百醜千拙草

何とかやっています

選挙の週

2024-07-09 | Weblog
先週は選挙の週でした。
まずは、イギリスの総選挙で労働党が地滑り的勝利を収めて政権交代となりました。労働党の前党首であり、パレスティナ支援を訴えてきたJeremy Corbynは、今回、無所属で立候補し議席を回復。イスラエルのジェノサイドを支援してきたスナクの保守党は壊滅的敗北となりました。一方で2ヶ月前の補選で議席を回復したばかりのGeorge Gallowayは、南アとイスラエルのアパルトヘイト問題の深くコミットしてきた議員でしたが、残念なことに落選してしまいました。現在の労働党のパレスティナ問題やウクライナ問題へのポジションは保守党と大差ないような感じで、この今世紀最大の殺戮と人権蹂躙に強く反対を打ち出しているものではありません。先の労働党党首であったCorbynは「反ユダヤ」カードを切られて、党を追放されましたから、この政権交代がイスラエル-パレスティナ問題に大きな影響を与えることは期待薄ではないかと思います。

アメリカ大統領選、あの史上最悪の米国大統領候補討論会の後、民主党はバイデンをどうするのか、という床屋政談でネットは多少盛り上がっております。「バイデンはアルツハイマーや認知症があるのではないか」との記者会見での質問に政府広報官が「時差ボケや風邪やらで調子が悪かった」というような言い訳で乗り切ろうとしたのがますます、「バイデンは公務執行不能」であるとの国民の確信を強めました。直ちに辞任が必要な状態に見えます。この状態であと4年半はあり得ません。それでも、討論会場に出てくるだけ、マシと言えます。現役都知事でありながら、後ろめたいことが多すぎて、討論や対面の記者会見から逃げまわる、学歴詐称と権力者へのすり寄りで政界を渡ってきた「緑のたぬき」おばさんよりは潔いでしょう。

バイデンの独立記念日翌日のツイート

これ、ほんとにバイデンがツイートしたのか影武者なのかAIなのかわかりませんけど、民主党としては、もうバイデンで戦うしか他に手がない、という玉砕モードなのでしょう。もし、民主党に黒人かヒスパニックでオバマ並みのカリスマのある若手が居れば、バイデンと差し替えることも可能であったかも知れません。白人で男性で高齢なのでは、いくらバイデンよりも能力と魅力があっても勝てる見込みはなく、かといって女性で有色人種であるからと言っても、カマラ ハリスはあくまでバイデンの添え物として選ばれたわけでメインは務まりません。いずれにしても都会のヒスパニックや黒人層を支持基盤にしてきた民主党であるのに、白人のバイデンがパレスティナというアパルタイト政策の加害者であるイスラエル支援を続けて多くのパレスティナ人を殺してきたという事実を、黒人やヒスパニックの支持層が受けつけないのではないかと私は思います。東部のマサチューセッツやニューヨークはともかく、ひょっとしたらカリフォルニアやハワイなどは民主党支持州でなくなるかも知れません。

そして、土曜日はイランの大統領選。宗教国家であるイランは大統領よりも最高指導者の方が強い影響力があるようです。これまで保守強硬でハメネイ氏と保守派の政権が一致していましたが、今回は欧米との対話を掲げた改革派、ペゼシュキアン氏が当選。選挙システムそのものが与党に有利に設計されている中での改革派の勝利というのは意義深いと思います。それに「対話」があることはいいことです。例え、それが罵り合いであったとしても、対話のある間は戦争にはならないわけですから。

人気低迷のマクロン政権が自爆解散して行われたフランス総選挙。フランス国民の右傾化傾向は以前から話題になっており、選挙では当初、極右政党「国民連合」が躍進しましたが、共闘の結果、決選投票の結果は左派連合が第一党となりました。喜ばしいニュースは、勝利後の演説で、代表のメランション(多分、次期大統領)は、「われわれはパレスティナを国家として認める必要がある」と述べ、聴衆が歓声をもって応えました(下のビデオの1:15あたり)。フランス一般国民のジェノサイド非難の声を代表する政権となって、イスラエルの犯罪を止める力になってほしいと思います。

ところで、ガザでのイスラエルのジェノサイドによる犠牲者数についての記事が、臨床医学雑誌、Lancetに出ています。
"Counting the dead in Gaza: difficult but essential" (Lancet 7/5/2024, Khatib R et al). 
UNによる公式発表では犠牲者は37,000ですが、さまざまの状況証拠から推測すると186,000人かそれ以上、ガザの人口の7.9%にあたる人々が殺されたと考えられると述べています。
医療は人道主義に基づき、医学研究は人類の健康と幸福の促進のためにありあります。LancetもNEJMもその他の医学雑誌もそうした精神に基づいて、知見をdisseminateするプラットフォームであります。このコレスポンデンスの最後に"Editorial note: The Lancet Group takes a neutral position with respect to territorial claims in published text and institutional affiliations."と断ってありますが、医学雑誌であるLancet編集部はgenocideという大量殺人を非難するというポジションも明確にしておくべきではないでしょうか。

話をもどして、日曜日は東京都知事選。胸糞悪い選挙戦と選挙結果でした。討論やジャーナリストから逃げ回る緑のたぬき、新宿での街頭演説では「辞めろ!」コールに沈黙する場面もありました。東京の公的資産を企業に売り払い、巨大な公金を利権企業に流す一方で、都民のための政策の公約は達成ゼロ。一般の国民、都民から広く集めた税金を利権企業に流す「富の逆再分配」のいつもの自民党政治がこの8年東京都でも行われてきました。巨大な財源を持つ東京、「緑のたぬき」の選挙戦を支援しているのは利権に群がる自民党と公明党。そして、8年やって公約達成ゼロ、議会での答弁拒否率7割、学歴詐称がバレ始め、自民と創価学会の組織票だけでは心もとないとなって、ひっぱり出してきたのが石丸某という地方の市長だった男。パワハラ体質で市議会と問題を起こし、名誉毀損などで訴えられ、現在裁判に2連敗中。この無名の田舎の市長が二位の得票率。カラクリは自民党(と、おそらく統一教会)による選挙支援。どうも反小池票を割るための捨て駒だったようで、本人にしてみれば、ここで名前を売って自民党から国政へというハラなのでしょう。選挙後のインタビューのビデオクリップを見る限り、単に頭が悪いのでなければ、どうも誠実に対話するということができず、対話は反則技を使っても勝てばいいとでも思っているようなタイプのようです。 余計なお世話ですけど友達いるのかな?

選挙結果は、自民党の思惑通り、利権ファーストの学歴詐称おばさんが「東京大改革3.0」で三選。8年、二期も改革をやって成果ゼロ、やったことは、都民の大勢が反対する「再開発」という名の利権業者への東京の資産叩き売り。そのために築地や神宮外苑など歴史ある財産を次々と破壊し、精々数百万円レベルの無駄なプロジェクトに48億の予算をつけて電通(子会社)に中抜きさせる。改革と称して破壊と略奪を繰り返し、東京を公金目当ての企業の草刈り場にしてきたくせに、もっとやるらしい。

ま、しかし、結局は、東京都民の選択です。都民の中には創価学会も統一教会もいろんな人がおります。その中で、都政の実情や候補者について、客観的に評価できるだけの知識をもって、自ら判断できる人間は、残念なことに多くはありません。ゆえに民主主義は衆愚政治と呼ばれ、政治家のレベルは国民のレベル以上にはならない、と言われるわけで。
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