今日、パバロッティの死去のニュースを聞きました。七十一歳、膵臓がんだったそうです。私はパバロッティについて論じる資格はほとんどゼロに近いのですが、さすがに10数年前に3テナーズが大ヒットした時にCDは買いました。それとあと二三、図書館で借りてきたCDがiPodに入っています。昔、大学の実験室で3テナーズをかけて実験していた時、クラッシック好きの先輩が「パバロッティはいいですね」と話しかけてくれたのを思い出します。その人はその後、病で急逝したのでした。3テナーズはクラッシックレコードとしては異例の大ヒットになったのですが、普段クラッシックに興味の無い人も「三大テノールの夢の競演」みたいなキャッチフレーズに乗せられて、「どうもすごいらしい!」という妙な期待感からCDに手を出したのだと思います。恥ずかしながら私もその一人です。それより更に5、6年前の「宇宙ブーム」の時と似ています。当時、神経変性疾患に侵された天才理論物理学者、スティーブンホーキングが一般向けの宇宙の始まりと終焉についての本を出版し、ベストセラーとなりました。アメリカで流行るものはちょっと遅れて日本でも流行るので、一般書店の一番目立つところに山積みになっていた「ホーキング、宇宙を語る」は私も買いました。当然内容の半分はよく理解できませんでした。その点、音楽はもっと簡単です。理解する必要も特にありません。3テナーズといいますが、微妙な格付けはあるみたいで、ホセカレーラスよりはプラシドドミンゴの方がちょっと上でドミンゴよりはパバロッティがちょっと上という感じだったように思いました。本来ソロで歌うテノールが同じステージに三人集まって、朗々たる歌声を披露したのですから、なかなかのものであることは、素人の私にもわかります。こってりした豚骨スープにすりおろしニンニクを大量に加えて厚切りチャーシューを目一杯のせたラーメンみたいです。CDの目玉は当然ながらパバロッティの「Nessun dorma」だと思います。クラッシックではモーツアルトの次に私の好きなプッチーニの未完のオペラ、ツーランドットの中のこの名曲は、クラッシック界のみならずいろんな人が歌っていますが、かなりの声量を必要とするためか、誰もパバロッティにかなう者はなく、「Nessun dorma」はパバロッティの曲というイメージが出来上がっていると思います。彼以外の「誰も歌ってはならぬ」という感じです。歌えばボロがでますから。パバロッティ死去のニュースでは当然ながら、この曲を歌っているパバロッティの映像が流されていました。「誰も寝てはならぬ」と歌われるこの曲とともにパバロッティは永遠の眠りにつきました。「自分の名前を夜明けまでに当てたら命を捧げよう」と賭けをした主人公が歌うこのアリアの最後の部分で、「夜よ消えよ、夜明けに我は勝利する!」と力強く歌い上げる部分が、テレビに映し出されていました。これから先も当分、この曲をパバロッティ以上に歌える人は出てこないのでしょう。そして、この完全なるパパロッティの勝利を人々は長らく記憶する事でしょう。
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