朝飯前のひと仕事が済んで、朝食の用意でもするかと腰を上げようとしているときに、友人がいつもより早くやってきた。
ゲテモノ好きと聞いたような気がするのだけれど蝮を捕まえたのを欲しいか、と言う。
普通の人なら、LINEなんぞでやり取りするところを、携帯電話を持たないので、わざわざやってきて聞くのだ。
せっかくだから貰って蝮酒でもつくろうか、と見せてもらおうとしたら、持ってきてはいないとのこと。
こんな機会はそうそう無いと思われるので、3週間から1ヶ月後に必要となるという度数の高い焼酎を、決意を込めてすぐに買い求め、蝮を観にいった。
しかるべき袋に入れたのを、暑いので死なないようにと涼しいところへぶら下げてあった。
朝、奥さんが玄関ドアを開けたらコンクリートたたきに大小の蝮ペアが居たのだそうで、呼ばれた彼はこともなく雄雌2匹とも捕まえたとのこと。
山の方の集落に蝮獲り名人がいて、実地訓練を伴なう教えをしっかり受けたことがあるなどと言いつつ、蝮酒の第一第二段階をやってくれた。
私がインターネットで調べたものとはかなり違っていて、ペットボトルや瓶に入れるときは尻尾から入れて、持った首根っこを最後に投げ入れるようにするのだった。
自重(じじゅう)で底まで落ちた蛇が上から出ないよう蓋をするのだが、その前に手の平で塞いでいたのは、狭まった口から牙をむいて手を噛むことはできないということなのだろうか、聞かないでしまったけれど。