百醜千拙草

何とかやっています

国民のレベル

2020-10-02 | Weblog
先日のアメリカ大統領選の討論会、毎回、レベルの低い貶し合いにウンザリしますけど、年のせいか、今回は見るに耐えず、10分でギブアップしました。Twitterでも、「ウチの8才の息子でも、もうちょっと振る舞い方をわきまえている」みたいなコメントがありました。

二人で勝ち負けを争うわけですから、相手よりも相対的に上に立てばいいわけで、簡単なのは相手を下げることです。アメリカではこの手のネガティブ キャンペーンは選挙の度に溢れかえりますけど、この見苦しい戦略が採られるのも有効だからです。

結局は、アメリカの有権者のレベルにあわせて、候補者も選挙戦略を決めるわけで、この見苦しい討論が行われるのも多数を占める有権者のレベルに合わせているからのだろうと思います。トランプが四年前に選ばれた時に、良識のある人々は、呆れ、眉をひそめてアメリカの没落を嘆いたものですが、当時、トランプを(間接的に)支持した大勢のアメリカ国民は、テレビのバラエティーに出ている成功したビジネスマン、ぐらいの認識しかなかったのではないかと思います。この一見成功しているようにみえる有名ビジネスマンが、我が家の経済危機を救ってくれるのではないか、という未知に対する期待をトランプは煽って票を集めました。多くの人がトランプが「どんな」手をつかってビジネスをやり、税金をごまかしてきたかは知らないし、トランプが人種主義者、性差別者のセクハラ男で傲慢なウソつきだということもあまり知らないまま、投票したのだろうと思います。あるいはわかっていたけれども、「ヒラリーはうんざり」「黒い猫でもネズミを取る猫ならいい猫だ」と思って投票したのかも知れません。結果、黒い猫はただの黒い猫でネズミを取りもしない上、黒を白と言い張り、都合の悪い事実はフェイクニュースだとメディアに責任転嫁し、選挙戦で劣勢とわかると郵送投票による大統領選挙を妨害すべく大量に郵便局職員をリストラした上、急遽空きができた最高裁に極右判事を任命して選挙で負けた時に裁判に持ち込んでゴネると堂々と宣言するという、アベにスガを掛けてニカイとアソーを足したようなトンデモなさです。

同じことは日本にも言えます。メディアが比較的マトモに機能しているアメリカでも、大勢の人はニュースをじっくり読まないで、雰囲気で投票する。まして、電通を使って脅し、会食でメディアを手懐けてきたアベ政権、メディアはモリカケ、サクラ、などなどなどなどなどなど、のアベの悪事を積極的に糾弾するどころか、そのごまかしと隠蔽に手を貸してきました。一方で、政権は消費税を上げ、年金支給年齢を引き上げ、非正規雇用を増やし、国民生活を不安定にすることで、目先の生活に追われて、社会や政治に関心をもつ余裕がなく、政治的無関心を増大させるような政策を取ってきました。そして、古くは植草さんの例が有名ですけど、政権批判者を痴漢冤罪で口封じし(さすがにこの手口が知れ渡ったので最近はあまりないですが)、アルバイトを雇ってSNSなどで政権擁護の一方、政権批判を見つけると、冷笑系コメントを書き込ませるようなことまでしています。その手のコメントは政権批判の内容に対する具体的な反論はないのですぐわかります。多分、冷笑コメントの書き方のテンプレートを使っているのでしょう。

ま、アベやスガに限らず、日本の政権(も諸外国の政権)は以前から、一億総白痴化政策(3S政策:スポーツ、セックス、スクリーン)をとってきたものですが、その効果かどうか、結局は、国民は政権の思う通り、政治に無関心で政府の言うことは大人しく聞き、国民同士で出る杭を打つような理想の奴隷になりました。生活が苦しいのも自己責任だと思い込み、助けを求めるかわりに自殺を選ぶ世界トップクラスの自殺大国となりました。選挙にいく人であっても、政治家は実績や行動や人間性で選ぶのではなく、漠然とした印象だけで判断するようになり、東北農家の出身でパンケーキが好きな庶民派的なら、実際に何をやってきたかは問題にしないようになりました。

結局は、政治家のレベルは国民のレベルです。アメリカ人のレベルはトランプなみ、日本人はアベやスガなみ。世界的に退行しているようです。
コメント
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