百醜千拙草

何とかやっています

英語教育改革とカネ

2019-12-03 | Weblog
ちょっと前の続きですけど、英語教育改革の話。ある討論会のビデオを見たので、それを紹介したいと思います。

その前に、英語を使える様になるにはどうすれば良いか、という問題に対しての真面目な提案。現在、必要上、英語を使う日本人は数多くおり、私の知る彼らは従来の日本の英語教育を受けておりますが、英語は、皆、立派なものです。一方、英語の必要がない人が英語能力が低いのは当然でしょう。仕事上、英語の必要があるのにマトモに使えないのはアベぐらいではないですかね。隗より始めよ、ですな。
つまり、物事を十分に習得するのに「近道はない」し、それなりの努力をすれば誰でもあるレベルには達すると思います。一方、努力しなければ、いくら早期から英語教育を始めようと、英語環境にしようとムリです。楽器の演奏を学ぶ様なものでしょう。喩えば、小さい頃からピアノ教室に通う子供は大勢おり、「チューリップ」ならすぐ弾ける様になります。しかし、最終的にそのうちの何割が音大レベルになるでしょうか。これは、ちょっと極端な喩えですけど、一体どんな目的を目指して英語教育をするのか、という点をはっきりさせる前に制度を変えようとしていることが問題だと私は思います。

つまり、日常会話程度ができる様にするのが目的なら、会話に特化した授業をちょっと加えれば事は済むので、何も教育を改革して小学生から英語を学ばせるほどのことはないです。一方、高度の内容の英語でのコミュニケーションは英語が母国語の人でも長年の訓練が必要だと思います。

以前、藤原正彦さんのエッセイを読んだ時、アメリカの大学で学生に数学を教えていた時、学生の出してくるレポートの英語がひどいので、英語の添削の方に時間がかかったという様なエピソードがあった様に記憶しています。数学やその他の科学では、論理的で緻密な思考が必要です。英語の表現も同じことで、論理的に文法に沿って文の構造を正しく組み立てる能力が求められます。その能力は英語教育を早期に始めるとか、英語環境で教育すれば身につく、というようなレベルの話ではないと思います。英語の問題ではなく、言語の構造の理解、文法というルールの理解に関する問題ですから、論理的思考ができるかどうかという問題です。高度の内容を英語で適切に表現する能力は、ネイティブであるとかないとかはあまり関係がないと思います。

まずは、プライマリーとなる言語体系をしっかりと身につける必要があると私は思います。それによって緻密に論理的に思考し表現することが可能になると思います。それが十分にできなければ、英語、日本語に関係なく、高度なコミュニケーションはできないであろうと思われます。

さて、本題の動画「『最悪』の英語教育改革が始まろうとしている」(ダイジェスト版、約10分)ですけど。当然ながら複数の思惑があります。しかし、多分、最も大きな動機はカネでしょう。 以下、要点だけ箇条書き。

- 英語はネイティブが教えないといけないという根拠のない神話。
- 問題の所在がきちんと把握できていないまま、処方箋が書かれるので、どう考えても間違った処方箋が出されてしまうという典型例。
- 制度を変え、中学入試などに備えて、教育業者が出てくる、結局、利権。
- 試験を出す側と試験対策をする側が一緒。自分のところの試験を受験生に受けさせ、「ウチの塾に来れば、いい点数が取れますよ」というビジネス。ベネッセさんは、いろいろ文科省と仲良くやっている。
- 試験や教育の目的はわからないではないが、手段が稚拙。
- 単語だけ知っていてもだめだと言うが、おかしな話で、まずボキャブラリがなければ話にならない。高校までで学ぶ単語は5000、でそれは、英語の柱となる中心的なものにしかすぎない。

ま、アベ政権では、いつものことですけど、結局のところ、教育改革、入試改革とやらは、元文科大臣、文科省と癒着したベネッセという民間業者が、子供の教育をネタに金儲けしようとしたということらしいです。

元文科相下村氏が後ろ盾、元文部事務次官佐藤氏が天下り
、、、ベネッセと共同で検定試験「GTEC」を行っている(一財)「進学基準研究機構」の役員構成。理事長に旧文部省元次官の佐藤禎一氏、参与に文科省出身で、元岡山大学事務局長・阿部健氏が就いていた。国会で取り上げられる事態になり、2人とも慌てて辞職したという。、、、

政商とはちょっと古い言葉ですが、越後屋と悪代官、アベ政権では最近特に、多く目に付きますな。モリカケ、スパコン、水道事業に原発、、、、最近ではジャパンライフですか、数え上げればキリがないですな。異常事態が異常事態に感じられないぐらいの異常さです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする