tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

ケーブルテレビ(KCN)で、大和七福八宝を案内します!

2011年01月16日 | マスコミに紹介されました!
またまた、社寺案内人になってしまいました。近鉄ケーブルネットワーク(KCN)の「大和七福八宝(やまとしちふくはっぽう)めぐり」という30分の特番(前編・後編の2回)に出演します!

同局の「ファミリーチャンネル」(独自制作番組)枠で放送されている「Kパラ next(ケーパラ・ネクスト)」という番組の「冬のスペシャル」です。昨夏は「奈良の秘仏めぐり」(夏のスペシャル)として、7か寺と史跡頭塔の計8か所を案内しましたが、今回も8つの神社仏閣を案内します。

本放送は、前編が1月18日(火)、後編が1月20日(金)の、いずれも午前11時30分~12時までの30分ですが、再放送が何度もありますので、放送当日にチャンネルを合わせていただくと、そのうちご覧いただけると思います(たいてい00分から30分までの放送です)。後日、ネットでも公開される予定ですので、アップされ次第、当ブログにも掲載します。

夏季と同じく、レギュラー出演されている藤原了さんと中村百合さんというタレントさんを案内し、御福掛(おふくかけ)にご朱印をいただきながら、8社寺をお参りします。収録に際しては、安倍文殊院執事長の東快應さん、大神神社権禰宜の山田浩之さんはじめ、関係社寺の方にご協力いただきました、有難うございました。


御福掛(おふくかけ)に、すべての社寺のご朱印をいただいた

雪の残る談山神社(トップ写真)や寒風吹きすさぶ信貴山寺、受験生でごった返す安倍文殊院、初詣の参拝者が列をなす大神神社(三輪明神)など、いま思い返しても大変なロケでした(この特番は真夏と真冬に撮影があるので、苦労します)。しかし神さまのご加護でカゼもひかず、またお若いのに信心深い藤原さん、神社めぐりがお好きという中村さんのお二人に助けられて、無事、収録を終えることができました。自分用の御福掛にも、すべてご朱印をいただくことができました。

案外、奈良県民は「大和七福八宝めぐり」のことを知りませんし、「お寺で福の神さま参り」という取り合わせは意外なのかも知れませんが、KNT(近畿日本ツーリスト)の「クラブツーリズム」で訪ねて来られる団体さんも多く、大和七福八宝が広く認知されていることが、よく分かりました。KCNにご加入の方は、ぜひご覧下さい!
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Topic なら奈良館、3月末廃止へ

2011年01月15日 | お知らせ
近鉄奈良駅ビル4・5階にあるなら奈良館(奈良市東向中町28)が、この3月末で廃止されるそうだ。N先輩から情報をいただいた。この展示館は、同館のHPによると《2001年開設以来世界遺産「古都奈良の文化財」を美しい画像や実物大の精巧な模型で紹介する奈良市の展示施設として親しまれてきました。 奈良観光の前にお奨めしたい、奈良時代の文化・歴史の理解を深められるミュージアムです》。


写真はすべて07.8.15の撮影

館内では《「なら・観光ボランティアガイドの会」による無料ガイドをご利用いただけます。予約された団体の入館時には、天平風衣装を身に付けたガイドがご案内します。着用する衣装は、男性ガイドが上級役人風衣装、女性ガイドが女官風衣装です》。


王龍寺の十一面観音磨崖仏(レプリカ)

N先輩からのコメントによると《3月末までに一度じっくり見ておきたいと早速訪れました。元々同地で近鉄歴史教室としてあったものを10年ほど前ひき継いだのが現状とのこと。無料ガイドしてくださった方は、「長年親しんでいただき、子供たちの喜ぶ顔を思いだせば、残念でならない。既定方針らしいが何とかならないだろうか…」と顔を曇らしておられました》。



《ポスト1300年、これからも大効果が期待でき、抜群のロケーション、奈良の玄関にふさわしい施設をなぜ廃止するのでしょう? 新薬師寺十二神将レプリカ、ならまちの復元模型、子供たちが乗っかって写真を撮ったという大仏様の手のひらなど本当に展示も素晴らしいのです。入場料大人300円、奈良をよく知るガイドさんは楽しそうに1時間もご説明くださいます。読者の皆さん、何とかなりませんか?》。


新薬師寺十二神将レプリカの1体

うーん、これは残念だ。ここは新薬師寺の十二神将像や山田寺仏頭などの精巧なレプリカがあり、写真撮影も可だったので、とても重宝した。特に雨の日は、奈良に来た友人に「とりあえず止むまで、なら奈良館で待とう」といって、訪ねることも多かった。何しろ近鉄奈良駅ビル内なのである。


新薬師寺十二神将レプリカ(トップ写真はバサラ大将)

もとは「奈良歴史教室」として、近鉄が経営していたのだが、00年6月に一旦閉館し、奈良市に受け継がれたのである。過去の近鉄のHPによると《30年の歴史に幕を下ろすことになった「奈良歴史教室」 奈良市に貸し出され世界遺産の紹介施設に… 近畿日本鉄道が県内の沿線案内施設として昭和45年にオープンさせた「奈良歴史教室」が、今月30日で閉館、30年の歴史に幕を下ろすことになった。閉館後のスペースは奈良市が引き継いで改装し、世界遺産の紹介施設として再出発する。今月21日から閉館まで、入場無料で公開される》。


山田寺の仏頭(興福寺蔵)のレプリカ

《奈良歴史教室は近鉄奈良駅ビルの4、5階にあり、年間の入場者は約4万人。約1300平方メートルのフロアを仏像、古墳、古建築など4つのコーナーに分け、薬師寺西塔の模型(10分の1)や樹脂で造った新薬師寺十二神将像などを展示している。市は既存の展示物を生かしながら世界遺産に登録された市内の8資産群(東大寺、春日大社、唐招提寺など)を中心とする文化財の紹介施設に改装、今秋から公開したい考え》。

仕分けの際のやりとりが、奈良市行政経営課の“平成21年度「事業仕分け」議事録”に掲載されている(議論の実施日は、09.11.24)。《A:当施設は、駅の上に必要なのか。市:確かに目の前に本物があるという考え方はあるが、奈良市は日帰り旅行者が非常に多い(宿泊キャパが1万人程度に対し、年間約1,400万人の観光客)ことから、どうしても奈良地域を一日で観光できる範囲が限られてくる。市としての狙いは、当施設で解説を受けたということで、奈良の観光リピーターになってほしい、少しでも奈良のことを知ってほしいということがあり運営している訳である》。



《B:当施設だけをみて判断をするとあった方が良い施設かもしれないが、全体的にみると、近くに様々な市の箱もの施設があって、重複していたり、スペースが有効活用されていない現状があると思う。こういった問題に対する庁内での議論はないのか。市:確かに、今年の7月にJRの旧奈良駅舎を市の総合観光案内所として開設したが、JR奈良駅から春日大社まであがっていく三条通りには市の観光センターがあり、総合的な観光戦略の中でこれをどう位置づけていくのかという議論は行っている(例えば観光センターの廃止なども含めて)》。



《評価 不要3人・市実施(要改善)2人 班としての結論は、不要となった》《A:生活者である市民の立場からすると、駅ビルの一等地になければならない施設であるのか疑問に思った。但し、修学旅行生の獲得に役立っているといわれると判断に迷うところではある。B:この施設だけをみるとあった方が良いのかもしれないが、奈良市の観光全体を考えたときに、奈良市内にはいろいろな施設があって様々な取り組みをされていることを考えると、なぜこの施設がこの場所に必要なのか、ゼロベースで考えてみるべきである》。

《C:実績が上がっていること、NPOによる指定管理が効果をあげていることは評価するが、本物を見せる努力ではなく、バーチャルなものをダイジェストで駅前で見せてしまうことに対して理解に苦しむ。D:入場者を増やす努力をするべきである(市の持っている媒体でのPR活動や新しい展示物を入れるなど)。E:インターネットでバーチャルな体験ができる時代だからこそ本物にふれることが大事だと思われる。かえってこの施設を利用して満足して観光客が帰ってしまう恐れがあるので、この施設がないほうがよいと考える。コーディネーター:班としては不要となったが、指定管理期間が来年まであることから、市としての方針を市民の意見を聞きながら検討してほしい》。


ならまちの大模型

昨年、同館のHPへのアクセス状況は、4~10月のページビューで前年同月比134.9%、平均アクセス(滞留)時間は139.1%。同じく宮跡会場閉幕後の11~12月でも、それぞれ115.6%と203.3%と、極めて好調である。1年以上も前に《市としての方針を市民の意見を聞きながら検討してほしい》という結論となって以来、どのように「意見を聞きながら検討」したのかはよく知らないが、昨年の近鉄奈良駅周辺の賑わいを知る者としては、残念至極である。

テナント料とか、委託料(なら・観光ボランティアガイドの会に運営委託)が高額だったのだろうか。三条通の「奈良市観光センター」やJR旧奈良駅舎の「総合観光案内所」なんかより、よほどこちらの方が使い勝手の良い施設だと思うが…。
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田中修司さんが、五條市初の名誉市民に

2011年01月15日 | 奈良にこだわる
週刊奈良日日新聞の元旦号・第2特集の1面に、田中修司さんがカラーで大きく紹介されていた。1面の2/3を占めるインタビュー記事だった。見出しは「郷土の誉れ語り継ぎたい」「五條市初の名誉市民に」「文化博物館も 集まろう草の根1000人の力」。田中さんは長年、五條市の地域おこしに取り組んでこられた。その功績と栄誉を讃えて、五條市が初の名誉市民5人のうちの1人に、田中さんを選んだのである。おめでとうございます!
※トップおよびラストの画像は、五條市の「受賞者紹介」より拝借


※写真は、パネルディスカッション「地域の活性化と博物館」
(「第58回全国博物館大会」10.11.25 開催)で撮影したもの

同紙のリード文には《「大和の大桜」と称された俳人・藤岡長和(雅号・玉骨[ぎょっこつ]、明治21~昭和41年)の生家「藤岡家住宅」(国登録有形文化財、五條市近内町)を3年かけて復元し、管理・運営を行うNPO法人「うちのの館(やかた)」(同)」の田中修司理事長の活動をたたえ、五條市は昨年11月、市初の名誉市民に選んだ》。



《「柿の葉すし本舗たなか」(同市住川町)の創業者(現相談役)として郷土食・柿の葉すしの知名度を全国に押し上げた先駆者でもある田中さんは、天誅組の顕彰会設立など地域の活性化運動の先頭に立ってきた。4月からは、平成21年に財政悪化のため市が休館を決めた。建築家の安藤忠雄氏設計の五條文化博物館の復活に向けて、うちのの館が委託運営することも決まっている》。



うちのの館(藤岡家住宅)のことは、当ブログでも何度か紹介させていただいたが、さらに五條文化博物館を指定管理者として運営されるとは、すごい。

田中さんは昨年、県の「第1回あしたのなら表彰」も受賞されている。この表彰制度は、県のHPによると《特定の分野や年齢、経験年数にとらわれず、奈良のPRや魅力向上(イメージアップ)に大いに寄与する活動や県民に元気や感動を与えてくれるような活動を行っている個人または団体を幅広く公募し、顕彰します》というものだ。マスコミでほとんど報道されなかったので知る人は少ないが、田中さんはじめ10人の方が表彰された。



県HPの「主な取組内容」には《地域発展とまちづくりへの積極的貢献者。五條市商工会会長、NPO法人うちのの館理事長として、年間を通して様々な文化活動を通じ、地域の発展とまちづくりに積極的に取り組んでおられます。うちのの館では、明治期の建築物である藤岡邸を拠点に多様な文化活動を展開しておられます》とあった。

週刊奈良日日新聞から、田中さんの発言を拾うと《名誉市民は、藤岡家住宅の復元に携わった人や、うちのの館のボランティアスタッフら約120人の会員の活動が評価されたからにほかなりません》《玉骨さんは戦前、熊本県知事をしてている時にハンセン病患者たちを訪ね、俳句を教えていました。患者の方々に『わたしはあなたたちを慰めにきたのではなく、一緒に学びに来たんだ』と話していたことが残っています》。



藤岡家住宅の修復は《修理に携わった大工の方々が経費をかけず日給だけで取り組むなど、多くの人たちの惜しみない協力で修復は無事完了しました。柴田棟梁(とうりょう)は天誅組顕彰会の会員です》。藤岡家住宅には《開館した平成21年は2万人を超える人に訪れていただきました。昨年も1万人を超えています。遠方から訪れた方が『ありがとう、また来ます』と晴れ晴れとした表情で帰っていかれることが何よりの喜びです》。

五條文化博物館については《休館している博物館を地元・五條の人たちで守っていかなければならないという思いから市の公募型プロポーザルに応募し、指定管理者となりました。安藤さんという世界的な建築家が設計した博物館だということは、実は五條市民にもあまり知られていません。藤岡家住宅と併せて、多くの人が訪ねる場所にしていかなければなりません》。



《NPOとしては、藤岡家住宅の運営だけで手いっぱいな部分もあります。藤岡家住宅と文化博物館を多くの人に訪ねてもらえるようにするには、全市民はもちろん、1000人の力が必要です。今年はその呼び掛けをしていきたい》。

単独のNPOが2つの施設を管理するとなれば、やはり人手が必要だ。藤岡家住宅だけでも120人が支えているのだ。文化博物館の開館は、4月に迫っている。ぜひ、多くの方のご協力をお願いしたいと思う。

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寿寿(じゅじゅ)

2011年01月14日 | グルメガイド
お正月休みに帰省したおり、母親に連れられて、橋本市学文路(和歌山県)の「お好み焼 たこ焼 鉄板焼 寿寿」を訪ねた。南海高野線に並行して走る国道(370号)沿いにあるお店だ。「City DO!」によると《当店自慢の味を是非一度ご賞味下さい! 和歌山県橋本市にあります「お好み焼 寿寿」は、お好み焼・焼きそば・たこ焼きをメインに当店自慢の味をご提供して参りました》。


この写真と下の写真は、Yahoo!グルメより拝借

《お陰様で変らぬ美味しさに皆様からの評判が良くリピーターの方も多く、くちこみでご来店下さるお客様も増え大変嬉しく思っております。店内は広々としており活気がありますので、お子様連れのファミリーや仲の良いグループで賑やかに楽しい時間と美味しいお好み焼きをご堪能下さい。対応のスムーズなベテランスタッフが親切丁寧にご対応いたします。皆様のご来店をスタッフ一同お待ちしております》。



《味に自信あり!全てお薦めメニューです! 私ども「お好み焼 寿寿」は11:30~22:00まで営業していますので、ランチや夕飯としてはもちろんお子様のおやつにいかがですか?キャベツに卵、豚肉やイカなどなど栄養も満点で野菜嫌いのお子様でも喜んで召し上がって頂けます。お子様からおじいちゃん、おばあちゃんまでご家族皆様で団欒の場として当店をご利用下さい。一度食べたらまた食べたくなること間違いなし!飽きのこない美味しさを一人でも多くの人に召し上がって頂きたい…そんな願いから真心を込めて確かな味をご提供致します》。


ねぎ焼590円(醤油ダレ)。外はパリッと仕上がっている

周辺に飲食店が少ないので、有り難い店である。訪ねたのは1/3のランチタイムだったので、順番待ちができるほどの人気だった。メニューがとても多いので、迷ってしまう。「食べログ」の口コミに《おすすめはねぎ焼きです。丸い生地を二つ折りにしたような形なのですが、中央部は具が詰まってふんわり柔らかく、円周部は薄くのばされてパリパリになっており、1枚で二つの食感が味わえます》とあったので、私は「当店自慢ねぎ焼」のぶた玉子入590円とたこ焼(5個)250円を注文した。ねぎ焼のタレは、醤油かソースかを選択できる。


ねぎ焼をまん中から切ってみる

ここは、お店の人が焼いて持ってきてくれるシステムである。ねぎ焼には、たっぷりネギが入っていて、中はふんわりと焼き上げてある。たこ焼きも、外はからり、中はトロリとしていて、これもイケる。ひと口いただいたお好み焼き「ぶた玉子入」590円(=トップ写真)も、美味しく焼き上げてある。


ねぎ焼の断面。中にはネギ、卵、もやしがたっぷり

そばクレープというメニューもあるそうだ。《必ず注文するのが、名物の「そばクレープ」です! これは焼きそばをふんわり焼かれた分厚い卵生地(お店はクレープ生地と書いてあるのですが、どうも私にはクレープのイメージと結びつきません;)で包んであるもので、卵の味付けがソースと絶妙なんです》。



《お店の雰囲気はお好み焼きやさんなだけに賑やかではありますが、隣接しているテーブルは顔の位置に間仕切りがしかれているため、うるさいという印象はあまりありません。テーブルもきれいに拭かれていて内装は赤系で統一されており、おしゃれな雰囲気でカップルや女同士で行っても大丈夫。(だと私は思っています)昔ながらのお好み焼きやさんのような、脂ぎった感じはありません》。

グルメGyaO!」には《人気メニュー ニラともやしの塩やきそば650円 エッグロール豚入480円 ジューシー焼ギョーザ400円 地鶏ズリ鉄板塩焼550円 エリンギステーキ洋風バター焼650円  テツちやん味噌炒め750円》と、珍しいメニューがたくさん出ていた。



メニューが豊富だし、お店もきれいなので、ファミリーで訪れていろんな料理を注文し、ワイワイと取り分けていただくのも楽しいだろう。テイクアウトもできる。次回はいか焼(ゲソを小麦粉と玉子で練り上げたもの)180円や豚トロのアッサリ塩ダレ焼650円なども試してみたい。

ゆったり楽しく味わえるお好み焼き店、ぜひお訪ねいただきたい。

和歌山県橋本市学文路257-1  ℡ 0736-33-3995
南海高野線学文路駅徒歩5分。国道370号線橋本市内より高野山方面に車で約7、8分
営業時間 [火~金]11:30~22:00(L.O.21:30)
[土・日・祝]11:30~22:00(L.O.21:00)
※[火~土]ランチタイム11:30~15:00(L.O.14:30)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
座席数 70、駐車場 35台
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大嘘だらけの食料自給率

2011年01月13日 | ブック・レビュー
『日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率』講談社+α新書(880円)という本を読んだ。著者は月刊「農業経営者」副編集長の浅川芳裕氏である。まさに目からウロコ、食料自給率について「常識」と喧伝されていたことが大ウソだったということが、よく分かった。

今までの「常識」とは何か。それは農林水産省のHPなどで詳しく紹介されている。《日本のカロリーベースの食料自給率は、昭和40年度の73%から大きく低下しております》《日本のカロリーベース総合食料自給率は最新値(平成21年度概算値)で40%です》《先進国と比べると、アメリカ124%、フランス111%、ドイツ80%、英国65%となっており、我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準となっています》。

民主党政権は「(カロリーベースの)食料自給率60%を」と主張していて、先日も「食料自給率60%へ意欲 菅首相、遅ればせながらコメ農家を視察」という記事が産経新聞に出ていた(MSN産経ニュース10.12.12)。農水省は「料理自給率計算ソフト」なる代物まで用意している。これで計算すると、おせち料理の自給率は12%~57%(平均29%)なのだそうだ(フジサンケイビジネスアイ09.12.30付「伊達巻き19%、鶏みそ松風焼き17%…低い「おせち」の自給率)。

では「カロリーベース総合食料自給率」とは何か。《食料の重さは、米、野菜、魚、どれをとっても重さが異なります。重さが異なる全ての食料を足し合わせ計算するために、その食料に含まれるカロリーを用いて計算した自給率の値を「カロリーベース総合食料自給率」といいます。カロリーベース自給率の場合、畜産物には、それぞれの飼料自給率がかけられて計算されます。》。

農業経営者 2011年1月号(179号)
 
農業技術通信社

《日本においては戦後、食生活の洋風化が急速に進んだという特徴があり、この急激な変化が食料自給率を引き下げてきた大きな要因となっています。日本では昔から主食(ごはん)を中心とした食生活が行われてきましたが、戦後、副食(おかず)の割合が増え、中でも特に畜産物(肉、乳製品、卵など)や油脂の消費が増えてきました。自給率の高い米の消費が減り、自給率の低い畜産物や油脂の消費が増えてきたことにより、食料全体の自給率が低下してきたのです》《日本国内にとどまらず、世界規模で食料問題がますます深刻化する中、国産農産物の消費拡大は食料自給率向上を実現する最も有用な手段であると考えられてきています》。

つまり農林水産省は「先進国で最低という自給率を高めないと、ヤバいぞ」「だから自給率の高い米をもっと食べよう」「日本の農家と農業を守ろう」と叫んでいるのである。しかし、どうも実感がわかない。スーパーに行って店頭に並んでいる食料品を見ても、国産が4割なんてことは、ありえない。高関税で保護されている米はもちろんとして、野菜も果物も、ほぼすべて国産だ。肉だって魚だって、国産がほとんどだ…。

そこで「カロリーベース」というトリックに気がつく。カロリーの低い野菜や果物をいくら自給しても、カロリーベースでは自給率にほとんどカウントされないのである。高齢化が進み、また健康が志向される日本では、高カロリーの食材より、カロリーの低い(ヘルシーな)野菜や果物などのニーズが高くなる。そんなニーズに合わせて第一次産業を野菜や果物にシフトさせると、カロリーベースの自給率がどんどん低くなるなんて、おかしいではないか。

めざましごはん CM MOVIE(石川プロ編)


畜産品にしても、トリックがある。農水省は「カロリーベース自給率の場合、畜産物には、それぞれの飼料自給率がかけられて計算されます」とさらりと書き流しているが、これはつまり「海外から輸入したエサを食べて育った(=飼料を自給していない)家畜は、カロリーベース自給率から除外しますよ」ということだ。飼料用のトウモロコシなんて、ほとんど輸入しているではないか。カロリーの高い畜産物も、こうやって巧妙にカウントから除外しているのである。

トヨタが、日本人マネージャーのいる日本の工場で、日本人労働者を雇って国産車を作った。しかし「自動車に使われている鉄もアルミも合成樹脂(=石油製品)も燃料のガソリンも、すべて輸入品だから、これは国産車ではない」と言っているに等しいのである。こんないい加減な農水省のCMに引っ張り出された石川遼くんが、可哀想だ。

なお、世界中でカロリーベースで食料自給率を算定しているのは、日本と、日本をマネて算定している韓国だけである(しかも韓国は、カロリーベース自給率の向上を目標にしているわけではない)。国際標準は「生産額ベース総合食料自給率」の方である。《ちなみに、日本の生産額ベース総合食料自給率は最新値(平成21年度概算値)で70%です》(農水省のHP)。これは主要先進国のなかで、3位の高さである(1位アメリカ、2位フランス。4位ドイツ、5位イギリス)。

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
浅川 芳裕
講談社

ぼやきはこの程度にして、本書の中身に入る。版元(講談社BOOK倶楽部)の内容紹介によると《年生産額8兆円はアメリカに次ぐ先進国第2位 食糧危機と農家弱者論は農水省によるでっち上げ! 生産高――ネギ世界1位、キャベツ世界5位、コメ世界10位!7%の超優良農家が全農産物の60%を産出!!》

《自給率が示す数字と一般的な感覚がかけ離れているのは、農水省が意図的に自給率を低く見せて、国民に食に対する危機感を抱かせようとしているからである。では、なぜそんなことをするのか。端的にいうと、窮乏する農家、飢える国民のイメージを演出し続けなければならないほど、農水省の果たすべき仕事がなくなっているからだ。そして、どうすればラクをして儲けられるか、いかにして省や天下り先の利益を確保するかという自己保身的な考え方で、農水省が農業政策を取り仕切っているからである。農水省幹部の頭には、国民の食を守るという使命感などまるでない》。

《すべては農水省の利益のために/「世界最大の食料輸入国」の嘘/現実に即した自給率は高水準/民主党が推進する農業衰退化計画/事故米問題で見えた農水省の陰謀/消費者不在のバター利権/大幅な増産に成功した日本農業/「農業人口減=農業衰退」の幻想/「農業は成長産業」が世界の常識/大きな可能性を秘めた農産物輸出》。

WEB本の雑誌(本の雑誌社と博報堂が管理・運営)の「BOOK STAND」によると《「日本は食料自給率が低い」「日々消費されるほとんどの食料を、日本は輸入で補っている」「近い将来、世界で食料が奪い合いになるのでは」 ここ数年、日本農業の競争力の低下が問題視されています。ところが、『日本は世界5位の農業大国』の著者・浅川芳裕氏によれば、実は日本は世界で 5番目の農業大国なのだそうです。農水省が発表している日本の農業の生産額は8兆円。世界全体で見ても、この生産額は中国、アメリカ、インド、ブラジルに次いで5位。最近、中国野菜など海外輸入モノの野菜がクローズアップされがちですが、実はそれも全体の10%程度。重量換算での自給率は80%を超えているそうです》。

めざましごはん CM MOVIE(セリフのリレー編15秒)

 
《では、なぜ日本の食料自給率は低いと言われてしまうのでしょう。それは、日本の農水省が提示している「食料自給率」がカロリーベースで計算されているから。現在、農水省が発表しているカロリーベースでの日本の食料自給率は41%。農水省は2015年までにこの自給率を45%までに引き上げようと提唱しています》。

《問題なのは、このカロリーベースの自給率が国民1人1日当たりの国産供給カロリーを1人1日当たりの全供給カロリーで割って算出されている点です。全供給カロリーとは、実際に消費しているものではなくて流通に出回った食品すべてを計算したもの。つまりコンビニやスーパー、ファーストフード、レストランなどで毎日廃棄され、誰の胃袋にもおさまっていない大量の食品も含めて「消費されたカロリー」として計算されているということ》。
 
《この供給カロリーは2573キロカロリーとされていますが、実際、データで見る日本人の1日の摂取カロリーは平均1905キロカロリー。この差は実に 700キロカロリー近くあります。この実際の摂取カロリーで計算すれば自給率は54%。実は農水省の掲げる自給率目標値の45%を楽々クリアしているのです》。

本書によれば、農水省がわざわざ自給率を低く発表し、国民の不安を煽るのは《自給率政策によって、あたかも農水省が国民を「食わせてやっている」かのようなイメージが実現できるからだ。その結果、統制経済的で発展途上国型の供給者論理を正当化し、農水省予算の維持、拡大を図っている》というのだ。

めざましごはん CM 松浦亜弥


日刊サイゾー」のブックレビューには《自給率向上政策の目玉とし掲げている「戸別所得補填制度」。これは「コメや小麦、大豆など自給率向上に寄与し、販売価格が生産費を下回る農作物を作っている農家に、その差額を補填する」制度だが、ここでいう「差額」とは赤字額のことで、「補填」に使われるのは約1兆円の税金だ。要するに同制度は、農家に黒字を出す努力を放棄させ、赤字を推奨する「農業の衰退化政策」にほかならず、税金のバラマキですらない。農家は弱くなればなるほど政治の力を必要とし、政府と農水省の影響力は担保される》。

《しかし、これは著者に言わせれば、「自給率」という呪縛が解けたとき、政治・行政主導によらない、自律した農業が実現するということでもある。そして、自給率に縛られているいまなお〈国内の農業生産額はおよそ八兆円。これは世界五位、先進国に限れば米国に次ぐ二位である〉。さらに、農業人口の減少が叫ばれているにもかかわらず、生産量は着実に増加しているという。つまり農業者一人当たりの生産性が飛躍的に向上したわけだ。といった具合に、本書は農政を批判するだけに止まらず、ポジティブな視座も与えてくれる。日本の農業や食料安全保障を考えるうえで、目からウロコの一冊になるだろう。(文=須藤輝)》

最近になって、農水省の食料自給率を高めようとする政策について、疑問の声が出始めている。勝間和代も「食料自給率、正しい目標設定を」と問題を提起している。Wikipedia「食料自給率」には《経済学者の野口悠紀雄は、食料自給率の向上と言う政策は経済学的には無意味である上、そもそも現代日本農業では原油が絶対的に必要であり、エネルギー自給率が4%しかないのに、カロリーベースの自給率に政策的な意味など持ち得ないとする。そしてこの政策は高い関税率を正当化するための詭弁であり、それにまんまと乗せられている人は、「誠に愚か」と酷評している》とある。

本書の最終章で浅川氏は《国際的に自給率が重要視されないのは、基本食料であっても互恵貿易が成立し、農業が加工産業に立脚しているからだ。それなのに日本は、「日本人だけが自給自足して生き残れればいい」ともとれる国粋主義的な政策によって、国民、農業、食産業界すべての実益が失われている》と書いている。

長い間「(カロリーベースの)食料自給率が低いのは、大問題だ。何とかしなければエラいことになる」などというまやかしに載せられていた私が、愚かだった。「食」に関心のある皆さん、この本は必読ですよ!
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