生まれ育った国を出て移住する人々が世界中で増えております。今やサービス業、情報業を主業とする人々が増えてきて、インターネットさえあれば仕事ができるという人は土地に縛られずに世界中を移動できます。そういうExpatと呼ばれる脱出者のための組織、InterNationsは、世界で400弱のExpat コミュニティーの約400万人のメンバーに、Expatsのサポート、情報交換などのためのプラットフォームを提供しています。同時に、この国外移住者のネットワークを利用して、興味深い情報も収集しています。最近、発表された移住者の投票による外国人Expatsが選ぶベストとワーストの国は興味深いと思います。
ところで、私はこの社会の隅々にまで行き渡っているランキングや評価によるメトリクラシーをいうもののネガティブな側面を昔から嫌悪しております。そういう社会に否応なく生まれ育ち、その中で生きていかねばならないという現実の中でこれまでなんとか折り合いをつけてきたのですけど、数年前にそろそろ私はこの社会から降りるべきだろう思い始めした。というわけでランキングそのものもちょっと抵抗があるわけではありますが、今日はそれは本題ではないので、飛ばします。
Expatsが考えるベストな国は、一位は台湾、二位はメキシコ、三位、コスタリカ、四位 マレーシア、五位、ポルトガル、、、、と続きます。生活コストや安全性、利便さ、気候、人々の態度、社会制度、仕事、、などの数々の因子が総合的に考慮された上での投票による順位と思いますけど、例えば、すでに老後の引退者の移住に人気のメキシコや中米、ポルトガルなどが外国人に優しく、ゆえに順位が高いのは理解できます。
ちょっと悲しいのが日本で、60近くの国々の中でワースト6位という順位。名古屋入管の事件や、日本人の排他性、官公庁の不透明さ、遅れているデジタル化、不景気、高齢化、言語の問題、悪化する気候、融通のきかなさなどなどを考えると、いくら食事が美味しくて物価も比較的安く都市生活は台湾なみに便利としても、外国人にとっては今の日本は住やすくはないだろうなあと思います。
ちなみにワースト5は、エジプト、ロシア、南アフリカ、イタリア、クウェートです。イタリアは気候や文化では申し分ないが、仕事をする点で困難ということがネックになったらしいです。日本よりまだマシと評価された残りのワースト10に入った国は、キプロス、トルコ、インド、マルタ、スウェーデンでした。引退者に人気があるマルタは意外でしたが、マルタはそもそも国が非常に小さく、緑に乏しく混雑している点が嫌われたようです。残りの国々の問題点は比較的明らかですね。
同じアジアの国で食事が美味しく安全な国という点で共通する台湾と比べて、どうしてこうも日本は外国人の評価が低いのでしょう。台湾の物価が日本より安いというのは一因でしょうが、それが主な原因とは思えません。思うに主原因は日本の社会システムの劣化であろうと思います。多分にそれは政府の責任です。外国人居住者に評価が低い国は、その国民にとっては住みやすいということはないでしょうから、政府は日本に住むExpatからも日本の悪い点を指摘してもらって学べばどうでしょう。(政府が、縁故政治で国民の富を掠め取ることに熱心で、一般の住人から学んで住人のために社会システムを改善しようとする意思がないのが問題でしょうが)