先日、3月にイギリスで起きた元KGBの暗殺事件に使われた毒薬の残留物に一般人が接触して死亡するという事件がありました。ロシア国家が行う(と考えられている)こうした暗殺事件やテロ事件はソ連時代から何度も起こっており、ロシアに対する国家イメージは良いものではありません。日本人も、第二次大戦中に日ソ中立条約を反故にして火事場泥棒的に侵攻し、シベリア抑留し、北方領土を奪ったソ連という国に良い印象を持っている人は少ないでしょう。確かに国としては、信用できない、残虐、などマイナスの印象の強いロシアですが、個人的に知っている少数のロシア人はいい人間ばかりです。子供時代にソ連侵攻を実体験し、ソ連兵士の残虐さと彼らの歌う歌の美しさの不可思議な対照を、五木寛之さんがエッセイに書いておられるのを読んだ覚えがあります。国として魅力は感じませんが、一方で個人の単位に目をむければ、ロシアの文学や音楽は、独特の重さとコクのある味わいがあります。
私の子供の頃は日本でもロシア民謡が愛好され、小学生の音楽の授業では、日本語歌詞の「灯火」、「カチューシャ」などを歌った覚えがあります。他にも「黒い瞳」、「百万本の薔薇」、「カリンカ」、数多くの曲が日本や世界で親しまれています。他にも流行歌歌手がとりあげて広まったものあります。Mary Hopkinが「Those were the days」というタイトルで歌ったロシア民謡は、ほぼ同時期、Dalidaもフランス語でカバー(Le Temps Des Fleurs)しています。
思うに、昔のロシアやヨーロッパの曲は短調の物悲しい感じのものが多く、日本人の感覚と親和性が高かったのではないでしょうか。あるいは、日本が西洋の曲を輸入して国に広めたので、日本人の方がそうした曲を好きになったのかもしれません。この前、中国人留学生が、実験しながら「ポリューシュカ ポーレ」を口ずさんでいたのを耳にしました。ソビエト連邦が強力だったころに、ロシア民謡は世界に広く広がったのでしょうか。アメリカが強くなって、アメリカンポップスやロックが世界に広まったのと同じようなものなのかもしれません。
この曲も、たまたまyoutubeで聞いて、心が荒んだ時に聞くコレクションに入れました。あまり日本では馴染みのない曲みたいですが(私の無知ゆえかもしれません)、「Белым снегом (白い雪)」というウラル地方の作曲家のYevgeny Pavlovich Rodyginという人が作った曲です。作詞はGrigory Varshavskyという人で、多分、前世紀半ばの曲。ゆっくり目にしみじみと歌うアレンジが大変良いです。TVのオーディション番組でコンテスタントだったAlisa Ignatievaという歌手が歌ってヒット。デュエットの相手はPelageyaという有名なロシアの民謡系の歌手で、オーディション番組ではコーチ役を勤めました。
綺麗な曲だったので、歌詞をgoogleさんを使って意訳してみました。どうも男女の別れの歌のようです。
白い雪が、覆い隠す道、嵐の夜
はるかなその道を、二人並んで歩いた
二人の出会いを、あなたの愛の言葉を
どうして忘れたの、二人で過ごした時を
苦しくて切なくて、あなたを呼んだ
二人の道は消え、足跡ははるか彼方
Алиса Игнатьева, Пелагея "Белым снегом". Самара. Концерт Пелагеи. 29.03.2015
もう一つ、ロシア絡みで、心の安定に役立つ曲としてすでにコレクションに入っている有名曲を。三大アベ マリアと呼ばれている曲は、シューベルトと、バッハ/グノー、と並んでカッシーニのものがあり、日本では特にカッシーニのものの人気が高いと思いますけど、これが実はカッシーニが作曲したものではなく、しかもバロックでもなかった、ということを最近知ってショックを受けました。実際には1970年頃ソ連の音楽家ウラディーミル・ヴァヴィロフ(Vladimir Vavilov 1925-73) によって作曲された曲なのだそうで、50年前には存在さえしていなかったのです。クラッシックでさえなく、ビートルズよりも新しいのでした。確かにバロックの曲調ではなく、短調の定型的な和音進行が美しいシンプルな曲です。
ソプラノ独唱で歌われることが多いと思いますが、ここではフランスの楽団がオーケストラと合唱で演奏しているものを。人の良さそうな指揮者の表情が大変良かったので。
Ave Maria "de Caccini" exécuté par l'orchestre des concerts Lamoureux et la Maîtrise de Paris
私の子供の頃は日本でもロシア民謡が愛好され、小学生の音楽の授業では、日本語歌詞の「灯火」、「カチューシャ」などを歌った覚えがあります。他にも「黒い瞳」、「百万本の薔薇」、「カリンカ」、数多くの曲が日本や世界で親しまれています。他にも流行歌歌手がとりあげて広まったものあります。Mary Hopkinが「Those were the days」というタイトルで歌ったロシア民謡は、ほぼ同時期、Dalidaもフランス語でカバー(Le Temps Des Fleurs)しています。
思うに、昔のロシアやヨーロッパの曲は短調の物悲しい感じのものが多く、日本人の感覚と親和性が高かったのではないでしょうか。あるいは、日本が西洋の曲を輸入して国に広めたので、日本人の方がそうした曲を好きになったのかもしれません。この前、中国人留学生が、実験しながら「ポリューシュカ ポーレ」を口ずさんでいたのを耳にしました。ソビエト連邦が強力だったころに、ロシア民謡は世界に広く広がったのでしょうか。アメリカが強くなって、アメリカンポップスやロックが世界に広まったのと同じようなものなのかもしれません。
この曲も、たまたまyoutubeで聞いて、心が荒んだ時に聞くコレクションに入れました。あまり日本では馴染みのない曲みたいですが(私の無知ゆえかもしれません)、「Белым снегом (白い雪)」というウラル地方の作曲家のYevgeny Pavlovich Rodyginという人が作った曲です。作詞はGrigory Varshavskyという人で、多分、前世紀半ばの曲。ゆっくり目にしみじみと歌うアレンジが大変良いです。TVのオーディション番組でコンテスタントだったAlisa Ignatievaという歌手が歌ってヒット。デュエットの相手はPelageyaという有名なロシアの民謡系の歌手で、オーディション番組ではコーチ役を勤めました。
綺麗な曲だったので、歌詞をgoogleさんを使って意訳してみました。どうも男女の別れの歌のようです。
白い雪が、覆い隠す道、嵐の夜
はるかなその道を、二人並んで歩いた
二人の出会いを、あなたの愛の言葉を
どうして忘れたの、二人で過ごした時を
苦しくて切なくて、あなたを呼んだ
二人の道は消え、足跡ははるか彼方
Алиса Игнатьева, Пелагея "Белым снегом". Самара. Концерт Пелагеи. 29.03.2015
もう一つ、ロシア絡みで、心の安定に役立つ曲としてすでにコレクションに入っている有名曲を。三大アベ マリアと呼ばれている曲は、シューベルトと、バッハ/グノー、と並んでカッシーニのものがあり、日本では特にカッシーニのものの人気が高いと思いますけど、これが実はカッシーニが作曲したものではなく、しかもバロックでもなかった、ということを最近知ってショックを受けました。実際には1970年頃ソ連の音楽家ウラディーミル・ヴァヴィロフ(Vladimir Vavilov 1925-73) によって作曲された曲なのだそうで、50年前には存在さえしていなかったのです。クラッシックでさえなく、ビートルズよりも新しいのでした。確かにバロックの曲調ではなく、短調の定型的な和音進行が美しいシンプルな曲です。
ソプラノ独唱で歌われることが多いと思いますが、ここではフランスの楽団がオーケストラと合唱で演奏しているものを。人の良さそうな指揮者の表情が大変良かったので。
Ave Maria "de Caccini" exécuté par l'orchestre des concerts Lamoureux et la Maîtrise de Paris