和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

地図を書ける人。

2015-11-09 | 道しるべ
曽野綾子著「人は怖くて嘘をつく」(産経新聞社)。
うん。いい題ですね。題にひかれて購入しました。
ちなみに、「産経新聞連載『透明な歳月の光』
(2012年7月25日~2015年7月29日収録)から
表題に沿ったものを掲載し、追記したものです」
と最後のページにありました。

そのまえがきに、気になる箇所

「だいたい多くの途上国で地図を書ける人は
めったにいない。軍人にも警察官にもいない。
現実の位置関係を図に置き換えるというのは
抽象化の領域で、かなり高度の知的作業らしく、
ほとんどの人にできないのである。
日本に帰ってこの話をすると
『えっ、警察官や軍人もできないのですか』と
驚かれるがどうもそうとしか思えない。
それなら初めから知りませんと言えばいいのに、
だれもが教えるというのはどういうことか。
私はいまだにその理由の真実を知らないのだが、
どうも知らないということは何より不親切な
悪いことになっているらしい。とりあえず何か
答えを出す方が、相手っが満足するからいいのだ
という理由を挙げる人もいる。
距離に関する嘘も、中近東ではしばしば笑い話になる。」


うん。
「現実の位置関係を図に置き換えるというのは
抽象化の領域で・・」

というのが気になりました。
何か、それに関する本が読みたいと思うと、
ちょうど、11月1日の毎日新聞読書欄
「今週の本棚」で
三浦雅士の書評で高階秀爾著
「日本人にとって美しさとは何か」(筑摩書房)
が載っておりました。
うん。こういう本を読みたかったんだ。
だいぶ前から(笑)。

ということで注文して、
本が届きました。さっそく
「絵と文字」という文から引用。

「もともと日本においては、
絵と文字は相性が良い。西欧文化圏では、
絵を描くには柔かい筆を用い、文字を書くのは
硬い尖筆によるというのが本来で、
絵と文字とは別の世界に属するものという
基本的認識があるが、日本では絵も文字も
筆一本で間に合うので、両者は同じ仲間だ
という意識が強い。この点はもちろん中国に
おいても同様で、古くから両者は『書画』という
一つのジャンルでまとめてくくられていた。
・・・・」

う~ん。「絵と文字」の文の最後を引用。

「今日、日本の『マンガ』が世界的に人気が
高いのも、その理由の一端は、画中における
文字の利用がきわめて多彩自在であることに
よるものであろう。さらに言えば、若い人の
あいだで流行っている電子メールに、
ニコニコマークなどの絵文字が多用されている
ことも、千年の伝統につながっているに違いない
のである。」(~p141)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする