を守る力がありません。だから、米軍基地の一部をそこに移転しましょう。アメリカはウンとは言わないでしょうが、地道に世論をもりあげれば、何とかなるかも知れません。
コメント
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