百醜千拙草

何とかやっています

言葉の話

2018-05-04 | Weblog
アベ政権が破壊する立憲民主主義、それは意思疎通、言語そのものを破壊することを通じてなされていることに人々は危惧を抱いています。前回取り上げた、「戦闘」と「戦闘行為」は違うという詭弁、に関して中島岳志さん@nakajima1975のツイート。

言葉を崩壊させると、あらゆる合意が空洞化する。安倍内閣の最大の特徴は、言葉への信頼を剥奪することで、政治的操作を進めることにある。これは世界の崩壊につながる。言葉を取り戻さなければならない。

的確ですね。ロゴスは世界のアルファでありオメガです。言葉や論理が信用できないものとなれば、人間にとっての世界そのものが崩壊します。

言葉に関して、ちょっと気になったニュース。

小泉進次郎氏が「ポリテック」を自民党内で推進。
何のことかと思えば、ポリティクスとテクノロジーを合体させた造語とのことで、Politechらしいです。しかし、英語にはPolytech, Polytecnicという言葉があり、普通、技術、工学系に特化した総合工科大学を指します。
 それにしても、日本の話なのにどうして英語で造語を作るのですかね。対外的には意味不明の言葉です。しかもその意味するところも不明です。こういうのはちょっと恥ずかしい。
まさか、ロボットに人工知能を積んだロボットに政治をやらせようという発想ではないでしょうし。ま、ロボットの方がアベよりもはるかに優秀でマトモな政治をするのは間違いないでしょうが。

意味不明の言葉を作って流行らせるというのは手垢のついたやり方です。「アベノミクス」みたいなものですね。中身は空洞でも、とりあえず意味不明のラベルを作って、連呼すれば、何かすごいでもやっているに違いない人は錯覚する、そのためにやるのでしょう。外国人が日本人を理解できないのはこういうところでしょう。その言葉を理解しようとして質問しても、その言葉を作った人間ははっきりと説明しないのでイライラすることになります。なぜなら、わざと内容が不明になるように作ってあるラベルに過ぎないからです。

言葉に関してもう一つ、先日、トランプが韓国の大統領と「Talk」し、アベと「Speak」したとツイートしたことで、韓国の大統領とは「会談」であったが、アベには(一方的に)「伝えた」だけであったと「Talk」と「Speak」の差を解釈しているのを見ました。事実、トランプのツイートでは、「Also spoke to Prime Minister Abe of Japan to inform him of the ongoing negotiations」とありますから、一方的に進渉を伝えただけだったのだろうと思います。しかし、「(人と)話す」という意味で、実際に「talk」と「speak」に差があるかと言われると、あまりないだろうと思います。あえて言うなら「speak」はその主語の行動に焦点があり、「talk」は相手との意思疎通が目的でなされているという含意があるぐらいでしょう。

多分、昔は、talkとspeakには比較的はっきりした差があったのでしょう。今は会話するという意味で両者は同様に使われ、「speak with」という言葉遣いが「talk with」と同じ意味で使われていると思います。ここでは、トランプは「speak to」と言っており、それが「talk with」と対比をなすので、韓国の大統領とは会談であったが、明らかにアベに対しては上意下達の伝達であったことが読み取れます。「to」と「with」で思い出すのが、「compare with」と「compare to」の使い分けです。学校では、「〜と比較する」が前者、「〜に喩える」が後者と習った覚えがありますが、実際には「〜と比較する」の意味で、両方とも使われています。

言葉は生き物で、進化もすれば退化もするということですね。
コメント
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