論文を書いたりレビューしたりする機会を通じて、科学的厳密さと表現の厳密さはほぼ相関すると私は感じます。レビューアは、論文に示されているデータそのものにウソはないという前提でレビューをし、示されているデータから著者の結論が十分に支持されるかどうかという点を第一の基準として論文を評価すると思います。著者の側は、データから導き出される最もインパクトのある結論を言いたいわけですが、実際には必ずしも点と点がうまく繋がって、データから強い結論が得られない場合も多いわけです。その場合に、ウソをつかない範囲で、言葉を選んでなるべくインパクトのある結論にしようとする表現上の技術が使われます。例えば、結論を述べる場合に、"demonstrate" や "indicate"という強い言葉を使う場合は、結論が十分に実験的データで支持されている場合、それほど強く言えない場合は" (strongly) suggest" や "provide evidence"のような言葉遣いをして、レビューアの攻撃をかわしつつ、言いたいことを言う戦術が使われると思います。
ある言明をする際に、その言明が可能かどうかを自ら問うてみて、不可能ではない、という二重否定が成り立てばヨシとする、ちょうど、統計での帰無仮説の否定のようなプロセスで、表現を吟味するわけです。だからといって、結論が正しいというわけではありません。結論が間違いとは言えないというレベルの話です。よって、これを意図的に使ってサイエンスの内容を無理に曲解して、インパクトのある結論らしきものを主張するという論文もあります。
しかし、これらの修辞上の技術は、言葉そのものの意味をレビューアも著者も読者も共有しているから成り立つことで、例えば、著者が広く受け入れられて厳密に定義されているような「言葉」の意味を勝手に独自の解釈することによって、事実そのものを捻じ曲げるというようなことは有り得ません。
霞ヶ関文学、官僚答弁というのは、この辺の虚偽とは言えないが本当でもないスレスレをくぐり抜けるためのレトリックでした。それが、アベ政権になってから、虚偽答弁をし、文書を改竄するという超えてはならない線を平気で越えることが増えました。もはや政府は無法地帯です。
日報の「戦闘」、法的な「戦闘行為」でない 政府答弁書といういかにもアベ政権らしい先週のニュース。
政府は27日、自衛隊のイラク派遣の際の活動報告(日報)に記載があった「戦闘」の言葉について、自衛隊法で定義される「戦闘行為」の意味で用いられた表現ではないとする答弁書を閣議決定した。立憲民主党の逢坂誠二衆院議員の質問主意書に答えた。
ここで使われている言葉は、国語辞典に書いてある言葉の意味ではない、という話。しかもそれを閣議決定、呆れますな。
関して、武田砂鉄@takedasatetsu さんのツイート。
日本語の限界に挑戦する人々。→イラク日報にあった「『戦闘』の言葉について、自衛隊法で定義される『戦闘行為』の意味で用いられた表現ではないとする答弁書を閣議決定。
今後、「編集者からのメールにある〆切は、定義された『〆切日』ではないと判断」などと応用したい。
アベ政権がルール無用で滅茶苦茶をするのだから、市民の側もルール無用でいいのではないですかね。財政危機と縁故政治のアベ、今の日本はフランス革命前夜に似てきました。
ある言明をする際に、その言明が可能かどうかを自ら問うてみて、不可能ではない、という二重否定が成り立てばヨシとする、ちょうど、統計での帰無仮説の否定のようなプロセスで、表現を吟味するわけです。だからといって、結論が正しいというわけではありません。結論が間違いとは言えないというレベルの話です。よって、これを意図的に使ってサイエンスの内容を無理に曲解して、インパクトのある結論らしきものを主張するという論文もあります。
しかし、これらの修辞上の技術は、言葉そのものの意味をレビューアも著者も読者も共有しているから成り立つことで、例えば、著者が広く受け入れられて厳密に定義されているような「言葉」の意味を勝手に独自の解釈することによって、事実そのものを捻じ曲げるというようなことは有り得ません。
霞ヶ関文学、官僚答弁というのは、この辺の虚偽とは言えないが本当でもないスレスレをくぐり抜けるためのレトリックでした。それが、アベ政権になってから、虚偽答弁をし、文書を改竄するという超えてはならない線を平気で越えることが増えました。もはや政府は無法地帯です。
日報の「戦闘」、法的な「戦闘行為」でない 政府答弁書といういかにもアベ政権らしい先週のニュース。
政府は27日、自衛隊のイラク派遣の際の活動報告(日報)に記載があった「戦闘」の言葉について、自衛隊法で定義される「戦闘行為」の意味で用いられた表現ではないとする答弁書を閣議決定した。立憲民主党の逢坂誠二衆院議員の質問主意書に答えた。
ここで使われている言葉は、国語辞典に書いてある言葉の意味ではない、という話。しかもそれを閣議決定、呆れますな。
関して、武田砂鉄@takedasatetsu さんのツイート。
日本語の限界に挑戦する人々。→イラク日報にあった「『戦闘』の言葉について、自衛隊法で定義される『戦闘行為』の意味で用いられた表現ではないとする答弁書を閣議決定。
今後、「編集者からのメールにある〆切は、定義された『〆切日』ではないと判断」などと応用したい。
アベ政権がルール無用で滅茶苦茶をするのだから、市民の側もルール無用でいいのではないですかね。財政危機と縁故政治のアベ、今の日本はフランス革命前夜に似てきました。