透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

夏休みに再読したい本

2010-08-01 | A ブックレビュー

 夏休みに再読したい本を挙げてみた。 

『古寺巡礼』と『風土』和辻哲郎(共に岩波文庫):鋭い観察力と優れた洞察力。

『胎児の世界』三木成夫/中公新書:胎児の成長過程に生命の進化が再現されている!

『流れる星は生きている』藤原てい/中公文庫:終戦の年に満州から幼い子どもと信州まで引き揚げてきた著者。母親の子どもに対するとても深い愛情、子どもを死なせてはならないという「執念」。若いお母さんたちに読んで欲しい。育児放棄なんて・・・。

『日本の近代建築』藤森照信/岩波新書:学者・藤森さんのこの本は日本の近代建築史を概観するのにいい。藤森さんの恩師・村松貞次郎の『日本近代建築の歴史』岩波現代文庫と併読したい。

『「縮み」志向の日本人』李御寧/講談社学術文庫:日本文化論の白眉。あらゆるものを「縮める」ところに日本文化の特徴がある。豊富な例示、説得力のある論考。

『木精(こだま)』北杜夫/新潮文庫:北杜夫は『どくとるマンボウ青春記』とこの小説。「追憶」がキーワード。


 ブックレビュー 1007


えんぱーく

2010-08-01 | A あれこれ


えんぱーく(塩尻市市民交流センター) ←過去ログ 中心市街地にこんなにぎわいが戻るといいのだが・・・。

 えんぱーくは、「図書館」「子育て支援・青少年交流」「シニア活動支援」「ビジネス支援」「市民活動支援」の5つの重点分野を設定している(利用案内パンフによる)。

このプロジェクトにはプロポーザルの公開審査のときから注目していた。選ばれた案は約100枚の壁柱によって成立させる構造と空間の提案だった。壁柱やコートと呼ばれる4つの吹き抜けがどんな効果をもたらすのか・・・。

とりあえず今回は簡単な印象記。

各階の空間を視覚的に適度につないでいる。見え隠れするいろいろなスペース。今まであまり体験したことのない、変化に富んだ空間。

館内に入ると直ちに全体像が把握できるという単純明快性な空間(郊外の量販店のような)とは違って、適度な迷路性(とでも表現すればいいのか)が非日常的な楽しさを創出している。

「白の空間」が色々な本が並ぶ書棚や家具などをひき立てている。床のフローリング(工事中の見学会で樹種を聞いたが忘れた)が効いている。

プロポーザルの審査の際、主たる用途の図書館については単純明快で分かりやすいことが大切だと、図書館の専門家から指摘があったが、このようなちょっと分かりにくい空間構成もありかな、と思った。


メモ)館内撮影には許可が必要。