奈良に春がやってきた。氷室神社のしだれ桜は満開だ。郡山城の桜も石上神宮の桜も7分咲きで、この週末には満開となることだろう。それなのに、奈良市のメインストリート・東向商店街を歩いていても、例年より人は少ない。
※トップ写真はtenbouさんが撮影された4/9(土)の東大寺参道。例年になく閑散としている
今朝の奈良新聞(4/7付)を見て驚いた。「東日本大震災 県内の観光客減少 外国人キャンセル多く」の見出しで、寺院や宿泊施設の惨状が紹介されていた。《東日本大震災を受け、県内でも外国や関東方面からの観光客が減っている。奈良市の東大寺では、続々と訪れていた中国、韓国の団体客の姿がめっきり減った。春の観光シーズンだけに、新たなプランで挽回を模索するホテルも。かつてない大災害は観光立県・奈良にも影響を与えている》。
東大寺大仏殿は「すでに2割はマイナスだろう」(大仏殿副院主・上野周真氏)、唐招提寺では例年400人が参加する写経会に今年は300人程度、ゲストハウス「桜舎(さくらや)」(奈良市鳴川町)では5月初旬までの予約が一時すべてキャンセルになり「ショックで頭の中が真っ白になった」(桑原佳世子代表)、ホテル日航奈良は、キャンセルが3月に約1,800室、4月には約2,000室に上るという。
同紙には、全国の様子も紹介されている(共同通信ニュース)。こちらの見出しは「訪日外国人4分の1に 観光・小売業に打撃 福島原発事故で長期化も」。《東日本大震災や原発事故の影響で、日本を訪れる外国人が急減。地震発生の3月11日から31日までに成田空港から入国した外国人数は、1日平均で約3400人と昨年3月の平均の約4分の1に落ち込んだことが6日、東京入国管理局の調べで分かった。ツアーやホテルの解約も相次ぎ、外国人客への依存を強めていた観光・小売業界は深刻な打撃を受けている》。
《各国政府が日本への渡航自粛を促していることも影響。原発事故の先行きが不透明な中、外国人の「日本離れ」が長期化すれば、消費不振に拍車がかかる恐れがあり、国や自治体も対策に頭を悩ませている。関西空港から入国した外国人数も、大阪入国管理局が緊急調査した3月18~23日は1日平均約1700人と、震災前の平均の半分以下になった。訪日外国人数は、新型インフルエンザの影響があった2009年を除き増加傾向で、10年は861万人と過去最高を記録。観光庁は11年に1100万人との目標を掲げたが、震災で「見直さざるを得ない」としている》。
《影響が特に深刻なのは、花見シーズンで稼ぎ時の観光業界。阪急交通社(大阪市)では4月末までの外国人向けツアーの9割がキャンセルされた。担当者は「原発問題に敏感な欧州の客が大半」と話す。はとバス(東京)も売り物の外国人ツアーの参加者が、震災前の1日平均約300人から10人程度に急減した。外国人客が売り上げの5~6割程度を占めるロイヤルパークホテル(東京)は、3月の予約の8割がキャンセル。京都、箱根など有名観光地のホテルや旅館も予約取り消しが増えている》。
《百貨店の大丸心斎橋店(大阪市)の外国人向け免税カウンターでは、震災後から3月末までの売上高が前年同期と比べ半減。他の大手百貨店も同様の傾向が出ている。中国からの観光客が増えていた北海道は「ホテルなどの予約がぴたっと止まった」(北海道観光振興機構)。博多港(福岡市)では中国・上海からの大型クルーズ船の寄港が4月末まで中止になるなど、影響は全国各地に広がっている》。
外国人が震災で観光を取り止めているだけではなく、国民による消費も不振を極めている。読売新聞(4/2付)に「関西の百貨店も低迷」とあった。《百貨店各社が1日に発表した3月の売上高(速報値)では、東日本大震災の被害を直接受けなかった関西の店舗でも売り上げが低迷した。増床・改装開業したばかりの店舗でも前年同月比で微増にとどまった。イベントの開催自粛に加え、深刻な被害を見た消費者に買い物を控える心理が働いたことが響いた》。
《4月19日の全面開業に向けて増床・改装工事中の大丸梅田店(大阪市北区)は3月、刷新した婦人服、紳士服売り場などを段階的にオープンし、全面開業に向けた機運を高める計画だった。タレントを招いた「一日店長」やモデルによるトークショーも企画していたが、震災以降、取りやめた。通常、改装時には記念セールやイベントの効果などで売り上げが前年を大幅に上回ることが多いが、同店の3月の売上高はわずか0・3%増だった。特に衣料品が不振で、担当者は「不要不急の買い物を避けたのでは」と分析する》。
《3月3日に増床・改装工事を終え、全面開業した高島屋大阪店(同市中央区)も目標を下回る1%増だった。全面開業前は売り場の7割しか完成しておらず、大幅な売り上げアップが期待されていた。しかし、開業直後は伸びた売り上げが3月11~24日に前年同期比6%減と一転して落ち込んだ。一方、改装などがない店舗は、阪急百貨店梅田本店(同市北区)が3・3%減と5か月ぶりに前年を下回るなど軒並み不振だった。兵庫県尼崎市の女性会社員(35)は「高いブランド品などを買うと被災者に申し訳ない気持ちになる」と話す。思い切った集客策が取りづらい中、個人消費の回復には時間がかかりそうだ》。
デパートでの買い物だけでなく、日本全国で結婚式の延期、歓送迎会の中止、花見の自粛などの「過剰自粛」が続いている。国会や各省庁では、いまだに日の丸の半旗が掲げられている。今、そんなことをしている場合なのだろうか。当ブログでそのことを指摘したら、ハンドルネーム「新ソムリエ」氏から、「不謹慎だろう」「とんでもない奴だな。ソムリエが泣くわ」というコメントが入った。誹謗中傷と判断し、即刻コメントは消去したが…。
週刊奈良日日新聞(4/8付)のコラム「悠言録」に、こんな話が紹介されていたので追記しておく。《あるテレビのニュースでは、被災の近況を流した後、桜が満開を迎えた熊本城の映像を流していた。リポーターが花見客に「全国で自粛ムードですが」とインタビュー。この意図は何だ。取材を受けた人は「こんな時だから皆で元気にやれてる喜びをわかち合ってます」と答えていたが、リポーターは「でも…」。仲間とささやかな一献が罪なのか。行き過ぎた自粛は、もはや自粛とは呼べない》。
そんな中、はたと膝を打つような社説が毎日新聞(4/3付)に載った。タイトルは「消費で日本を支えよう」だ。《戦後最悪の震災に見舞われた日本は今後どうなるのだろう。被災地復興に関連し、補正予算の規模を何兆円にすべきかとか財源をどうするかといった議論が活発化してきた。しかし、ここで確認しておきたいことがある。復興を大きく左右する重要な要素に日本経済の立ち直りがある。そして、その立ち直りのカギを握るのが、私たちの気持ちの持ちようだということである》。
《個人消費は日本経済の約6割を占める。その消費が、日本全体の過度な節約や萎縮から大幅に落ち込むようなことは、ぜひ防ぎたい。だが残念ながら、自粛ムードが広がり、花見や花火大会をはじめ、イベントが相次ぎ中止になっている。繁華街は閑散とし、計画停電の影響がない西日本でも、観光地の旅館やホテルは利用者の激減に泣いている。海外からの観光客が減った今こそ、日本人で盛り上げなければいけないというのに、である。こんな時にゴルフはぜいたく、との声もあるかもしれないが、ゴルフ場で生計を立てている人たちも含め、みんなで日本経済は成り立っている》。
《震災から3週間が経過した。気候も暖かくなってきたことから電力の暖房需要は減少する。無駄遣いをやめるのは当然のことだが、求められているのは、日常の消費や生産活動をできるだけ維持できるような賢い節電だ。消費の落ち込みが軽度ですめば、設備投資や採用を手控えていた企業も少しずつ動きだすだろう》。
締めのセンテンスが泣かせる。《何かと政府や日銀に「対策」を求めがちだが、実は今ほど、私たち一人一人の意識や行動が景気を左右する時はないのである》。その通りだ。景気を押し上げるのは、政府や日銀ではない。私たちの気持ちのあり方であり、消費行動なのである。政府だって、消費が盛り上がって税収が増えなければ、復興資金の出しようがない。これは理の当然である。
当記事を読まれたTenbouさんから、今日の読売新聞にも同趣旨の社説が出ていたとお聞きしたので、追記しておく。タイトルは「試練の1か月 行きすぎた自粛は活力を奪う」で、《東日本大震災の発生から間もなく1か月。今、日本中を覆っているのは「自粛」という名の重苦しい空気である。各種芸術活動やスポーツイベント、伝統的な祭りまでが中止や延期になっている》《国全体が元気を取り戻すには、生活のリズムを普段通りにすることが肝要だ。節電に十分配慮しながら、過度な自粛ムードは排し、予定されたイベントは普段通りに実施する。それが大震災に負けずに、日本の復興を早める近道であろう》としている。
昨夜、元同僚のTさんから心のこもったメールをいただいた。そこに、こんなくだりがあった。《さきほど、NHKの「SONGS」というテレビ番組をみていました。番組の最後のほうで、美和明宏が「花」を歌った後で、自身が長崎出身で被爆した経験を語り、戦災や天災を何度も経験しては復興してきた日本人の底力を信じていること、一番必要なのは信じてがんばること、復興にいちばん邪魔になるのは、泣いたり、わめいたり、あきらめたり、萎縮してしまってマイナス思考に陥ることだとコメントしていました。経験者の言葉は、深く重く説得力があり、安易な反論の隙を与えるようなものではありませんね…》。
昨夜のSONGSは、NHKのHPによると《「歌にこめた祈り」と題し、東日本大震災を受けて、番組が皆さんに聴いて頂きたい歌を、竹内まりやさん、山下達郎さん、森山直太朗さん、美輪明宏さんのメッセージと共にお送りします》というものだった。Tさんが引用された「萎縮してしまってマイナス思考に陥ること」がいけない、というコメントは、全くその通りだ。震災に負けてはいけないのだ。
そんな中で、東大寺本坊で開催されている特別展が、多くの人を集めているというのは朗報である(1時間待ちがザラだという)。この展示の収益金は、義援金として被災地に送られるのである。全国のイトーヨーカ堂では、被災地の農産物や特産品を目玉にしたセールが始まった。イオングループもセールを行い、「震災復興支援ボックス」に投函されたレシートの合計金額の1%を復興支援活動に拠出するという。
「自粛」して家に閉じこもっている皆さん、復興支援のために街へ出て、もっとおカネを使いましょう!
※トップ写真は10.4.6、薬師寺西塔前で撮影
※トップ写真はtenbouさんが撮影された4/9(土)の東大寺参道。例年になく閑散としている
今朝の奈良新聞(4/7付)を見て驚いた。「東日本大震災 県内の観光客減少 外国人キャンセル多く」の見出しで、寺院や宿泊施設の惨状が紹介されていた。《東日本大震災を受け、県内でも外国や関東方面からの観光客が減っている。奈良市の東大寺では、続々と訪れていた中国、韓国の団体客の姿がめっきり減った。春の観光シーズンだけに、新たなプランで挽回を模索するホテルも。かつてない大災害は観光立県・奈良にも影響を与えている》。
東大寺大仏殿は「すでに2割はマイナスだろう」(大仏殿副院主・上野周真氏)、唐招提寺では例年400人が参加する写経会に今年は300人程度、ゲストハウス「桜舎(さくらや)」(奈良市鳴川町)では5月初旬までの予約が一時すべてキャンセルになり「ショックで頭の中が真っ白になった」(桑原佳世子代表)、ホテル日航奈良は、キャンセルが3月に約1,800室、4月には約2,000室に上るという。
同紙には、全国の様子も紹介されている(共同通信ニュース)。こちらの見出しは「訪日外国人4分の1に 観光・小売業に打撃 福島原発事故で長期化も」。《東日本大震災や原発事故の影響で、日本を訪れる外国人が急減。地震発生の3月11日から31日までに成田空港から入国した外国人数は、1日平均で約3400人と昨年3月の平均の約4分の1に落ち込んだことが6日、東京入国管理局の調べで分かった。ツアーやホテルの解約も相次ぎ、外国人客への依存を強めていた観光・小売業界は深刻な打撃を受けている》。
《各国政府が日本への渡航自粛を促していることも影響。原発事故の先行きが不透明な中、外国人の「日本離れ」が長期化すれば、消費不振に拍車がかかる恐れがあり、国や自治体も対策に頭を悩ませている。関西空港から入国した外国人数も、大阪入国管理局が緊急調査した3月18~23日は1日平均約1700人と、震災前の平均の半分以下になった。訪日外国人数は、新型インフルエンザの影響があった2009年を除き増加傾向で、10年は861万人と過去最高を記録。観光庁は11年に1100万人との目標を掲げたが、震災で「見直さざるを得ない」としている》。
《影響が特に深刻なのは、花見シーズンで稼ぎ時の観光業界。阪急交通社(大阪市)では4月末までの外国人向けツアーの9割がキャンセルされた。担当者は「原発問題に敏感な欧州の客が大半」と話す。はとバス(東京)も売り物の外国人ツアーの参加者が、震災前の1日平均約300人から10人程度に急減した。外国人客が売り上げの5~6割程度を占めるロイヤルパークホテル(東京)は、3月の予約の8割がキャンセル。京都、箱根など有名観光地のホテルや旅館も予約取り消しが増えている》。
《百貨店の大丸心斎橋店(大阪市)の外国人向け免税カウンターでは、震災後から3月末までの売上高が前年同期と比べ半減。他の大手百貨店も同様の傾向が出ている。中国からの観光客が増えていた北海道は「ホテルなどの予約がぴたっと止まった」(北海道観光振興機構)。博多港(福岡市)では中国・上海からの大型クルーズ船の寄港が4月末まで中止になるなど、影響は全国各地に広がっている》。
外国人が震災で観光を取り止めているだけではなく、国民による消費も不振を極めている。読売新聞(4/2付)に「関西の百貨店も低迷」とあった。《百貨店各社が1日に発表した3月の売上高(速報値)では、東日本大震災の被害を直接受けなかった関西の店舗でも売り上げが低迷した。増床・改装開業したばかりの店舗でも前年同月比で微増にとどまった。イベントの開催自粛に加え、深刻な被害を見た消費者に買い物を控える心理が働いたことが響いた》。
《4月19日の全面開業に向けて増床・改装工事中の大丸梅田店(大阪市北区)は3月、刷新した婦人服、紳士服売り場などを段階的にオープンし、全面開業に向けた機運を高める計画だった。タレントを招いた「一日店長」やモデルによるトークショーも企画していたが、震災以降、取りやめた。通常、改装時には記念セールやイベントの効果などで売り上げが前年を大幅に上回ることが多いが、同店の3月の売上高はわずか0・3%増だった。特に衣料品が不振で、担当者は「不要不急の買い物を避けたのでは」と分析する》。
《3月3日に増床・改装工事を終え、全面開業した高島屋大阪店(同市中央区)も目標を下回る1%増だった。全面開業前は売り場の7割しか完成しておらず、大幅な売り上げアップが期待されていた。しかし、開業直後は伸びた売り上げが3月11~24日に前年同期比6%減と一転して落ち込んだ。一方、改装などがない店舗は、阪急百貨店梅田本店(同市北区)が3・3%減と5か月ぶりに前年を下回るなど軒並み不振だった。兵庫県尼崎市の女性会社員(35)は「高いブランド品などを買うと被災者に申し訳ない気持ちになる」と話す。思い切った集客策が取りづらい中、個人消費の回復には時間がかかりそうだ》。
デパートでの買い物だけでなく、日本全国で結婚式の延期、歓送迎会の中止、花見の自粛などの「過剰自粛」が続いている。国会や各省庁では、いまだに日の丸の半旗が掲げられている。今、そんなことをしている場合なのだろうか。当ブログでそのことを指摘したら、ハンドルネーム「新ソムリエ」氏から、「不謹慎だろう」「とんでもない奴だな。ソムリエが泣くわ」というコメントが入った。誹謗中傷と判断し、即刻コメントは消去したが…。
週刊奈良日日新聞(4/8付)のコラム「悠言録」に、こんな話が紹介されていたので追記しておく。《あるテレビのニュースでは、被災の近況を流した後、桜が満開を迎えた熊本城の映像を流していた。リポーターが花見客に「全国で自粛ムードですが」とインタビュー。この意図は何だ。取材を受けた人は「こんな時だから皆で元気にやれてる喜びをわかち合ってます」と答えていたが、リポーターは「でも…」。仲間とささやかな一献が罪なのか。行き過ぎた自粛は、もはや自粛とは呼べない》。
そんな中、はたと膝を打つような社説が毎日新聞(4/3付)に載った。タイトルは「消費で日本を支えよう」だ。《戦後最悪の震災に見舞われた日本は今後どうなるのだろう。被災地復興に関連し、補正予算の規模を何兆円にすべきかとか財源をどうするかといった議論が活発化してきた。しかし、ここで確認しておきたいことがある。復興を大きく左右する重要な要素に日本経済の立ち直りがある。そして、その立ち直りのカギを握るのが、私たちの気持ちの持ちようだということである》。
《個人消費は日本経済の約6割を占める。その消費が、日本全体の過度な節約や萎縮から大幅に落ち込むようなことは、ぜひ防ぎたい。だが残念ながら、自粛ムードが広がり、花見や花火大会をはじめ、イベントが相次ぎ中止になっている。繁華街は閑散とし、計画停電の影響がない西日本でも、観光地の旅館やホテルは利用者の激減に泣いている。海外からの観光客が減った今こそ、日本人で盛り上げなければいけないというのに、である。こんな時にゴルフはぜいたく、との声もあるかもしれないが、ゴルフ場で生計を立てている人たちも含め、みんなで日本経済は成り立っている》。
《震災から3週間が経過した。気候も暖かくなってきたことから電力の暖房需要は減少する。無駄遣いをやめるのは当然のことだが、求められているのは、日常の消費や生産活動をできるだけ維持できるような賢い節電だ。消費の落ち込みが軽度ですめば、設備投資や採用を手控えていた企業も少しずつ動きだすだろう》。
締めのセンテンスが泣かせる。《何かと政府や日銀に「対策」を求めがちだが、実は今ほど、私たち一人一人の意識や行動が景気を左右する時はないのである》。その通りだ。景気を押し上げるのは、政府や日銀ではない。私たちの気持ちのあり方であり、消費行動なのである。政府だって、消費が盛り上がって税収が増えなければ、復興資金の出しようがない。これは理の当然である。
当記事を読まれたTenbouさんから、今日の読売新聞にも同趣旨の社説が出ていたとお聞きしたので、追記しておく。タイトルは「試練の1か月 行きすぎた自粛は活力を奪う」で、《東日本大震災の発生から間もなく1か月。今、日本中を覆っているのは「自粛」という名の重苦しい空気である。各種芸術活動やスポーツイベント、伝統的な祭りまでが中止や延期になっている》《国全体が元気を取り戻すには、生活のリズムを普段通りにすることが肝要だ。節電に十分配慮しながら、過度な自粛ムードは排し、予定されたイベントは普段通りに実施する。それが大震災に負けずに、日本の復興を早める近道であろう》としている。
昨夜、元同僚のTさんから心のこもったメールをいただいた。そこに、こんなくだりがあった。《さきほど、NHKの「SONGS」というテレビ番組をみていました。番組の最後のほうで、美和明宏が「花」を歌った後で、自身が長崎出身で被爆した経験を語り、戦災や天災を何度も経験しては復興してきた日本人の底力を信じていること、一番必要なのは信じてがんばること、復興にいちばん邪魔になるのは、泣いたり、わめいたり、あきらめたり、萎縮してしまってマイナス思考に陥ることだとコメントしていました。経験者の言葉は、深く重く説得力があり、安易な反論の隙を与えるようなものではありませんね…》。
昨夜のSONGSは、NHKのHPによると《「歌にこめた祈り」と題し、東日本大震災を受けて、番組が皆さんに聴いて頂きたい歌を、竹内まりやさん、山下達郎さん、森山直太朗さん、美輪明宏さんのメッセージと共にお送りします》というものだった。Tさんが引用された「萎縮してしまってマイナス思考に陥ること」がいけない、というコメントは、全くその通りだ。震災に負けてはいけないのだ。
そんな中で、東大寺本坊で開催されている特別展が、多くの人を集めているというのは朗報である(1時間待ちがザラだという)。この展示の収益金は、義援金として被災地に送られるのである。全国のイトーヨーカ堂では、被災地の農産物や特産品を目玉にしたセールが始まった。イオングループもセールを行い、「震災復興支援ボックス」に投函されたレシートの合計金額の1%を復興支援活動に拠出するという。
「自粛」して家に閉じこもっている皆さん、復興支援のために街へ出て、もっとおカネを使いましょう!
※トップ写真は10.4.6、薬師寺西塔前で撮影