裏庭の木の下闇にさりげなく咲いていた野草二種。
1枚目は、延胡索(えんごさく)だが、えんごさくも色々とあり、山延胡索(やまえんごさく)、蝦夷延胡索(えぞえんごさく)、次郎坊延胡索(じろぼうえんごさく)、困窮者援護策(これはいまひつよう)などがあるようで、うちのは山延胡索のようだ。
なかなかに珍妙なこの花を観てヤマタノオロチを連想してしまったから、八岐大蛇草(やまたのおろちぐさ)と命名したら良かったのに。
延胡索とは漢方の薬なのだそうで、全草どこもかしこもアルカロイド系の成分を持つ毒草だという。
2枚目は、延齢草なのだが、何としたことか、ゴリラのようなタランチュラのような花姿になっている。
たまたま撮った花がこうだったという事かも知れないが、これもまた珍妙なやつで、やはり漢方では根が胃腸薬になるんだとか。
葉っぱをおひたしにして食べられるそうだが、サポニンが含まれていて沢山食べると下痢と嘔吐を引き起こすそうだ。
花が咲くまで15年もかかる品種だというのに、わざわざ食べて具合悪くなることもないので、試食はしない。
世の中の変化をずっと観たいので、私はひたすら延命を図るつもりだが、今のところ漢方薬の世話にはなっていない。
73歳で力尽きた祖父の部屋には養命酒の空き箱がいくつかあったのを記憶している。
小学校に上がる前の私が事情を知ったのは十年以上経ってからだったが、最期を畳の上で迎えるために病院から帰ってきていた。
その歳を迎えた私は、祖父が建てた家をなんとなくの成り行きで守っているのだが、養命酒をそろそろ呑み始めるべきか。
ちなみに、この家が昭和の初めにできてから私の知っている位牌のあるのは7人分で、私は祖父の部屋を寝室にしていて、続きの奥の間で彼は他界した。